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満員電車で私をマムシから助けてくれたイケメンは実は

作者: 阿川竜一

GREEのコミュニティ『あなたは携帯小説を書きますか?』とpixivにも投稿しています。

 いきなりだけど、自己紹介をする。私の名前は『松田ユカ』。24歳のOL。正直仕事は嫌い…。営業成績は普通だけど、男性社員達のほとんどは私を見る目がいやらしかった…。これが唯一の悩み。やってきた通勤の日。私は少々重い気持ちで電車に乗る。満員だ…。狭い中で汗ばむ空間に周りの人達も不満そう…。もちろん私もだけど…。あるとき…。


ユカ:!?


私の下背後から何かが触れてきた…。ゾっとする…。


大牟田:おう!ワシのマムシがビンビンじゃ!おう!そこのモンモンちゃん!キャーを聞かせてくれや!


背後から男がマムシを私の下半分の上へと押しあててくる…。この男は『大牟田厚』。最近この電車でよく私に痴●してくる男だ…。デカくて固いのが私の身体に触れてきて気持ち悪い…。


大牟田:キャーを言うてみろ!ワシのマムシも聞きたがっておるぞ!うーん。いい匂いやな…。


大牟田は私の耳元で「キャーを言え」、「キイロイコエを聞かせろ」だのって囁いてきて…更には私の匂いを嗅ぎ始める…。


ユカ:………。


私は気持ち悪さと恐さで声が出なかった…。大声出して助けを求めたいのに…声が出ない…。私の目には涙が溢れ、目を閉じると…。


「ちょっと悪いけど次の駅で降りてもらえないか?」


優しげな声が聞こえ、私が目を開けると…。


大牟田:何じゃ!?お前は!?


私は優しい声がした方へと振り返ると…。


「貴方のような人が同じ男だと思うと恥ずかしいですよ。」


なんと!イケメンの男性が大牟田に声をかけて私を助けてくれた?


「すみませんが、貴女も降りてもらえませんか?●漢されていませんでしたか?」


男性は優しい声で私に問い、私は頷くと周りの人達が大牟田が私に痴●してたことに気づいてざわざわし始める。


大牟田:おい!何するつもりじゃ!?


次の駅に着いた瞬間に男性が私を誘導して私と男性、大牟田は電車から降りた。その後、私は駅員に大牟田に痴●されたことを説明した。言うのは恐かったけど男性は優しい声で間を取り持ってくれたおかげで勇気が出せた。そして、駅員は警察を呼び、大牟田は逮捕された。


大牟田:ワシはただ…ただ…女に「キャー」って言ってほしかったんじゃ!キイロイコエ聞きたかっただけなんじゃぁぁぁ!


 私の今日は最悪だった…。朝の電車で痴●されるし…会社では相変わらず男性社員達が私に色目遣ってきて気持ち悪かった…。でも私を助けてくれた男性『真田カズキ』さんはカッコ良くて…声とかも優しかった…。スッキー!あの人は私に対して色目なんてなく、平等に接してくれた。私はカズキさんを想うと自然と嬉しくなり、帰りの電車に乗ろうとすると…。


ユカ:!?


私の目の前が信じられなかった…。この間私を助けてくれたカズキさんがホームから飛び込もうとしていた…。


ユカ:駄目ー!


私は全速力で駆け出してカズキに抱きつくようにして止めた。


カズキ:…あれ…?貴女は…。


カズキは私に気づき、私はすかさずカズキをベンチに座らせた。


ユカ:私です。今朝、痴●されていたところを助けてくれた『松田ユカ』です。


カズキ:ああ…。


カズキは今朝の勢いとは違って気力が抜けてしまっているような感じだった。私はどうしてホームから飛び込もうとしたのかを聞くと…。


カズキ:実は俺…。仕事がうまくいかなくて…毎日怠くて…人と話すのもしんどくて…暴言は吐かれて…。


ユカ:そんな…。


カズキの話によるとカズキは毎日仕事がうまくいかず、過剰にストレスが溜まり、休みの日でも仕事への恐怖心に襲われて心が休めずに眠れない日々が続いているらしく、さっきは無意識のうちに人生を終わりにしようとしていたらしい。今朝私を助けてくれた人がだ…。


カズキ:今朝…本当は死のうとしていたんです…。そんなときに貴女を見かけて…。せめて人を助けてからって思って…。


カズキの痛々しい感じの話し方に私は…。


ユカ:それなら私と一緒に住みませんか?


カズキ:えっ!?


私は大胆な提案をしてしまった。私は安アパートで1人暮らしをしている。


カズキ:でも…ご厄介になるワケには…。


ユカ:私も真田さんと同じですから…。


カズキ:えっ!?


私はカズキに悩みを話した。男性社員達から色目遣いでセク●●されていて精神的に疲れていたところで大牟田に痴●に遭ったことを。


ユカ:だから私…。真田さんに助けてもらわなかったら…私…。


カズキ:そんな…。松田さん…。わかりました…。


私の熱意が伝わり、私はカズキと同棲するようになった。



 私とカズキが同棲を始め、私はカズキと一緒に病院へと行き、カズキは仕事による過度のストレスが原因で『うつ病』と診断された。


カズキ:俺は…。


ユカ:カズキさんはしっかり休んでいてください。


カズキは病院の診断書を持って休職することを決めた。それからは私が仕事をし、カズキは家事をするようになった。ささやかだけど小さく幸せだった。そして、会社で…。


「松田さん。今晩どう?」


「いいや。俺と今晩どう?」


いつも私にセク●●してくる男性社員達が私に言い寄ってくる。前までの私なら恐くて、悔しくて…。でも今は…!


ユカ:いい加減にしてください!どうしていつも私の身体目当てなんですか!?


「えっ!?いや…俺達はそんなつもりじゃ…。」


ユカ:前から私の身体を触ってきたり、匂いを嗅いだりとかしてきたじゃないですか!?気持ち悪い!私に今までしてきたこと全て録画してあるテープを上層部へと提出しました!


「えっ!?」


私は思い切り言ってやった。カズキの存在が私に勇気をくれた…。痴●のときみたいに。それから男性社員達は私へのセク●●が明るみに出てクビとなった。そこから1週間後…。カズキは段々顔色とあの頃みたいに優しい声が戻り、心身ともに回復していっているように見えた。


カズキ:ユカさんはどうして俺なんかにそこまで優しくしてくれるのですか?


ユカ:だって…カズキさんが好きだからです!助けてもらったときからずっと…。貴方の存在が私に勇気をくれるから…。


ひゃー。恥ずかしい…。私はカズキに告白してしまった…。カズキは笑顔になり…。


カズキ:俺も…好きです!今度はユカさんのために新しい人生を歩いてみたくなった。今度は俺が貴女を守ろう。


私はカズキと付き合うことになり、カズキは仕事を辞めて私が勤めている会社に転職し、私をずっと守ってくれた。やがて私達は結婚し、生まれてきた新しい命を私とカズキで守っていこうと決めたのだった。



 ~ Fin 完 ~



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