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悪役になりたい王子の国づくり  作者: プルル二世
第二章
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予期せぬ反乱③

 どうやら、反撃をしなかったのは正しい判断だったのかもしれない。


「クソッ、あの御方からの命令を全うしなければ」


 焦りからなのか、俺が聞かなくても色々と喋ってくれている。ただ、これ以上は大した情報を得ることは出来ないだろう。それに、俺との実力差も理解した筈だ。

 痛めつける趣味はないし、一思いに殺してやろう。

 次に攻撃してくるタイミングで、カウンターを放つ。それで戦いは終わる。

 そう思って、次の攻撃を待っていたが、サラングレッジはその場に立ち止まった。

 

「これを使えば・・・・・・」


 そう言って何かを取り出した。その物が何なのかはハッキリとはしていない。ただ、サラングレッジのとった行動によって何の物なのかを考える必要がなくなる。

 取り出した物を、自分の体に向かって打ち込んだ。

 一連の行動が、俺の記憶の中にも残っている。それは、五年前の記憶。

 あれは、投薬した者を大幅に強化させる物だ。

 そんな物を、この男が持っているとは想像もしていなかった。あの御方と呼ばれる者から渡された可能性が高い。

 いや、そんなことよりも、今は目の前の奴に集中しないとな。

 五年前とはドルックとは違い、サラングレッジは異形の姿になることはなかった。見た目は変化はないが、魔力量が貴族以上のものへと変化している。

 五年前に倒したドルックは、戦闘力だけで見れば、そこら辺にいる者と大差はない。そのドルックでさえ、あの薬を投薬すれば強大な力を得ることが出来る。

 

「これだ、この力があれば、俺は誰にも敗けない」


 どうやら、自我はしっかりと保てているようだ。自我を失くして暴れられるよりは、自我を保って俺を優先的に狙ってくれる方が何倍も戦いやすい。

 一先ず、様子見といくべきか。

 いいや、ここは距離を詰めて相手の首を狙うべきだ。

 この場においては、先手をとるに越したことはない。

 だからこそ、戦い方も数秒前とは違う。魔力の使用にも躊躇いはない。

 俺が動いても、サラングレッジは一歩も動くことはなかった。単純に、反応が出来なかったのか?それとも、攻撃をしてくると分かっていながら、あえて動かなかったのか。

 それは、一度攻撃を放てば分かることだ。


「多少はマシになったんだろうなっ!」


 俺が放ったのは、魔力を纏わせた首を狙った攻撃。本気とまでは言わないが、さっきまでの状態ならば、確実に仕留められる一撃だ。

 そう簡単に避けることも、受け止めることも出来ない。大抵の者が、それをする間もなく死んでしまう。

 大抵の者。つまり、全ての者ではない。 

 現に今、目の前の男が俺の放った攻撃を短剣一本で受け止めた。

 

「なんだよ、この程度かよ。俺は、こんな奴に苦戦していたのか」


 そこまでの驚きはない。ある程度の想定はしていた。だが、こんなに簡単に受け止められたのは久しぶりだ。

 攻撃を受け止めたことで自信がついたのか、すぐに反撃の姿勢となった。

 サラングレッジも短剣に魔力を纏わせた。とは言え、所詮は短剣だ。一定の距離さえ維持していれば、問題はない。

 そう思ったのも僅かな時間。

 サラングレッジは、魔力を纏わせた短剣で、斬撃を飛ばしてきた。初見ということもあって、不意を突かれたのは否めない。それでも、斬撃は咄嗟に躱す。

 攻撃を躱した流れで、斬撃の行方を目で追った。

 斬撃の軌道には、二人の兵士が立っている。二人の兵士も斬撃に気付いたようで、必死に避けようと動く。一人は無傷で、もう一人は避ける際に足へと当たったようだが、見る限りでは軽傷のようだ。

 この程度の斬撃ならば脅威ではない。


「ああああああああ!」


 俺が脅威ではないのと判断したのと同じタイミングで、後ろから叫ぶ声が聞こえてきた。振り返らなくても分かる。なぜなら、俺は、似たような叫びを何度も聞いたことがあるからだ。

 決して良い事があった時に聞く叫びではない。それとは対照的で、苦しい時に聞く叫びだ。

 だが、理解が出来ない。たしかに、一人の兵士は惨劇が足に当たったが、叫ぶほどの痛みではない筈だ。

 では、二人の兵士以外の別の者の叫びか?それならば、それでいい。いずれにせよ、俺は後ろを振り返って叫び声の原因を確認する必要がある。

 原因が何なのかは後ろを見ただけで分かった。叫び声の主は、さっき斬撃が足に当たった兵士だ。

 ただ、足に当たった斬撃の傷が痛いから苦しんでいるのではない。毒による苦しみだ。その症状は、今日見た中で一番酷い。様子からして、あと数秒の命だろう。

 想像するのは容易だ。容易だが、真っ先に除外する想像と言っていい。まさか、斬撃にも毒の効果があるとは。


「どうだ、凄いだろ?これが俺の調合した毒の、真の凄さだ」


「真の凄さ?」


「ああ、そうだ。この毒は、魔力に反応する特性を持っている。当然、反応によって起こることは良い事ばかりだ。魔力に毒性を持たせることや、毒を強力なものへとさせるなど他にも色々・・・・・」


「そんなにベラベラと喋っていいのか?」


「それなら、問題はない。今ここで、お前は死ぬのだから」


 コイツをこのままにするのは危険でしかない。

 それに何より、この男の存在は俺にとって不愉快だ。

 不愉快な存在は排除する。それが、俺のやり方だ。

 

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