第3話 古龍
光が収まり視界が戻るとその場には1人の少女が立っていた。
「ふむ…やはりコチラの方が落ち着くのう…龍の姿では言葉も通じぬとは少々困ったものよな…」
ブツブツと少女が呟きハッとした様に顔を上げる。
「すまぬな…お主の事を失念しておった…許して欲しい。ワシは[古龍]が1柱ファルスと言う以後よろしく頼むぞ少年よ」
今目の前で放たれた言葉を俺は受け止めきれずにいた。
古龍?ファルス?冗談?だがそんな風には見えない。
竜種は今が大多数を占める竜と過去の時代から長らく生き続けた古龍に分かれている。
特に古龍は人語を理解し圧倒的な強さからどの種族からも手出しされずにいる竜種とはまた異なる種族とされていたりもする。
「何をボーッとしておるのじゃ?ワシは名乗ったがお主は名乗りもしてくれぬのかの?」
余りの衝撃で言葉が出ずにいるとファルスが声をかけてきた。
「申し訳な…」
「敬語などよせ…寒気がするのじゃ…」
ファルスは俺の言葉を遮るとこんな事を言う。
「分かった…すまない、俺はグラム。冒険者で魔術師だ。」
ファルスは少し怪訝な顔を浮かべながらも納得した様に頷くと続けた。
「ワシも謝らねばなるまいな…驚かせてしまってすまぬな…ワシはこの平原で吠え散らかしておる者に用があるのじゃが…このままでは王都から討伐隊が来るじゃろくな…」
少し嫌そうな顔をしながらファルスは続ける。
「今吠え散らかしておる者は竜種で間違い無い…じゃが人間に実験?とやらをされてほぼキメラと化しておる。」
俺は驚いた。竜種を捕まえ実験しキメラにする。そんな話は聞いたことが無い。
「故にワシが息の根を止め、安らかに眠らせてやろうと思ったのじゃが…ワシが飛んできたせいで王都は確実に大混乱じゃろう…」
それはそうだろう…東の平原に竜種は存在しない。
そもそも竜種自体現れればとんでもない大騒動だ。
「じゃがあの竜種はワシが何としても倒したい…我が娘をあのまま野放しにするなどできるはずもあるまい…」
さらに衝撃な事実だ。
「ファルスさんの…娘?」
俺の問いかけにファルスは答えた。
「娘じゃ…人間共がワシがおらぬ時に巣を襲撃し攫ったのじゃ…やっと見つけた頃にはあの様な姿じゃ…」
「何をされたかは知らぬがな」と呟いた。
「俺に力になれることはありますか?」
自然と俺は聞いていた。古龍と古龍の娘なんて相手に戦力外なのは分かっていたが聞いてしまった。
まさか俺にファルスからこんな提案をされるなんて思いもし無かった。
「ふむ、ならばワシに着いてきて欲しいのじゃ。」
おはこんばんにちは!Tobariです!
【キャラクター紹介】
古龍 ファルス
種族 古龍
年齢 1000を超えたあたりから数えてない
職業 古龍
性別 女
【概要】
古龍の1柱。人語を理解し話す事が出来る竜種よりさらに上の種族。別名龍王。神話に登場する龍ヨルムンガンド。
人間に巣を襲撃され娘を攫われ実験されキメラにされた事から人間を余り信用していない。
グラムに近付いたのは咆哮を聞きそれを報告する為向かっていると理解し止めるためだったが面白い人間と思い着いてくる事を提案した。力を鼻にかけず娘を止めるために東の平原に姿を現した。
人の姿では灰色の腰まで届く長い髪と赤い目を持つ。幼い見た目をしており身長もそこまで高くは無いが怪力は健在。まな板。