ぐしゃぐしゃの空【木村】
河川敷には小さな黄色い花が絨毯のように咲き誇っていた。河川敷の下にある川に面した空き地では小学生ぐらいの子達がきゃっきゃと鬼ごっこをして遊んでいる。
俺は河川敷の斜面に座りただぼーっとそんな風景を眺めていた。
どうして俺を避けるんだ?
2ヶ月前「明日から一緒に朝登校するのをやめよう」唐突に送られてきたメール。彼氏でもなんでもない俺は理由を聞くのもおかしいと思たが思わず理由を聞いてしまった。だが当然教えてはくれない。
彼氏が出来たんだなと真っ先に思った。だけどそれがどうしたというんだ。あいつはあいつの人生があり俺には俺の人生がある。美香が誰と付き合おうが俺には関係ない。そう無理やり自分を納得させようとした。
だけどどう頑張っても美香との今までの思い出がそうはさせてくれなかった。
今まで自分の中で必死に誤魔化してきたが改めて気づかされた。自分が美香の事を好きなんだと。
だからこそ彼氏が出来たのなら誤魔化さずに言って欲しかった。だけど今更ながらそれは自分に対する甘えだと気付いた。どんなに一緒にいた時間が長くても美香と俺は所詮他人同士。あいつが何をしようともあいつの勝手なんだ。
草の絨毯の上にばたりと仰向けに倒れる。空は憎いほど青空だ。
古村達には本当に申し訳ない。
下手をすれば退学になるかもしれない状況なのにこんな自分に付き合ってくれた。結果的に門前払を食らったが自分一人ではあそこまでは出来なかった。
美香の事は諦めよう。この様子じゃもう会えないかもしれないな…。
ぐしゃぐしゃした気持ちを抑えこみたかった俺はそっと目を閉じた。