別の組織
うまく行かないものね。
「お嬢様、どちらへ向かいますか?」
「母のところへ向かってちょうだい。」
あの爆発で私も死んだと思われているでしょうから、周りの国にもばれることはないでしょう。しかし、最後の最後でうまくいかなくなるとは思わなかったわ。大統領もそうだけど、周りの宰相や副宰相なども本当に頭の良い連中が多かった。副宰相も馬鹿なように見えて馬鹿ではなかったからね。女遊びをしているのはポーズで別のことを探っているとは…。そのせいでいろいろ作戦に支障が出てしまった。最終的には土台から崩すことに…。父様の叱責は厳しいものになるでしょうね。
あの国民たちの使い道はあったからね。
「お嬢様、閣下から電話が入っております。」
「繋いで頂戴。」
私の端末が振動する。
「はい。」
『私だ。娘よ、しくじったのか?』
「申し訳ございません。」
今更弁明したところで意味はないでしょう。
『兵器を試したようだから不問としよう。人口はどれくらいの規模だった?』
「十万人程度でしょうか。」
『ふむ、では、サンプルの数としては問題ないな。』
「はい。」
『だが、我々にも時間がないことは分かっているな。』
「もちろんです。」
『我々の寿命は長く三千年ほど生きることができる。しかし、それは五体満足である状態でだ。この星に不純物が増えている以上は我々の死期も早まる可能性がある。出来るだけ早くスペアを作る必要があるからな。』
「分かっています。」
『じゃあ、何も言わん。次には結果を出せ。分かったな。そして、あの反乱軍は解散させておくからな。必殺の手は最後の最後に使う物だ。』
「かしこまりました。」
次の瞬間には通話が切れている。ため息を吐く。
「お疲れさまでした。」
「ええ。それにしても今日も平和ね。」
「それは誰に対しての話ですか?」
「さあ、誰でしょうね?」
私たちが作った人間たち、要するに私たちのスペアは人間界に多く存在しているが、うまく育たない。何らかの欠陥が出ることがあるのよ。どうしてかしら。そこまで時間はないだけどね。出来れば母も助かるのだけど。今回の実験で放射能がどのように作用するのか分かるかもしれないわね。あの実験の国は亡びたから。でも、周りの村々があるからすぐに再生するでしょうけど。
よくも簡単に多くの出来事を忘れることができるわね。人間は平和でいいわ。これで私が失敗したのは三十回目だし。サンプルは非常に多く揃っている。同僚に聞いても分からなかった。でも、最近できた
彼らが地球に不時着して二千年の時が過ぎようとしていた。