第5話 出会いと別れ
一方で俺たちを見ていた者が居ることに気づかなかった。
「古龍の…娘…なるほどねそれでこんな所に古龍が出張ってきた訳か…」
赤い髪を風に靡かせながら1人の少女が呟く。
「依頼されて来たけど来るだけ損だったなーま、良いもの見れたし帰るとするか…」
少女は不敵な笑みを浮かべ王都の冒険者ギルドへと向かったのだった。
そして俺はファルスに娘はどうするのかと聞いた。
「無論ワシは娘を持ち帰りワシが弔いをする」
そう言うと娘の死体を持ち上げて続ける。
「お主は見届け人じゃ、家族の問題に巻き込んですまなんだな…ではな…お主とはまたどこかで会うじゃろう」
そう言って龍の姿に戻り飛び去ってしまった。
俺は暫く動けなかったが気を取り戻し、ギルドへ向かった。
俺がギルドに入ると既に騒動は収まっていた。
「グラムさん!ご無事だったんですね!」
ナタリーさんに詰め寄られて俺は少し罪悪感を覚えた。
「ナタリーさん…すみません…ゴブリン討伐は失敗です。」
そう告げるがナタリーさんは「どうでもいい」と言い切った。
「貴方が無事ならそれでいいんです!」
ナタリーさんはそう言ってギルドマスターを呼びに行った。
「なるほど…それであのドラゴンが出てきた訳か…」
俺の目の前にはスキンヘッドに眼帯を付けた初老の大男ギルドマスター"グレン“が座っている。
事の顛末を話危険は無いことと古龍ファルスの件を伝えた。
「とは言え竜種が東の平原に出現した事は大事件だ…討伐の証はあるのかね…?」
グレンは俺を見つめる。そんなものは無い…倒したのはファルスで俺はそれを見届けただけだ。
「申し訳ありません…古龍ファルスが遺体を持っていったため証明出来るものは…」
俺が言い淀むと同時に扉が乱暴に開けられる。
「その件なら私が証明してやろう」
赤い髪を背中まで伸ばし赤い目をした勝ち気そうな全身黒と赤で固められた装備を身に纏う少女が入ってくる。
「何の用だ問題児…我々は今大事な話を…」
グレンがいい切る前に少女は遮る。
「耳が遠くなったか?爺さん?私が、討伐を証明してやると言ったんだ!確かにコイツの言う通りドラゴンが遺体を持ち去ったのも見た。それに何よりコイツが無事に帰ってきてる時点で討伐されてるだろ?」
赤い髪の少女はそう言うとグレンを睨みつける。
「分かった…お前がそう言うならそうなのだろう…」
グレンを納得させる程の人間は見た事が無かった。
「ふん、分かれば良いんだ。最初からコイツを試すつもりだったんだろ?趣味が悪いヤツだな」
赤髪の少女はそう言って踵を返す。
「コレで私は役目を終えた。早く解放してやれよ?」
そう言って部屋を出ていく少女。
コレが俺と彼女の出会いだった。
おはこんばんにちは!Tobariです!
【キャラクター紹介】
受付嬢 ナタリー
種族 人間
年齢 18歳
職業 冒険者ギルドの受付嬢
性別 女
【概要】
冒険者ギルドの受付嬢で元冒険者。自身の力に限界を感じて引退し受付嬢に転職した。美人で冒険者からの人気は高いが冒険者とは結婚したくないが口癖。冒険者には早死が多くそれ故に深く関わりは持ちたくないとの事。冒険者がギルド内で問題を引き起こすと鎮圧する。結構強い。まな板がコンプレックス。