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悪役になりたい王子の国づくり  作者: プルル二世
第一章
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宣戦布告

 第三王女のエルーナ姉さんが部屋に突如訪ねてきた翌日となった。

 あの後エルーナ姉さんは、頼み事だけを言うと、それ以上の話はせずに帰っていった。部屋には、僅か三分ほどしか滞在していなかった。

 頼みごとを、やるかやらないかとは、聞いてこなかった。まるで、俺が頼み事を聞くのを前提に話しているようだった。

 昨日の、エルーナ姉さんからの頼みについて、早速フレンが触れる。

 

「受けるの?あの人の頼み事」


「ああ、受けるつもりだ。まさか、あんな頼みをしてくるとは思わなかったが、受けておいて損はないだろう。こっちが負う負担は大きいが、その分、エルーナ姉さんに恩が売れるのは大きいからな」


「私も別に良いんだけどさ・・・あの人、何を考えているか分からないんだよね」


「何を言ってるんですか。相手が何を考えていても、こちらに害があれば排除する。それだけです」


 フレンもユリウスも、エルーナ姉さんからの頼みを聞いた時に、動揺は見せていなかった。内容としては、驚いても不思議に思わないものだった。それでも動揺しない二人は流石と言うしかない。

 とは言え、余裕で居られるほど簡単ではないのも事実だ。それはエルーナ姉さんも理解しているのか、期限を指定してくることはなかった。

 

「でも、いつ決行するの?早くやるなら、すぐにでも計画を立てなきゃ」


「そこまで急ぐつもりはない。今は王位戦の方を優先して、タイミングが良ければ決行に移そう」


「たしかに、王位戦に関わりがない内容ではないしね」

 

 二人とも、俺の言葉に納得の反応を示した。

 とりあえず、何とか話はまとめることが出来た。今日は、この話にこれ以上の時間はかけられない。

 予定の時間になると、騎士の恰好をした男が部屋を訪ねてきた。今回は、前回のエルーナ姉さんと違い、予定していた訪問だ。

 訪ねてきた男は、王直属の騎士である。

 男に連れられて来たのは、王城の中で最も気品のある場所とされている王の間だ。

 そんな場所に呼ばれたのが、俺を含めた五人の王族たち。


「皆、よく集まってくれた。そして何より、勝ち抜いたことを称えよう。色々と、問題はあったが、お前たち五人の中から、我の後を継ぐ者が現れるのを心待ちにしておるぞ」


 入って早々に、王が言葉を発した。

 玉座に座る姿の王は、多少なりとも、王の風格が感じられた。堂々と座る王の表情は、思っていたよりも明るいものだった。とても数日前に、息子を亡くした父とは思えない。父である以前に、一国の王であることが優先されるのだろう。

 前世で、同じような態度をとっていれば、冷たい人間や、非情な奴だと罵られるのは間違いない。だが、この国や世界では、そういった風潮が無い。だからこそ、俺は新鮮味を覚える。


「父上、我々を呼び出したと言うことは、王位戦の次の内容について教えてくれるんですね」


「ああ、もちろんだ」


 第一王子からの確認の言葉に、王がハッキリと答えた。

 五人の中に緊張感が走る。

 玉座に座る王が、立ち上がった。そして、何かを話そうと、口を開いた。

 だが、それに待ったをかけるように一人の騎士が部屋へと入ってきた。


「し、失礼します」


「貴様、こんな時に無断で立ち入るとは何事だ!」


「申し訳ありません。至急の用件でして・・・・」


 この場に、ただの騎士が入ってくることは許可されていない。下手をすれば、罪に問われる可能性すらある。それを知っているうえで、入ってきたのならば、それ相応な用件なのだろう。

 何より、男の流す汗の量から、どれだけ急ぎで来たのかは伝わってくる。


「用件?話してみよ」


「はい、先ほど入った情報なのですが、隣国であるウルシェラ王国が我が国に宣戦布告をしてきました」


「何だと!今の状況を分かっている範囲で教えろ」


「現在、ウルシェラ王国は既に軍を配置しており、目測ではありますが数は三万五千ほどです」


 この場にいる全員が、男の報告に驚きを隠せていない。

 勝手に入ってきたことは既に忘れているくらい、王も信じられないといった表情をしている。

 男の報告が事実であるならば、王位戦どころの話ではない。いや、この場で男が嘘を吐くのにメリットなどない。それを父も兄姉も思ったからこそ、虚偽とは疑わなかったのだろう。

 突然の報告に、王は頭を抱えた。

 

「おい親父、俺が軍を指揮するぞ」


「まぁ待て、敵軍の数はかなりのものだ。こっちは、四つの軍を配置する。四つの軍の指揮は、それぞれ第一王子、第三王子、第二王女、第六王子に努めてもらう」


「「ハッ!!」」


 王からの指示が言い渡された。

 驚きはしたが、焦る者は一人もいない。第三王子のギール兄さんに至っては、嬉しそうな様子だ。

 軍の指揮には、俺も任命された。

 この世界に来て、何度か戦のシュミレーションをしたことはあるが、実戦は初めてだ。

 俺は自身の剣を手にした。これから戦が始まるのだと実感する。

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