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悪役になりたい王子の国づくり  作者: プルル二世
第二章
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予期せぬ反乱

 何発放たれたのだろうか。最初こそ数えていたが、途中から数えるのを止めた。それ程の数の敵からの攻撃を、ユリウスが全て受けきっている。

 ユリウスは、敵の矢が尽きるまで受け続けようとしているのだろう。

 だが・・・・・・


「流石に、無理があるよね・・・」


 ユリウスがやろうとしていることは、俺やフレンにも理解できる。ただ、無理があるのは事実だ。ユリウスでも、魔力を纏った矢を受け続けるのは困難を極めるだろう。

 それでもユリウスは、やめることはない。

 相手の男は、容赦なく攻撃を続けている。

 第一試合よりも一方的な攻めの展開に、観ている客は大きな歓声から徐々に静かに観ようとするものへと変わっていった。

 流石に、魔力を纏って攻撃していることもあって、相手の男の弓を引く手が止まる。それもその筈と言うべきだろう。ただでさえ、普通に何十発も矢を放つだけでも疲れるのに、魔力を纏って放ち続けたんだ。それに、多くの魔力を保有しているようにも感じられない。そんな条件下で、ここまで攻撃を続けたのならば、大した実力だろう。

 ただ、それはユリウスにも言えることだ。


「なっ、馬鹿な・・・・・・」


 コロシアム内が静かなこともあってか、弓使いの男の驚いた様子が伝わってきた。まさか、ユリウスに全ての攻撃を受け止められるとは思わなかったのだろう。それも無傷で。

 その様子を観ていた客は、一気に沸く。

 弓使いの男が再び攻撃を仕掛けようとしているが、立ち上がることが出来ていない。これは、勝負あったと見るべきだろう。

 半ば諦め状態の相手に、ユリウスが近づいていった。

 その後の展開は観ている者全員が察していた。結果は、ユリウスが動けなくなった弓使いに一撃を入れて、戦いは終わる。

 たしかに弓使いの男は敗けたが、その実力は疑いようがないものだ。この戦いだって、ユリウスが敗ける可能性もあった。それを観客も理解してるからなのか、それとも単純に素晴らしいと感じたからなのか、今日一番の拍手が送られる。

 ただ、拍手を送られたユリウスは、納得してないだろうな。

 とは言え、勝ちは勝ちだ。


「これで、一回戦が全部終わったから、休憩を挟んで第二開戦だね」


 そう、気にするべきなのはユリウスのことばかりではない。

 何と言っても、次に行われる戦いだ。シエナの側近であるベレッカと、サラングレッジの二人による対決。あの一回戦を観た者ならば、二人の対決が気になるのも当然と言えるかもしれない。

 僅か五分の休憩時間だが、観客は待ち遠しく感じているだろう。

 五分の休憩がありながらも、観客は動く様子がなかった。ただでさえ、陽が昇っていて暑いというのに、それに加えたコロシアム内の熱気。それだけで嫌になりそうだが、ここにいる者たちは随分と物好きなのかもしれない。

 俺だって、この貴族専用の快適スペースが用意されていなければ、観戦を渋るだろう。

 その快適なスペースで次の戦いのゴングが鳴るのを待っていた。

 だが、ゴングの音が鳴る前に、別の音が鳴り響いた。それは、この場にいる全員が気付くほどの爆発音と言うべき音だ。

 このコロシアムでの爆発ではなさそうだが、近い場所なのは間違いない。

 

「おい、これもコロシアムの演出なのか?」


「そんなわけないでしょ。何があったのかは分からないけど、良い事ではなさそうね」


 それもそうだろうな。観客や、シエナの反応を見れば予想外なことなのは伝わる。

 コロシアム内がパニックへと陥っていく。そんな中で、冷静にリングを見ている者はいないだろう。そうでなければ、このタイミングで唐突にリングに出てきたサラングレッジに気付くはずだ。だが、観客の誰一人としてサラングレッジに気が付いていない。自分のことで頭がいっぱいなのだろう。

 

「聞け、無能ども!」


 リングの真ん中に立ったサラングレッジの叫びがコロシアム内に響き渡った。観客の視線が一気に集まったことで、一時的にパニックが落ち着きをみせる。

 無能ども。誰に向けて言っているのかは明言していないが、この場にいる観客たちに向けてだろう。

 それと、さっきの爆発とも確実に関りがある筈だ。

 まさか、観光のつもりで訪れたタイミングで、こんな厄介ごとに巻き込まれるとは・・・・

 知らない顔をして立ち去ることもさせてくれなさそうだ。


「このコロシアムに、二人の王族が来ているようだな。姿を見せないと、この場にいる観客を皆殺しにするぞ」


 サラングレッジの脅しといえる叫びで、再び観客がパニック状態へと陥る。

 

「おい、何か恨まれることでもしたのか?」


「知らないよ。王族なんだから、恨みの一つや二つなんて持たれて当然でしょ。それよりも、貴方は何かしたの?」


 そう。シエナならまだしも、初めて来た俺も含まれているのかが不明だ。

 さて、俺はどう動こうか。観客が人質になっているとはいえ、俺が姿を見せる義理はハッキリ言ってない。自分の王国の民ならまだしも、他国の民を気遣わなかったところで、自分の王国の民からの心象は変わらないからだ。

 ただ、隣にいるシエナは、そうもいかない。

 

「悪いんだけど、協力してくれないかな?」


「高くつくけど、イイのか?」


 どうやら、姿を見せる義理が生まれてしまった。

 それに、表情には出していないが、シエナは内心では怒っているだろう。この女が、自分が手掛けているイベントを邪魔されて不機嫌にならないわけがない。

 ならば俺は、彼女を少しでも手伝って、今後の為に恩を売っておくことにしようじゃないか。

 

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