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悪役になりたい王子の国づくり  作者: プルル二世
第一章
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語ること

 王位戦の開幕が宣言されて、今日で二週間目となった。

 二週間目の今日が、王位戦の初戦日だ。

 街は、お祭り騒ぎとなっている。王族が出てきた途端に、民衆はさらに盛り上がった。

 民衆たちは気付くことはないのだろう。お前たちが想像している以上に、王位戦は壮絶であることに。

 

「これより、王位戦の参加者を推薦する者たちによる演説が行われる。お前たちは、王になってほしいと思った者に票を入れろ」


 国王が初戦の内容について説明をした。民衆たちは静かに話を聞いている。

 国王の話が終わり、推薦者による演説が始まった。

 最初に演説を行うのは、第一王子を推薦する男だ。


「第一王子の彼が王になることで、私の商会は、より発展していくことでしょう。そうなれば、私の商会は王都以外にも店を増やしていくことを約束いたします。他にも・・・」


 当初の予想通り、第一王子を推薦するのは商人だった。男の名はグーデルで、商会の名はヘーゲル商会。そのグーデルは、数年前まではゲーテ商会のドルックと競っていた商人でもある。

 しかし、あの事件をキッカケにゲーテ商会は衰退していった。それを好機と見たヘーゲル商会が、勢力を拡大した。今では、王国一の商会と言える。

 そんな商会の長が話すことは、民衆を惹きつけるのに充分な効果だ。


「と言うことで皆さん、是非とも第一王子に一票をお願いします」


 グーデルの演説は五分ほど行われた。演説とは言っても、民衆を旨い話で釣っているようなものだ。たった五分ではあるが、第一王子には充分な時間である。事実、第一王子が立っているだけでも、民衆からの声が鳴りやまない。

 演説を終えたグーデルたちは、民衆の前から立ち退いた。

 次に民衆の前に姿を見せたのは、第一王女たちだった。

 第一王女のクリシアとは、全く関わったことがない。それ故に、何を考えているのか予想が難しい。


「皆さん、第一王女のクリシアです。皆さんからの応援を期待していますよ」


 第一王女は自らが前に出て言葉を発した。推薦する者を用意せずに、自身が話すことに民衆はざわつく。

 しかし、第一王女が言葉を発した瞬間、空気は一気に変わった。少し前までの、第一王子の歓声をかき消すかのような歓声が沸き起こった。

 発した言葉は僅か二言だけ。それでも、この民衆の反応を見れば、二言で問題ないと言わざるを得ない。

 民衆の前に立ったのは一分にも満たない。だが、確実に民衆たちには印象強く残ったはずだ。


「スゴイね、あの女の人・・・」


「第一王女の肩書は伊達じゃないってことだろ」


 側にいるフレンも、民衆と同様に圧倒されていた。滅多に見せない姿だが、それだけ第一王女のクリシアが圧倒的な存在感だった。見映えではなく、見えない何かを多くの者たちが感じ取ったのだ。

 第一王女が作った雰囲気の中で、民衆の前に立ったのは第二王女だった。


「貴方たち、静かにしなさい!」


 第二王女の一言で、騒がしかった民衆が、一瞬で静かになった。

 全員の視線が、第二王女へと集まる。

 推薦する者として、誰が出てくるのかと皆が気になっていた。そんな中で出てきたのは、見たことのない女の子だった。恰好を見る限り、貴族ではなく平民のようだ。

 まさかの登場に、呆気にとられていた。


「わ、わたしは、お母さんとお父さんがいないけど、王女様が助けてくれました。服とか、ご飯を沢山プレゼントしてくれて・・・王女様は優しい人です。なので、第二王女様に勝ってほしいです」


 少女の小さい声が、静かな空間に響き渡る。少女が喋っている間は、聞こえる音が少女の声だけだった。

 演説としては、不完全と言う他ない。だが、不完全でも民衆の心を動かすことは出来る。少女の演説を聞き終えた民衆の多くが、少女に向けて拍手を送っていた。

 結果として良い方へと転んだのは間違いない。とは言え、大失敗に終わる可能性も充分あった。それでも、そうしなければ兄や姉が作る空気感を変えることができないと思ったのだろう。

 騒がしかった空気感から一転して、落ち着いた雰囲気となった。

 次に民衆の前に出たのは、第二王子のサイスだ。


「皆さん、私は第二王子のサイスと申します。今日この日を迎えれて事を、心嬉しく思っています」


 第二王子は出てきて早々に、民衆に向けて挨拶を行った。

 挨拶を聞いた民衆たちの空気感が一気に変わる。決して、良い雰囲気と言えるものではない。

 何も気付いていない第二王子は、民衆を盛り上げようと話を続ける。しかし、それが逆効果となり、民衆を盛り下げている。

 痺れを切らしたのか、民衆の一人が声を上げる。


「下がれ、下がれ。あんたに王になる資格はねぇんだよ」


「そうだ、その男の人の言う通りだ」


 男の非難の言葉が、他の者たちへと連鎖していく。その場にいる民衆の誰一人として、非難をする男を変に感じている者はない。

 この状況が、第二王子を追い詰める一手となるだろう。

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