表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/18

第2話 確認事項


 朝の連絡事項は、簡潔だった。

 変更点は一つだけで、影響範囲も限定的だった。


 掲示板の前に人が集まっていたが、混乱はない。誰かが読み上げ、周囲がそれを確認する。理解が揃ったところで、自然に解散した。


 自分も内容を確認した。問題はない。


 教室に入ると、いつもと同じ配置だった。席の位置も、机の並びも変わっていない。環境が維持されていることは、判断を早くする。


 始業前、担任が教室を見回す。

 視線が一瞬こちらで止まったが、すぐに逸れた。

 それで十分だ。


 授業が始まる。

 進行は予定より少し早い。質問が出なかったためだ。教師は間を取ろうとしたが、特に補足する内容も見当たらなかったらしい。そのまま次に進んだ。


 途中で配布物が配られる。

 内容は既知だった。形式も以前と同じだ。記入欄を確認し、必要な項目だけを埋める。余白は残す。すべてを書く必要はない。


 隣の席の生徒が、小声で確認してくる。

 「これ、ここまででいい?」

 「大丈夫」

 それで会話は終わった。


 休み時間、数人が集まって話している。

 内容は行事の準備についてだった。進捗が遅れているらしい。


 意見を求められたので、現状を整理する。

 遅れの原因は、役割の重複だった。誰かの負担が増えているわけではない。ただ、整理されていないだけだ。


 「ここを分けた方がいい」

 そう伝えると、全員が納得した。反論は出ない。


 「じゃあ、それで」

 決定は早かった。


 その場の空気が落ち着く。誰かが冗談を言い、笑いが起きる。自分は聞いているだけでよかった。反応は求められていない。


 次の授業に移る。

 教師が少し疲れているように見えたが、進行に支障はなかった。板書の速度が一定で、理解しやすい。


 指名されることはなかった。

 それでいい。


 昼休み、委員会の連絡が入る。

 午後の作業について、確認事項があるという。内容は共有済みだったが、念のため再確認する。齟齬はない。


 「助かる」

 そう言われたので、「問題ない」と返した。


 午後、短いミーティングがあった。

 進行役が少し言葉に詰まる。資料が多く、説明が追いついていない。


 代わりに要点を整理して伝える。

 必要な部分だけを抜き出す。余計な解釈は加えない。


 場が整う。

 進行役は安心した様子で、次に進んだ。


 「いると助かるよね」

 誰かがそう言った。


 否定も肯定もしなかった。

 事実として、作業は進んでいる。


 放課後、職員室に呼ばれる。

 先日の提出物について確認があった。形式上の問題はないが、一点だけ修正案が出された。


 内容を聞き、即座に判断する。

 修正は可能だった。手間も大きくない。


 「それでお願いします」

 そう伝えると、教師は安心したように頷いた。


 「君に任せておけば大丈夫だから」

 その言葉に、特別な返答はしなかった。


 帰り道、同じ方向の生徒と並ぶ。

 天気の話を少しする。明日は雨らしい。傘が必要だという話で終わる。


 それ以上、話題は広がらなかった。


 家に着き、いつも通り準備を進める。

 修正が必要な書類に目を通す。指摘された点を直す。余計な装飾は加えない。


 作業は短時間で終わった。


 提出用のデータを確認する。

 不備はない。


 記録として残す必要はない。

 特別な判断はしていない。


 机の上には、やるべきことが残っていなかった。

 確認する項目もない。


 電気を消す前に、明日の予定を見る。

 変更はない。


 今日も、

 誰も困っていない。


 それで十分だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ