表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/126

ごろつきの襲撃 ラセルside

「なんで俺らだけ仲間はずれ?」


 ラセルは不満げにキースに話しかけた。


「レイナと女の子同士の買い物とかあるんじゃない? 男には見られたくないような」


「あえて護衛にビスを選んだ意味は?」


「そりゃ、レイナの彼氏だからじゃん。俺らは違うじゃん」


「そか」


 ようやく納得したラセルは、メインストリートを抜け、公邸へ向かう道に入る。人気のない、川沿いの大きな道だ。


 ふと、ラセルがピクンと気配を察知する。いつでも剣を抜けるようにしておいた。


「キース気付いた?」


「なにを?」


 何もわからずきょとんとするキースに、ラセルは軽く溜息を吐いた。


「わかんねーのか……お前さ、もうちょっと真面目に剣術やったほうがいい。くるぞ」


「だからなに……ぎゃっ」


 いきなり草むらから大勢の屈強な男達が現れ、二人を取り囲んだ。


「よぉ、クソガキ。久しぶりだなぁ」


 見覚えのある男がいつもよりもご立派な剣を持って現れた。ナルメキアの人攫いの連中で、ラセルとは顔見知りである。


「……ルーシブルに出稼ぎか? ここは警備兵が厳しいぜ。転職したのか?」


 ラセルは軽口を叩くけど、ふと様子がおかしいことに気付く。


――こいつ、こんなんだっけ?


 ある程度の実力者なら、やり合う前に相手の実力わかるものだが、これまでの人攫いのまとうオーラや殺気とは異なっているのだ。


 それに一人二人のみではなく、全員がなんとなく強そうなのだ。


 いつもなら素手でなんとかなる。しかし今日はそうもいかないような気がする。わざわざルーシブルまでやってきて、声をかけてきたのだ。


「転職は転職で違いねぇな。てめぇは俺ら以外にも恨み買ってるらしいなぁ? あぁ?」


 男から殺気がむらむらと盛り上がる。


「ラ……ラセル、この人達、なに!?」


 キースはあからさまに怯えて、剣を持つ手が震えている。


「ごめん、巻き込んで。ナルメキアで俺がよく遊んでいた人攫いだよ」


「げぇっ!?」


 ラセルは当りを見渡す。囲まれているが、一点突破でキースだけでも逃がすことができるかもしれない。正直なところ、キースは足手まといだ。


「キース、序盤は俺から離れるな。合図したら一点斬りこんで逃げろ」


「バカ! そんなんできるわけないじゃん! お前は俺の主君なんだから!」


「足手まといなんだって!」


「主君置いて敵前逃亡するわけにはいかない! 俺は最後まで戦うからね!」


「……そか。それもそうだな。俺も頑張って可能な限りお前を守るよ」


――キースのせいで難易度が上がったぜ。まぁいいや。


「今日こそぶっ殺してやるからなぁぁぁ!」


 殺気たっぷりに振りかぶってくる男と対峙しながら、キースを後ろに下がらせる。


「キース、一瞬目を瞑って。……シャインボム!」


 数が多すぎるので、後方の敵に目くらましの光爆弾を浴びせて行動不能にしてみた。攻撃魔法ではないため街中でも使用可能だ。


 ラセルは前方の敵に全集中し、こちらから急所を外しつつ斬り込んだ。ごろつきにしてはいいスピードだったが二人ほど一度に斬り捨てることができた。


 キースにも前方で自分の目に届く場所で戦うことを指示しておく。危なくなったら可能な限りフォローするためだ。


「変な魔法使ってんじゃねぇよ!」


 別の男が振りかぶって受け止めたが、なかなかのパワーだ。


――ただのごろつきじゃない。なんかドーピングしてる?


 蹴りあげて距離をとったところでまた斬り捨てる。またシャインボムを使用し後方を戦闘不能にしてから、前方の敵を5人一気に斬り捨てた。


「な……何人いんのこれ?」


「ざっと50人くらい?」


「じゃ……じゃあ前もシャインボムすればいいじゃんか!」


「それじゃフェアじゃないだろ」


 ラセルはまたこちらから踏み込み、今度は4人斬り捨てる。急所を外して大勢斬るのはなかなか大変な作業なのだ。


 キースも全力で戦ってくれて、なんとか半分まで減らせるようになった。


「そろそろ疲れてきたんじゃねぇのか?」


 リーダー格の男が余裕な表情で聞いてくる。確かに25人斬りは少々疲れてきた。


 キースは肩で息をしているくらいだ。


 キースめがけて3人で斬り込んでくる。さすがにこいつにこれはムリと思い、ラセルが無理やり介入し、1人を蹴り飛ばし、もう1人に斬り込んだ。


 しかし、そのタイミングでリーダーの攻撃の対処が遅れ、二の腕が斬られてしまう。


「ラセル……!」


「大丈夫だから」


 あまり大丈夫ではないのだが、キースがパニックになるのを防ぐ。


「お前らなー、2対50は卑怯だって。本気で行くからな!」


 簡単にヒールをかけて、とりあえず全力で前方10人相手にし、後方にはサンダージェイルをかけて、雷の檻に入れておく。


「よ……よし……あとは……檻の中の連中と……お前だ……」


 ようやくリーダー格と差しで対決の時だ。さすがに疲れてきたが、その時、身体が急にだるくなった。


「……お前、剣になんか毒塗っただろ?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ