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星に与えられた天命  作者: FrRolla
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大学編 1-9

「明日か…」


ふと空を見ながら呟く。


今日約束した北杜との決闘。


少し憂鬱になりながらも逃げるのは理貴亜が絡んでる以上逃げる訳にはいかないしそもそも最初から逃げるつもりはなかった。


理貴亜はこの事をどう思ってるんだろう?


でも嵌められた感じも拭えないのが彼女の怖い所だった。


そこで携帯が点灯し彼女からの電話を告げる。


すぐに手を取り電話に出る


「もしもし?」


「もしもし?今平気かな?」


「大丈夫だよ、どうかした?」


明日のことがあり少し緊張しながら話を進めていく。


「明日の決闘のことで言いたいことがあってさ」


「言いたいこと?」


今まではなに合っても電話してくることなんてなかったけど急にどうしたんだろう。


「決闘。嫌だったら今からでも断ってくれていいんだよ?」


「別に嫌じゃないけど…確かに面倒臭いと思ったけどそれで俺が勝ったらあの風紀委員長としっかり別れてくれるならそれでいい」


「そんなこと言うなんて意外だね。何かあったのかい?」


そう言われて照れたように呟いた。


「何かあったわけじゃない。」


「ふーん?だったらいいけど私は嬉しいよ、どんな理由でも直が前向きに物事に対処してくれる所がね。昔は後ろ向きだったからね、それに対処してくれるのが自分の事だったら尚更嬉しいね。」


理貴亜が笑いながら言うのが思い浮かぶ。


それと同時に何故かとても心が暖かくなる…


前を向こうと思える、その理由をくれたのはやっぱり理貴亜だった。


そう思った時にはするっと言葉が滑り落ちていた。


「理貴亜…ありがとう」


画面の向こうの相手が少しだけ考えるように間をあけた後いつも通りの声で返してくれる。


「どういたしまして」


お互いが沈黙する、でも嫌な雰囲気じゃなかった。しかしそれと同時に思う。明日の決闘に絶対勝たないといけないなと言うことを。


「明日は頑張るよ、応援してくれるかな、理貴亜」


「勿論、だから明日に備えて今日は寝た方がいいよ。」


「そうだね、おやすみ…」


おやすみ…と返事が返ってきた後通話が終了したことを告げる携帯を眺めながら、ふと思う。


今後も一緒にいたい、離したくないという独占欲を。

そして愛したいという熱量を。


だから勝つんだ。その言葉がストンと心に落ちると、身体が睡眠を求めるように眠気が襲ってくる。

気づいた頃にはベッドに意識を吸われていた。



朝起きるといつもの見慣れた天井。今日は決闘の日だと働かない頭で思い出す。

正直寝落ちした時はやばいと思っていた。


戦略を何も考えてない。


言霊が使えるようになったのはあくまで少し、そして雷撃だけ。


これだけで勝てるのかというのはあるけれどそれでもいかなきゃ行けない。やる前から不安になっても仕方がない。そう思えた。


いつも通り大学に向けて歩きだす。

今回の会場は大学の中の闘技場で行われる


ここでは基本星力の実験に使われたり運動したりするスペースだがそこを借りて決闘が始まる。


決闘自体はよく行われるものでありお互いが合意した場合にのみ行われる。


両者は勝った時の報酬を決めてもいいし何も決めずにただお互いの研鑽のために戦うということもある。



そんな中で俺と北杜は向き合う


彼は風紀委員長にふさわしい正装をしながら呟いた。


「逃げるとは思っていなかったがちゃんと来たようだな」


これまでの実績を知っているからこそ入学当初は相手にされなかった俺を認めてくれてる。

本当に人間ができていて嫌になるな


「勿論、理貴亜の為だからな」


「やっと自覚したか、だったら全力で挑めるな」


「もしかしてこれを狙ってたのか?」


「さぁ、それはどうかな、君が本当に理貴亜のことを思ってるかどうかだけ確認させてくれよ」


「あぁ、勿論!俺の全てをぶつけてやるよ!」


宣言した矢先にアナウンスが入る


「これより、葉水直と北山田北杜の決闘を始める!!ルールは殺害、今後の人生に影響のある攻撃を除くありとあらゆることを許可する!ではお互いはじめ!」


お互いの負けられない戦いが始まる!




最初は軽めの攻撃から放って出方を見るのがセオリー、しかしこの風紀委員長最初から全力で来ている。


一気に肉迫、先輩の基礎属性は風、スピードを加速させながら一気に突っ込んでくる


すんでのところでよけれたと思ったが頬から軽く血が流れる。


タラっと血が流れる感覚を感じながら自分も雷撃を放つ。


あっさり避けられて接近されさっきよりも深く傷を負う。それでも何とか致命傷だけは避けていく


「流石先輩ですね、早すぎてついていけませんよ…」


「そう言いながら致命傷だけは的確に外しているじゃないか、本当はさっさとダウンしてもらいたいんだけどな」


軽くしゃべる余裕はあっても実際はかなりギリギリ、どんどん血が滲み皮膚が切れていく。


それでも避け続ける、圧倒的に戦闘経験が足りない俺が出来ることは一瞬の隙を狙うことが1番良かった。


最初から攻めて行くことも考えていたけれど返り討ちにされることがわかるくらいには圧倒的な力量だった。


だから一撃のカウンターにかけるはずだった


「お前にはそれしか出来ないのか、ガッカリだよ」


「えっ?」


先輩から低い声で言われたと同時に脇腹に激痛がはしり、直感的に距離をとる。


脇腹を見ると血がボタボタと垂れていてこのままいくとこのままいくと失血で死ぬ前まで確実にいく…

俺が意識を保ってられるのはあと数分…


「ここまで差があるのか。仕方ないな、あれを使うか。しかし行き当たりばったりだな」


言霊を使えるのは今のところ数回、しかしそれで十分だ。


「現界せよ、ロキ!」


なんとか一時的にロキを降ろすことに成功していた。


「何をブツブツ言っている、お前が来ないならこっちからいくぞ」


踏み出そうとした瞬間に違和感があり止まる


そこでは直が不敵に笑っていた


「仕込みは完了だ、さて始めよう!」




本来言霊とは言葉一つ一つには力がある。

その力とは目に見えない力だが確実にある。

そのチカラで現実世界に影響を及ぼすことが出来るのが言霊の真髄である。

橋本元斎の手記より




今の直の状態は正しく今の所最強の状態、最強のトリックスター、ロキを現界させ身体にその星力を纏わせながら自分の言霊の能力を紐付けして世界に大きな影響を与えようとする。


この能力は数回というランダム性が含まれている。

自分が放つ言葉に星力を使って現実化する能力。しかし話した言葉全てに宿ってくれる訳では無い。


簡単に言ってしまえばロシアンルーレットと一緒で装填数に対して発射できる玉は少ない。


9回言霊として技を放ちたいとおもっても1回も出ないこともあるし9回全部出ることもある。


完全にギャンブルな能力。


しかしロキを現界させ星力を借りることで確実に3発までは確実に効果を発揮できる。


それ以上は完全なギャンブル、だから3回で決めなければ完全に負ける。


「その星力の量はなんだ・・・?」


「ちょっとした僕の能力ですよ、先輩」


3回の願いのうちの1つ目を呟く。


「身体を治せ!」


そう言うとみるみるうちに傷はふさがっていく。しかし完全回復などではなく、あくまで止血程度。


「その訳の分からない能力を暴かせてもらうぞ!」


北杜が風を操り体を切り裂くつもりで接近してくる。それに対して行う2つ目の言霊は決まってる。


「近づいてくるって選択肢が負けなんですよ、先輩、囲いこめ!」


近づいてくる北斗の周りにドロのような黒いものが現れまとわりついていく。完全に動きを止められもがいているが手も足も出ずに北杜を覆い尽くして拘束する。


「先輩これで終わりですかね?」


突然北杜にまとわりついていた黒いものが内側から光り弾け飛んだ!


「これで勝ったつもりか?」


「おいおい、まじですか先輩…」


「まさか俺の固定星力の方を使わせるなんてなかなかだったよ、でもなこれを出したからにはお前は確実に倒させてもらうよ」


「その能力は鏡…?」


北杜の回りに鏡がいくつも回っている


「そう鏡…この鏡で全てを弾き返しまたは光を打ち出してあらゆるものを粉砕するそれが俺の能力なんだよ」


「先輩のその能力始めてみましたよ…それが隠してた固有の能力なんですね…」


「そうだよ、使ったのはお前が始めてだよ」


「そこまで本気なんですね、先輩」


「勿論だよ、本気を出して潰さないと勝負にならないだろ? 」


「確かにそうですね…先輩それじゃあ俺もいきますよ!」


言霊は後1回しか使えない。


だから雷撃を攪乱に使って確実に言霊のワザを食らわせていく。


「それしか方法がないか…」


「ほらほら早くしないと光で撃ち抜くぞ!!」


「先輩にこれをプレゼントですよ!」


ただの電撃の玉を打ち出す、何発も何発も打ち出していく


「そんな弱い攻撃じゃ俺には効かないぞ!」


「それくらい分かってますよ、先輩」


確かに先輩は強い…だからこそこの一瞬の時間を作り出せる!


撹乱に使っていた電撃の玉これを全て弾き尚且つ俺に光をぶつけるとなると相当な脳のリソースを使うことになる。


しかし先輩はそういった意味でもとんでもない頭をしている。


理論に基づいて行動している。


だからこそこの一瞬を作り出せた!


完璧なロジックで成り立っている所にイレギュラーの言霊の能力


最後の1つで紡ぐ言葉は一つだけ


自分の思い通りにできる事象の範囲はとてつもなく小さいがそれで充分


「鏡よ、割れろ!」


北杜を囲むように展開していた鏡が全て割れその破片が降り注いでいく


身をガラス片で裂かれながらも立っている先輩


しかしそこまでだった


そのガラス片が飛び散らなくなった時には…


気絶していた。


つまり勝ったのだ


そう認識した瞬間どっと疲れが出たのかその場に崩れ落ち意識を手放したのだった。






読んでくださりありがとうございました!

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