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第4話 古龍の娘と別れ

ファルスからの提案で娘の元に向かうこととなった俺は事の経緯を聞いていた。

「もはや我が娘は龍の姿も竜の姿もしておらぬ…様々な種族が合わさり強大な力と引き換えに理性と感情を失った怪物じゃ…」

悲しそうな顔をしながらファルスはポツポツと話した。

「なんの実験かは知らぬ…じゃが概ね自分たちに都合の良いキメラを作るのが目的じゃろうな…」


俺は聞いていて分かった。ファルスは娘を大事に思うが故あの災厄を引き起こしたのだと。

「だからべリオンドーラを滅ぼしたんですね…?」

ファルスは驚いた様に俺の顔を見ると頷いた。

「娘はべリオンドーラで見つけた…ワシは怒り狂って全てを破壊し滅ぼした…娘1人守れず怒りに身を任せ国1つ破滅へ導いた悪しき邪龍…それがワシじゃ」


それからファルスは何も言わなかった。

俺はかける言葉が見つからず黙ってしまった。

そして歩いていると"それ“が見えてきた。

「娘じゃ…理性も感情もないただのキメラじゃがのう。」

目の前にいたのは最早竜種の原型を殆ど留めていない。

4つの羽は歪な形をしそれぞれが違う種族の羽だ。

首から顔こそ竜種だが胴体はグリフォンの様になり下半身に当たる部分は馬になっていた。


「なん…だ…コレ…コレが…人間が作り出した生物なのか?」

邪悪で淀んだ魔力を撒き散らしひたすらに蹂躙を続けるそれはファルスが言うように原型を留めていなかった。

「ふと目を離した隙に逃げられてしまってな…探したぞ…我が娘よ…そして別れの時じゃ」

ファルスはそう言うと龍の姿に戻る。それは俺たちを意に介すことなく蹂躙を続ける。

ファルスは涙を浮かべながら娘に襲いかかった。

古龍の力を持ってすればキメラ程度では抗う術は無かった。


「ギヤァァアァアァァ」

叫び声を上げ暴れ回るそれは次第に大人しくなる。

羽は千切れ、身体から大量の血を流していた。

「コレで…良かったんじゃ…ワシは娘を…守ってやれなんだ…故にコレがせめてもの弔いじゃ」

人の姿に戻り呟く。

「お母…さん…?ごめん…なさ…い…」

そう言って力尽きる。

俺も自然と涙が出ていた。

「謝るのは…ワシの方じゃろ…バカもの!」

ファルスはそう言って静かに泣いていた。俺は呆然と立ち尽くすしか無かった。

おはこんばんにちは!Tobariです!

【キャラクター紹介】

ファルスの娘 イディア

種族 竜種

年齢 推定100歳は超えている。

職業 無し

性別 女

【概要】

ファルスの愛娘。人間に捕まり実験を受けキメラにされた竜種。キメラになり力こそ上がったが理性と感情を失った。

キメラになっても古龍の力には遠く及ばずファルスに敗北し僅かに戻った理性でファルスに謝罪し死亡した。

なぜ竜種が人間に負け捕まったかは未だに謎のまま。

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