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悪役になりたい王子の国づくり  作者: プルル二世
第一章
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五年後

 ドルックとの騒動から約五年が経過した。

 五年ということは、俺は十二歳になった。五年の月日があれば、色々と大きく変わっていった。まず第一に、俺の身体の成長だ。身長は伸びて、魔力量も五年前よりも増えた。

 そして、大きく変わったことの二つ目が俺の配下が急激に増えたことだ。

 そのうちの一人が・・・・


「どう?これでいいかしら?」


「ああ、流石だな」

 

 俺と話す彼女は新たな配下の一人で、名をフレンという。フレンは、俺が欲していた俺の脳となるような人材だ。その為、彼女には俺の仕事のサポートを任せている。

 そして、何故かは知らないが、フレンは敬語を使うのが苦手と言った。彼女は配下ではあるが、他の貴族たちが見ていなければ、敬語でなくても良いと許可をした。

 二人で黙々と仕事を進めていく。

 途中、一人ごとのように一言言葉を発する。


「『影』」

 

 俺の言葉に反応した者達が、二人しかいなかった部屋に突如現れた。

 『影』とは、ドルックの一件で俺の配下となったルカをリーダーとした裏の諜報を主にした部隊だ。当初こそ、ルカ一人だったが、五年をかけて人数を増やしていった。

 俺の呼びかけにいつでも応じる『影』たちは、即座に目の前に姿を見せた。

 指示を待つ彼女たちに、指示を与える。


「これについて、調べておいてくれ」


「はっ、了解いたしました」


 指示の内容を書いた紙を見せて、すぐに覚えさせた。そして、指示の内容が記した紙は数秒後に消去した。これは、『影』に命令を出す時に、絶対に行っていることだ。『影』という部隊は、他の者達が知らない部隊である。その為、何か勘づかれるような証拠となるような物が何一つあってはいけない。

 俺の指示内容を理解した『影』たちは、その場から消えて任務に向かった

 俺とフレンは、残りの仕事を何とかまとめた。仕事とは言っているが、その半分以上は研究などが占めている。建前として、仕事と言う言葉を使っている。父から与えられた王族としての仕事は、とっくに終わらせている。

 タイミングを見計らったかのように扉を叩く音が聞こえてきた。見当がついている俺は、扉を叩くものを中に入るのを許可した。


「アレン様、準備が整いました」


「そうか。では、向かうとするか」


 入ってきたのは、五年で俺以上に成長をしたユリウスだ。ユリウスの言う準備とは、これから行うことについての準備だ。

 行うこととは、隣国であるユーリシア王国への訪問である。

 この国の王族は、十二歳になると他国へ訪問をするという義務がある。その為、今年で十二歳になる俺が行わなければならない。

 他国への訪問ということだけあって、身なりをいつも以上に整えていく。

 外に出ると、一台の豪華な馬車が用意されていた。馬車には俺とユリウス、フレンの三名が乗った。俺たちが乗ったのを確認すると、目的地である隣国に向けて出発した。


「ユーリシア王国までは、何日で着くんですか?」


「そうね、この王都から二つの領地を越えたところにあるから、二日もあれば着くでしょうね」


「どんな国なんですか?」


「俺が調べた限りだと、相当な実力主義な国らしい。フレンは何か知ってるか?」


「私も、同じくらいのことしか」


 一応、友好的な訪問ではあるが、情報の少ない場所なだけに皆の警戒心は高まっている。それを示すかのように、俺が乗る馬車の周りを配下の者たちが囲うように進んでいる。そのせいで、馬車の窓から見える景色は最悪だ。

 休憩を挟みながら進んでいくが、何時間も座っているだけなのは退屈でしかない。移動中の暇つぶしにと思い、ユリウスが持ってきた本を読みながら目的地に着くまでの時間を潰していく。

 安全で、最短の道を選んでいるおかげで、特に何も起こることはなく一日目の目的地に辿り着いた。今のペースならば、明日の昼にでも着くことが出来そうだ。

 今日は、最寄りの宿に泊まることになった。


「申し訳ないのですが、今日はこの宿に泊まって頂くことになります」


「別に構わないよ」


 宿の部屋に入ると、当然ではあるが自分の部屋よりも狭い部屋となっている。

 食事は宿でとるしかなかった。普段の食事から考えると、決して美味しいとは言える食事ではなかった。だが、流石の俺でも場を弁えることはする。文句は言わずに、完食をしきった。

 部屋の中に置かれたベッドは、いつものより硬くて違和感を覚えた。とは言え、眠らないわけにもいかないので、眠りにつくのに少し時間はかかったが、何とか眠りについた。

 朝は早く、五時になる頃には宿を出立した。

 前日と同じペースで馬車は進んでいった。

 

「あそこが、ユーリシア王国か」


 数時間経った時には、隣国のユーリシア王国が窓から覗き見えた。国土は、我が国よりも小さいが、それなりに発展している街なのは見えていて分かる。

 どんなことが起きるのかは想像しづらいが、うまくことが運ぶことを願うとしよう。そう思いながら、ついにユーリシア王国に足を踏み入れた。

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