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悪役になりたい王子の国づくり  作者: プルル二世
第一章
32/47

どうする

 俺たちの部隊は、後方で待機しているルート兄さんの下へと戻った。

 重症のギール兄さんには直ぐに治療が行われた。

 

「あれだけ息巻いといて、この様は情けないでしょ」


 負傷したギールを見て、第二王女のミランダが言葉を漏らした。そう言葉を発したミランダ姉さんは、無傷に近い状態だ。後ろにいる騎士団も、少し人数は減っているが、目立った損害は見られない。

 

「ミランダ姉さんの方は、大丈夫だったんですか?」


「大丈夫もなにも、敵兵の数が明らかに少なかったし、急に退くから、戦ってる時間なんて僅かだったわよ」


「追わなかったんですか?」


「アンタ馬鹿?罠の可能性もある状況下で、無策のまま追えるわけないでしょ。だから、こうして退いてきたのよ」


 どうやら、ミランダ姉さんは自ら退くべきだと判断したらしい。似たような状況でも、ギール兄さんとは対称的だ。

 戦った時間は僅かだと言うが、しっかりと手柄は持ち帰ってきている。

 ミランダ姉さんの部隊と、相対した敵軍のリーダーらしき人物の首を手にしていた。

 それでも、戦いの結果には納得しきっていない様子だ。

 

「三人とも使命をしっかりと果たしてくれたようだね。三人が、ちゃんと生きて帰ってきてくれて良かったよ。生き残った兵士たちも、よく戦ってくれた」


 そう言葉を発してながら近づいてきたのは第一王子のルート兄さんだ。

 第一王子からの労いの言葉に、兵士たちは喜びの感情を露にした。


「それと、兵士から報告があったのだが、敵軍は全兵を国へと退かせたようだ。損害だけで考えれば、痛み分けといったところだろう」


 ルート兄さんから兵士たちに向けて、戦の終わりが告げられた。

 それを聞いた兵士たちは、再び喜びの感情を露にした。

 そんな中でも、俺とミランダ姉さんには、喜んでいる暇などない。戦は一応の終わりを見せたが、国としては、このままで終わらせるわけにはいかない。


「一先ず、我が軍も王都へ帰還するぞ」


 負傷した兵士たちは、応急処置だけ行い、本格的な治療は王都で行うこととなった。

 帰還の準備が整うと、ギール兄さんを先頭に王都へ向けて進み始めた。

 行き程の緊張感はないが、和やかと言える雰囲気でもない。そんな雰囲気を感じ取れていないであろう馬鹿二人が、俺の側で、くだらない話をしている。


「だから、アンタはもう少し戦いたい欲を抑えろって言ってるの」


「そう言われましても、抑えられない欲は仕方がないと思うしかありません」


「お前ら、そんな話は国に帰ってからしてくれ」


 負傷者がいることもあって、帰国のペースは早いとは言えない。ただ、兵士たちは戦の後であるにもかかわらず、休むことはなかった。その甲斐もあって、想定していた時間よりも早く王都についた。

 王都に入ると、いくつもの視線が向けられた。その視線は、興味津々な民衆からのものだ。

 民衆からの視線には目もくれずに、俺とミランダ姉さん、ルート兄さんは国王がいる場へと向かった。


「よくぞ務めを果たしてくれた。ギールが怪我を負ったことは残念なことだが、全員が生きて帰ってきただけでも良しとするべきだろうな」


 玉座の間には、国王の他に、戦に向かわなかった兄姉たちもいる。

 この国は、これからのウルシェラ王国との付き合いについて考える必要がある。それは、この場にいる全員が理解しているが、中々意見が出ずに、膠着状態となっていた。

 誰も口を開かない状況となっている中で、俺は膠着状態を壊すように話を切り出す。


「よろしければ、僕がウルシェラ王国と会談を行いに行きましょうか?」


「ほ、本当か?!」


 父上は、その言葉を待っていたと言わんばかりの様子だった。

 おそらく、俺が提案したことは父上や兄さんたちの頭にもあった筈だ。それでも言葉にしたなかったのは、相応の危険性も理解しているからだ。

 だからこそ、俺からの提案に驚きはするものの、否定をする者は誰一人としていない。


「それならば、すぐにでも書状を送っておこう」


「ありがとうございます」


「父上、私からも提案なのですが、王位戦の再開は一か月後にした方が良いのではないでしょうか?」


 ルート兄さんの発言もあって、王位戦の再開は一か月後ということで決定した。

 話をまとめている父上の姿は、酷くやつれていた。それだけ現状に焦りを感じているのだろう。

 戦後処理の任は、第一王子と第二王子が務めることになった。一応の方針が決まると、話し合いが終わり、各々が部屋を後にした。

 俺も部屋を出て、フレンとユリウスと共に歩いていると、ミランダ姉さんが前に立った。


「アンタ、どういうつもりなの?」


 ストレートに質問を投げかけてきた。口調こそ強いが、起こっているようには感じられない。

 咄嗟の問いに、俺は意図を読み取れなかった。

 ただ、何かしら意図があるのは間違いないだろう。

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