江戸時代に転生したけど剣技で無双します
閲覧ありがとうございます。しょーもない話なので、見たくない方は戻ってくださいませ。
「あっ!危なーいッ!」
ずごーん。トラックに轢かれて俺は死んだ!痛いとか苦しいとかそんなんは関係なく俺は幸せだった!やっとこの延々と続く苦しみ、つまり人生から開放されるからだ!やったぜ!いえーい!
「そんな都合の良い訳ねーだろばーか!」
ぎゃあ!この声は女神!何故だ、俺は確かに死んだはず…!?
「るせーな察せよ!お前は転生すんだよ!」
「はー?俺が転生?もう生きるのは勘弁だ!」
「黙れ武殺!イケメンにチート能力もつけてやるぞ!」
武殺とは俺様の苗字である。
「マジか!早く転生しろ!」
「てめー意見コロコロ変えんなよ!まあいい、さっさと行けごら!」
「言われなくても行ったるわボケ!」
きゅいーん!俺は謎の光に吸い込まれて消えた。次の瞬間俺は、変な場所に居た!ここは、なんだ?江戸時代か!?和風な建物がいっぱいだ!
「おい兄さん!ここどこだい?」
「何ふざけてんのじゃ?ここは江戸に決まっとろう。」
やっぱり江戸だ。これは異世界転生じゃないのか!まあいい、江戸時代と言えば剣の時代、俺様の武功が花開くぜ!なんとこの俺、江戸時代に名声を立てた部殺の一族の子孫なのだ!恵まれた血筋って奴?更に剣道も七級!江戸時代の武士なんか目じゃねぇぜ!
「所でチート能力ってなんだ?」
それは後で考えよう。そんな事より町散策だ!
「きゃーたすけてー」
おお!早速イベントだ!ヒロインを助けて俺がヒーローになるぜ!覚悟しろ武家諸法度共!
「さあお嬢さん、こっちへ来て貰いやしょうか。」
「あーれー」
なんと!可憐な少女が野郎に襲われている!許せん!腰にあった刀を抜いて、野郎の前に出る!
「む?なんだ貴殿は。」
「某は正義の侍、武殺!女の子に手を出すとは許さん!拙者が始末してくれようぞ!」
「ほう。面白い。では腕前拝見と行こう!」
じゃきーん。刀が抜かれる!一撃だ、一撃で仕留めてやる!剣道でもお得意だった、面を放つ!
「めえええええん!!」
「せっ!」
轟!と。突風が裏道に吹き抜ける。あまりの衝撃に腕が痺れ、身体が後方にぶっ飛ばされる。んなアホな、鍛え上げられた俺様の剣戟は…!?
「その程度か?正義の侍とやらは。」
鼻で笑われる。いや、まさか、今のは真正面からぶつかったから負けただけだ!今度こそ…!
『────ザンッ!』
え…?未来のビジョンが映る。なんと俺の首がすぱーんと吹っ飛んでいる。ハッと我に返ると、武士の斬撃が真一文字に飛んできた。
「くっ…!」
ビュオン!凄まじい斬撃。未来が見えたおかげでギリギリ避けれたが、自慢のヘアーがばっさりと切り落とされてしまった!オーノー!
「死ねいッ!」
安心するのも束の間。上に掲げられた刀が、私を殺さんとばかりにギラギラと光っている!
がきーん!俺は斬撃を受け止めた!
「死ぬのは貴様だーッ!」
「…バカヤローッ!!」
ばぎゃーっ!!きょーれつな!峰打ち!当てたのは、もちろんこの俺!…ではなく!
「ふん、他愛もない。」
武士の方だった!恐るべし、武士!痛みで悶絶していると、男は可憐なお嬢さんを連れて行ってしまったーッ!くそー!
…
それから俺は、剣の道を諦めた。戦国武将くらいになってやるつもりが、まさか下級武士にも勝てないとは思わなかった!残念だ!だからこそ、自分の個性を活かして戦うことにした!それは…
農業だッ!!!!!!!
素振りで鍛えられた腰はッ!クワやスキでの作業に最適ッ!!四方八方の畑を耕し、俺は江戸でも有数の豪農に成り上がったのだッ!!!!!!!やはり人間、どんな事でも試してみるものだな!はーっはっはっは!!
「これ農姫、ちこうよれ!」
「はい、旦那様。」
今では嫁さんも出来て、俺の生活は有頂天である!はーっはっはっは!!このまま老後まで安泰に生活してやるぜぇぇぇぇ!!!!!!!!!
だがッ!!!!!!!
俺は違ったッ!!!!!!!
『人生は満喫出来たか?武殺。』
『げげ!その声は女神!何の用だ!』
『もう寿命だ!残念だったな!』
『は!?しね!農姫は!我が子はどうする!?』
『問題無い!そいつらはお前の残りの財産で十分に食っていける!さあ寿命を受け入れろ!』
『ま、待つのじゃ!余は最後にしたい事がある!』
『うるせーな!神に一々指図すんじゃねぇよ!』
「くそっ!農姫…!わしは…!」
「旦那様…?」
「お主を…愛し…ぐふっ…」
「…旦那様…!?旦那様ー!!!!!!!!!うああああああああああああああああああぁぁぁ!!!!!!!???!?!?」
…
「よくも殺してくれたなクソ神!お前だけは、許さん!!!!!」
「グチグチ言うな!それなりに楽しめたろうが!!!はい次!何処に転生したい!?」
「あんな悲しい思いするならもう転生は懲り懲りだ!転生じゃなきゃもうそれでいい!くそくそ!」
「…ふむ。転生じゃなきゃ良いと言うのだな?」
「そーだよくそくそ!」
「よし分かった。では元通り、寸分違わずお前の人生を1からやり直させてやろう!」
「本当か!早くそれにしろ!!!」
「良かろう。…本当にそれでいいんだな?」
「いいよくそ!早く、早くしろ!Hurry up!!」
「よしわかった。ではいってらー。」
しゅいーん!俺の体は元あるべき場所へ戻っていく!農姫達には悪いが、俺本来の人生を楽しませて貰うぜ!!……所で、寸分違わず…と言うのは、全く、何もかも同じということだろう。だとすれば…
「あっ!騙したなてめえ!おいコラ!ふざけんなよ!!!!!」
「ふっふーん。だから聞いたでは無いか、それで良いのか…ってな。」
「くそくそ!おい!何とかしろ!もう一度なんて嫌だ!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「うるせーな!ごちゃごちゃ言いやがって!…お、もう時間だ。行ってらっしゃーい♪」
「のおあああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁ!!!!!!!!」
びしゅーん!俺は、最初の場所へと戻った。
「…私を助けてくれるまで、何度でも送り込んでやるんだから。早く来てよね。武殺君。」
女神はそう笑うと、次の転生者を待ち続けた。