殺された元、悪役令嬢は幸せになりたい! ~転生の手続き、手伝って貰いますわよ~
九作目の短編投稿です。
楽しんで見て行ってくれると嬉しいです。
目覚めたら下を見れば人。
上を見れば空。
「は?」私、浮いてる??え?どうなっているんですの?
私は確か、婚約者に婚約破棄されて、誰かに殺されたんじゃ………。
私、幽体離脱しているの?
それとも、私、死んで浮遊霊に成ったの?
もう!そんなことはどうでもいいわ!!
私を殺したのは誰なの!?!?
さっさと復讐してやるわ!!
でも、この体じゃなにも出来ないわ。
そう言えば、昔、転生の手続きが出来ると聞いたことがあるわ。
何かの試練をクリアしなければ手続きは出来ないと聞いたわ。
それに、生きている人の助手が必要らしい。
そうなれば早速、
「ちょっと、そこのあなた」無視。
聞く相手を代えて…
「私を殺した人を知っているのかしら?」無視。
また聞く相手を代えて…
「私の事、見えてますの?」無視。
……どうして返事をしてくれないの!?
私、幽霊だから!?これじゃあ、転生の手続きが出来ないじゃない!!しかも生きている人の助手なんて見えないんだから意味ないじゃない!!
「貴女、誰ですか?」したから聞こえた。
え?
「貴方……私が見えるの?」
「? ああ」試しにその人に近付き触る。
スカッと透けない。
これなら………
次の瞬間、私はガシッと腕をつかむ。
「貴方、私に協力して、助手になりなさい!!」
「はぁ!?」
「もう、契約をしたわ。これで私のいいなりよ!!」
「契約って!!勝手にするなよ!」
「他言は無いわ。とにかく期間限定で良いからお願いよ!」
強く言うと相手は怯む。
「せめて契約内容を教えてくれ。あと、貴方、誰だ」
「契約内容?私の願いがかなったら解けるわ。あと、私はマリア。貴方は?」
「そんな鬼畜な………あ、俺はアラン・グレンデッド」
「鬼畜よ。私は転生の手続きさえ出来れば良いのよ。そして私を殺した奴に復讐するのよ!!」
「復讐?もしかして貴方、公爵家の令嬢?婚約破棄言い渡されて虐めた?」
「は?そんなことするわけ無いじゃない。あんな綺麗子ちゃんの相手なんて死んでもって訳じゃないけど嫌よ。誰があんな奴」
「そうなんだ」
「結構素直なのね」
「まあね。嘘をついてるのとついてない人の区別は得意だから」
「ふーん」
「興味ないのか」
「ええ。私は目的しか興味ないわ」
「へぇ。それで?俺は何をすればいい?」
「あら、随分と潔いのね」
「まあ、早く契約を解きたい」
「そう」
「まずは一緒に試練の内容を考えなさい」
目の前に堂々と指を指していった。
「はあ………」最後に聞こえた溜め息は、アランのものだった。
最後まで見て頂いてありがとうございました。