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悪役になりたい王子の国づくり  作者: プルル二世
第三章
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やるべきこと

 クリシア姉さんと話し合いをしてから、四日が経過した。

 その四日間で、これといった進展はない。

 いや、そもそも・・・・・・・・・


「どうするんですか?反撃に出るようなことを言っていましたが、今のところ、優雅に紅茶を嗜むくらいのことしかしてませんけど」


「ユリウス、今回ばかりは、お前の言う通りだ。今のところ、俺に出来るのは紅茶を嗜むことくらいだ」


「第一王女様との話で出てきた【纏まりの笛】という物を奪えば良いだけのことじゃないですか?」


 そう、ユリウスの言うことに間違いはない。

 ただ、それを実行に移すのが難しすぎる。それに、先のことを考えれば、単純に奪うだけでは解決にはならない。

 今は、どうするべきなのかを考える必要がある。

 その筈なのだが、目の前ではフレンが、ぐったりとしている。

 

「それにしても、退屈だよね」   


「そうだな、四日間もこんな生活をしているからだろ」


 フレンが退屈と感じるのも無理はない。

 何せ現国王から、ここにいる三人には四日間の休暇を言い渡された。だが、休暇とは建前であって、本心は俺たちを少しの間だけでも、自由に行動が出来ないようにしたいのだろう。

 流石に、現国王からの言い渡しを断ることは得策ではない。

 だから、その時間を無駄にしないようにと色々と考えていたが、フレンの奴が一日目で既に退屈そうにしていた。

 そして四日目の今日、俺も退屈を感じている。

 それに比べて、ユリウスは一ミリも退屈な様子を感じさせない。元奴隷ということもあって、何もしないでいることには慣れているのだろう。


「それで、本当にどうするつもりなの?あの人が国王だと、まともに内政にすら関わらせてもらえないよ」


「当然のことだろうな。さらに言えば、現状のように俺たちを、手の届く範囲内で監視しておきたいと思っている筈だ」


「どうします?殺しますか?」


「それが簡単に出来たら、こんなに悩まないさ。それに、ただ暗殺だけをすれば、罪人となり、王位に就くことが出来なくなってしまう」


 ユリウスの提案を否定はするものの、急いで行動に移そうとする気持ちは理解できる。それに、今から王位を手にしようと思ったら、正攻法では解決しない。

 ただ、それを踏まえての策は、既に一つだけ考えている。

 その策というのが、民衆による反乱を起こすというもの。あまり時間をかけられない中で、俺とフレンが話し合った結果による最良の選択だ。

 当然、懸念事項はいくつもある。

 そのうちの一つが、民衆に対する催眠の効果の程度だ。考えたくはないが、洗脳による効果が強すぎて、反乱の意思を持たない可能性も充分あり得る。その時点で、この策は終わりだ。

 だからこそ、俺たちが真っ先にするべきことは・・・・・・


「とりあえず、街に下りて、民衆の現状を把握するしかないな」


「だね。出来る限り全体を把握しなきゃだよ」


 とは言え、今日は外に出られないから、街に下りるのは明日。

 今やるべきことは、反乱が起きた時の為の準備だ。自分で、民衆に反乱を起こさせる策を考えておいてなんだが、普通にやっても反乱が上手くいく可能性は極めて低い。普通は、反乱を起こしたとしても、王宮を守護する騎士団に抑えられて終わりとなる。だからこそ、この王国では反乱が起こったという歴史がない。

 そうなってしまうのも当然。なぜなら、この世界では魔力量の差で実力が決まるとされているからだ。例外などもいるが、一般的に、自身よりも魔力量の多い者とは闘わないというのが常識とされている。実際、民衆十人が束になっても騎士一人に手も足も出ないのは確実。

 つまり、俺たちは、民衆の反乱が上手くいくようにバレない程度の補助をしなければならない。ただ、その点についても、ある程度の見通しは立ててある。

 

「これを使えば、民衆たちが反乱を起こそうという気持ちが少しは芽生えやすくなるだろう。それに見合うだけの効力があるのだから」


「これは、あの時に使用した物ですか?」


「ああ、今は使い物にならないけどな」


 俺が懐から取り出して、二人に見せたのは、魔力の使用を不可能にする道具『狂わす者』。今は使えないが、修理すれば、すぐに使える。

 しかし、俺が取り出した物を見た瞬間、フレンは何かを言いたそうにしていた。そんなフレンの表情が見えていた俺は、咄嗟に、どうかしたのかと問いかけた。

 フレンは、道具を手すると、真っ直ぐ俺の方を見た。


「言いにくいんだけど、これって今回の反乱には不向きなんじゃない?」


 フレンの問いをユリウスは理解できていない様子。それもその筈、フレンの問いは、道具の制作に携わった者だからこその問いなのだ。

 フレンの言うように、これを修理して使用しても反乱は成功しない。大きな問題点として、反乱を起こした時に、この道具一つでは効果範囲が狭くて反乱の成功にはならない。その為に複数個ほしいところだが、この道具を量産するのが、現状では難しいだろう。だからこそ、フレンは反乱には不向きだと言っただのだ。

 ただ、俺も制作に携わった者の一人だ。そんなことは最初から理解している。それ故に、フレンも俺が返す言葉を待ってくれているのだろう。

 そんな彼女に向けて俺は事前に考えていたことを伝える。


「たしかに、これを直したところで大した結果をうむことはないだろう。それに加えて、量産は困難ときた。それならば、話は決まっている」


「どうするの?」


「効果範囲を拡大すればいいのさ。複数個作るよりは、はるかに簡単だろ?」


 いや、そんなことはない。自分で簡単と口にしたが、難しいことは間違いないだろう。

 ただ、俺は知っている。

 そんな難しいことにこそ、彼女はやる気を見せてくれると。


「そこまでいくと、天才なのか馬鹿なのか分からないよ。でも、やるにはやってみるよ」


 そう言う彼女の表情が、いつになく笑顔だったのは気のせいではないのだろう。

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