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悪役になりたい王子の国づくり  作者: プルル二世
第二章
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対談②

「いや~、君と話すのは面白いね。とても、子どもとは思えないよ」


 それが、数十分話した王の俺に対する感想だった。

 面白いとは言っても、俺としては何気ない世間話に付き合っただけにすぎない。

 

「それを言うなら、貴方の方こそ大人というより子どものようですね」


「素晴らしい褒め言葉じゃないか。私は、子ども心を忘れないことを心がけているから、そう言ってもらえて嬉しいよ」


 サンドラル王は、何を話しても楽しんでくれているようだった。俺としても、有意義な時間だったのには違いない。

 ただ、これ以上話す内容は俺にはなかった。それに、俺にも用がある。

 話の終わりの意思を示すために、椅子から立った。


「それじゃあ、私はこれにて失礼させていただきます。数日間は滞在する予定ですので、何か用があれば、何なりとお呼びください」


「そうか。それならば、色々と観光していってくれ。これから、互いの国が友好的な関係に近づくためにも」

 

 サンドラル王の一言で、俺との話し合いは終わった。

 話し合いが終われば、この部屋に留まる理由はない。

 俺は護衛のユリウスたちと共に、部屋を後にした。

 当初からの用を済ませる為に、目的の場所へと向かう。その道中、普段なら何かしら話しかけてくる筈のユリウスやフレンは黙ったままだ。

 無理もない。いくら和解をしたとは言え、この国が味方と言えるわけでもない。そんな状況の中、国のトップたちが集まる王城内を気楽に歩くほど平和ボケしてはいない。

 

「ここだ」


 俺たちが目的の場所として来たのは、王との会談を行った部屋から少し離れた場所にある一室だ。

 会談を行った部屋と同様で、扉は大きく他の部屋とは違う雰囲気が漂っている。その扉を、叩くことはせずに迷わず開けた。

 

「長すぎる。いつまで待たせるつもりなのよ」


 そう言って不満そうにしているのは、第一王女のシエナだ。その様子は、第一王女としての仮面を被ったシエナではなく、素のシエナと言っていい。

 第一王女のシエナとは、『影』の者たちを通じて何度か連絡を取り合っている。だからこそ、様子が変わっても驚くことはない。素のシエナも知っていたからだ。

 そして、今回のもう一つの目的が、彼女と会って話し合いをすること。

 俺は彼女の目の前の椅子に座った。


「文句は、貴方の父親に言ってくれ。こっちは、もう少し早く終わるつもりだったさ」


「だと思った。そんなことより、どうだった?私が差し向けた兵士たちは、上手くやってくれた?」


「ああ、思っていた以上の結果だよ」


 会うのは初めてだが、お互いに遠慮というのはない。

 俺とシエナの話し合いの主な内容は、あの戦に関すること。何と言っても、兵を差し向ける為に、情報を流したり、後押しをしたりしてくれたのは彼女だ。

 始まりは、俺が第一王女シエナのことを耳にして、何とか協力できないかと『影』を差し向けた。意外にも、彼女は返事一つで快諾してくれた。もちろん、タダというわけではない。

 俺たちの関係を一言で言うならば、利害が一致した関係と言うべきだろう。


「それで、俺が渡した『狂わす者』はどうだった?」


「あの魔力を封じる道具のこと?あれなら、使った兵士に聞いてみたけど、一個だけなら少人数しか魔力を封じれないから戦には不向きだってさ」


「そうか、その情報はとても有益だな。大人数相手には、実験できる数が少ない。何より、魔力の多い相手に使えたのが成果の一つだ」


 利害の一致とは言え、ここまでしてくれている彼女には素直に感謝している。それだけ重要なことだったのだ。お互いに、今日までは、誰かを通しての関りでしかなかった。当然、二人が考えたことや計画したことは知っているが、念のため確認をしながら話を進めていく。

 お互いの利益になることを話しているだけあって、俺のテンションも上がっている。

 話が長くなると思ったのか、ユリウスが紅茶の入ったカップを運んできた。それを目にした俺とシエナは、一息つくように紅茶を一口だけ口にすると、話へと戻った。


「成果があったのは私も同じよ」


「もしかして、あの貴族のことか?」


「ええ、そうよ。何としても早く消したかったの」


 シエナが消したがっている貴族というのが、俺が戦で殺した男だ。シエナ曰く、相当その貴族に腹を立てているのだが、それなりに高位の貴族だけあって簡単には消せなかったらしい。

 ただ、今回の戦という舞台を使えば、戦士ということで処理できる。それに、その貴族を討ち取った俺は、手柄を挙げたことになる。

 その貴族のことを思い出したからなのか、シエナの顔が明らかに不機嫌な表情だ。

 俺としては、一国の王女をここまで不機嫌にさせる貴族の話には少しだけ興味が沸いた。


「ソイツは、一体何をしたんだよ。そこまで嫌なことをされたのか?」


「嫌なことしかないわよ。貴族の中では独裁的だし、王族の私にも横柄な態度だし、自分に嫌なことがあれば誰かを斬りつけるし、他にも・・・・・」


「分かった。もう大丈夫」


 俺は彼女が全てを話しきる前に、話を遮った。全てを話しきると、彼女が思い出した怒りで爆発しそうな予感を感じたのだ。こういった彼女の感情の変化は、直接会わなければ気付けないことだろう。

 だからこそ、話していて感じる。話し合いに来た甲斐があったと。

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