フハイの魔術師
見よ、エッセイは赤く燃えている!!
※そのフハイの話ではありませぬ。
森の中で楓の葉が赤いモミジになっている。
小さなタヌキくんと、頭に王冠のようなものを乗せた白いおサルさんがいる。
二人の間にあるお皿には、栗羊羹が乗っている。
皿の横には湯気のあがる湯呑も置かれていた。
「んとね。白猿さん。豆腐と納豆って、どちらも大豆でできてるんだよね」
「そうだぜ。大豆を茹でて絞れば豆乳ができる。それににがりというものを入れるとドロッとしたかたまりになる。それを型に入れて水を切れば豆腐になるぜ。納豆は大豆を茹でて、稲ワラなどについてる納豆菌で発酵させるとできるんだ。昔は包装パックじゃなくて、ワラで包んだ納豆が売られていたな」
「にがりって何?」
「海水を蒸発させて、塩を採ったあとに残ったものだ。主成分はマグネシウムなどのミネラル分だぜ」
「んとね。豆腐と納豆は字が逆だと思うの。豆腐は型に納めているし、納豆は菌で発酵させてるの」
「『腐』という字は『やわらかくなる』という意味もあったんだ。府と肉が合わさっているよな。府は貯蔵庫だ。ここに狩ってきた肉を保存しておくと、最初は硬い肉がだんだんやわらかくなる。大豆がやわらかくなった食べ物が豆腐だぜ。日本の奈良時代の文献では、唐符と書かれたものもあるぜ。中国から製法が伝わったんだな」
「じゃあ、納豆はなぜこの字になったの?」
「昔、お寺の台所を納所と言った。ここで作られたのが納豆だぜ」
「そうだったんだ。ぼく、納豆は食べられるけど、においは苦手なの」
「発酵食品は、それなりに独特の匂いがあるな。ミソやチーズやお酢、漬物の一部もそうだ。苦手な人には嫌な匂いなんだろうな。最近は匂いを抑えた納豆もでてきているけどね」
「んとね。お菓子の甘納豆は好きなの」
「甘納豆は納豆と全然違うぜ。甘納豆は豆を砂糖で煮詰めたものだ」
「納豆って健康にはいいらしいけど、あのネバネバの糸も少し苦手なの」
「あのネバネバに旨味成分が入ってる。よく混ぜることで、味がまろやかになるぜ。食べ物以外でもあのネバネバを使って、水をきれいにする技術もあるんだ」
「納豆の糸で、水がきれいになるの?」
「セラミックのブロックにネバネバの糸から取り出した納豆菌をつめたものが、ペットショップなどで売られている。金魚などの水槽にいれておくと水がきれいになるんだ。水槽で納豆菌が繁殖すると、納豆菌が他の菌を食べて増殖するんだ。納豆菌は金魚に悪影響がないので、悪い菌が減らせるんだ」
「んとね。本当にきれいになったか、見てもわからないと思う」
「他にもネバネバで作った薬剤で、池の水をきれいにするものもあるぜ。それを池に撒くと、ネバネバが水の汚れを吸着して沈む。それで水の透明度があがるんだ」
「なるほどね。池の魚には悪影響はないんだね」
「似た方法で、発展途上国の飲み水の浄化するような薬剤もあるぜ。濁っている井戸水とか水道水で、この薬剤を使うと透明な飲み水ができるんだ」
「納豆菌で、飲み水の悪い菌を減らせるのかな?」
「製品のメーカーは、ばい菌を減らす効果はないと言っているな。汚れが減るだけでも健康にはよさそうだ」
「納豆は発酵して作られているから、長い時間がたっても腐らないのかな」
「そんなことはないぜ。正しい保管方法で賞味期限内に食べよう。発酵食品でも、時間がたてば腐敗して、お腹をこわすリスクが上昇するぜ」
「んとね。豆腐は中国から伝わったみたいだけど、納豆もそうなの?」
「糸を引く納豆は日本が発祥で、聖徳太子とか源頼家が発見したという説もある。中国の納豆は麹菌を使ってて糸を引かないんだ。ただ、稲も中国から来たことを考えると、中国でも糸引き納豆があったかもしれない。三国志の曹操っていう武将も結構食通だったから、納豆を食べていたかも」
「なぜここで曹操が?」
「丞相の天才だからだ」
なろうの歴史にまた1ページ……
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『常勝の天才』対『不敗の魔術師』
アダルトな広告よりはよっぽどいいですねぇ……
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※筆者は別作品で『あつまれエッセイ企画』に参加しています。