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星間戦争記  作者: 陽伊路
6/9

6話−動向

 −コンコン−

「ハイン国防相、失礼します」


 木製の扉を開け、薄い赤色の髪をした女性が入室する。


「ああ、いつものか。少しまってくれ」


 ジューゲル・ハインはバーラト共和国の国防相である。強大なガーランド帝国、マミリアス連邦に挟まれているバーラト共和国において、最重要人物の1人である。

 ガーランド帝国とに戦端が開かれてから、ハイン国防相は毎日国境線の動向の報告を受けている。


「よし、では頼む」


「はい。昨日、ノーバンティ星系第3基地より報告がありました。

 帝国との国境線に展開していたバーバリアン級巡洋艦3隻からなる第232小隊が、帝国軍の哨戒部隊と思われるラミレス級駆逐艦3隻と交戦。これを撃沈しました。こちらの損害は軽微のようです」


 この薄い赤色の髪をした女性はハインの秘書である。


「そうか。帝国軍と接触する小隊が増えてきたな。情報部には伝わっているな?」


 齢40を過ぎたこの女性は、年齢の衰えなどまるで存在しないかのように日々の業務をこなしている。


「無論です。既に戦闘の詳細についてまで共有済みです」


 ハインは彼女の能力を高く買っており、自らの秘書として重用していた。


「ならいい。連邦方面については何か新たな情報はあるか?」


 彼女は厳しい雰囲気を纏っているために近寄りがたいと感じる者も多かったが、ハインはそんな一面も業務に真剣な故だと考えていた。


「いえ、特に報告は来ておりません。国境線近くまで連邦軍艦艇が進出してくることはありますが、こちら側に踏み込むことまではしていません。哨戒部隊の規模も変わっておらず、相変わらず1個艦隊が張り付いていると思われます」


「帝国と戦争している中で共和国にまで攻め込んでくるとわ思えないが、帝国は来たからな。帝国と連邦の国境が接しているギャランツ地方には何か動きはあったか?」


「はい。未だ確定できてはいませんが、連邦はハンプ−星系に艦隊を集結させているようです。帝国側からの情報は入って来ていませんので帝国軍の動きは分かりませんが、連邦の哨戒部隊の損害が増えているとの情報があります。帝国も艦隊を集結させているものかと」


「2大国同士で戦ってくれるになら何の文句もない。むしろドンドンやって欲しい・・・と言いたいところだが、共和国側にも波及するだろうな」


「はい。帝国としては連邦と戦っている最中に、我々から攻勢を受けることは嫌がるでしょう。

 情報部は、我々の動きを抑えるために帝国が軽い攻勢を仕掛けてくる可能性があると考えているようです」


「よし。明日、情報部との会談を臨時でセットしてくれ」


「分かりました。そのように」


「ああ、それと君、もう昼食はすませたかね。まだなら今のうちに食べてくるといい」


「ありがとうございます。では、お言葉に甘えさせていただきます」


 その瞬間だけ、ハインには彼女の厳粛な雰囲気は姿を消したように思われた。


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