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夢見る絵本から始まるおとぎ話な探偵社  作者: 碧々
映ったのは死んだはずの姫
8/38

8.リンク

登場人物

ブリュッセル王国

・国王

  ヴァルデック・ヴィルドゥンゲン伯フィリープ4世

  <通称:王>

・王妃

  カタリーナ・フォン・ハッツフェルト

  <通称:王妃>

・王女

  マルガレータ・フォン・ヴァルデック

  <通称:白雪姫>


 俺は、『白雪姫』の世界に転移してきた!?


 少なくとも、さっきの王の発言からしてそういうことだ。


 そうか、そうだ! 道案内してくれた猟師も、恐ろしい王妃も……全てが繋がった!



 *



 ここで一応、童話として伝わる『白雪姫』のあらすじを手短に話そう。


 かなりナルシストな王妃が、ある日、魔法の鏡に「最も美しい人は誰?」と聞くと、鏡は「それは白雪姫です」と答える。王妃はムカついて娘の白雪姫を殺そうと何度も試みる。最終的に毒リンゴを食べさせる。白雪姫は倒れるが、それを見つけた王子にキスをされ生き返る(諸説あります)


 王妃の「白雪姫殺害作戦」の第一弾は、猟師に白雪姫を森の奥で殺させるというものだった。王妃は恐ろしいことに、白雪姫を殺した証拠に心臓を持ってくるように指示していた。しかし、猟師は白雪姫を殺す事を恐れて、彼女を森に残して、代わりに動物の心臓を王妃に渡す。そして、白雪姫は森をさまよい、そこで小人たちと出会うのだ。



 *



 考えれば考えるほど王妃が恐ろしくなる。自分が最も美しいと魔法の鏡に言わせるために白雪姫を殺そうとしているのだ。

 しかし、本当にこの世界が白雪姫のストーリーそのものだとしたら、まだ白雪姫は生きている。そろそろ森の中で小人たちと出会っている頃かもしれない。

 白雪姫のストーリーからすると、王妃はそのうち魔法の鏡で白雪姫が生きている事を知り、また殺そうとするのだ。しかしまだ白雪姫は死ないはずだし大丈夫だろう。


 それにしても、俺にはすごく気になる物がある。


 『魔法の鏡』だ。


 俺はトリックを見破る探偵、射露玖(シャーロック) 鳳武頭(ホームズ)であるゆえに、魔法など存在しないと思っている。というか、魔法など存在しないのだ。


 魔法と思えるものも、全てはトリック。俺はそれを見破る探偵さ! (と心の中で呟きながら独りでニヤけています)


 こんなに頭の中で色々語っているが、まだここは王の前なのである。まだ王は白雪姫のことで頭を抱えてうなされている。


 ここはひとつ元気を出してもらわねばっ!



「王よ、わたくしのもう一つの名をご存知ですか?」



 王は呆れたようにこっちを見て呟く。



「知らんがな」



 グサァ



「おっほん、ではその名も名乗っておきましょう。


 『事件』とは、弱く欲深き人間同士の争いである。(その長い前置きから始まるのかよっ)

 『推理』とは、見えないものを可能性と知識で射貫く計算である。

 『真実』とは、時に無惨に斬りつけ、時に光へと斬り開く、刀のようなものである。

 いくつもの事件を迎え討ち……

 そこで謎と闘い……

 そして、真実を見抜いた我こそはっ……


 『異世界の探偵王子』 射露玖(シャーロック) 鳳武頭(ホームズ) であるっ!」


「…………」



 あれ? 王が無言になってしまった。真顔でこっちを見ている。周りの家来たちまで哀れむように俺を見ているような……



「あはは、はははは……」



 王が笑い出した。面白いことをしたわけでも無いのになぜ笑うのだ?(変な感じになった場の空気を換えるための王なりの優しさにあふれた愛想笑いだぞ!)でも、一応元気にはなってもらえたようだ。



「王よ、そのようなわけで白雪姫のことについて調査することを、お許しいただけませんか?」


「ふーーむ……よかろう。人は多い方が良いしな」


「王よ、感謝します。それと、これとは関係が無いことなのですが、一つ質問してもよろしいですか?」


「いやっ、それは白雪姫をここへ連れてきたからだっ!」



 どうやら王はまだ俺を信用している訳ではないようだ(あんなセリフ言ったせいで余計信用なくなったぞ)



「かしこまりました。必ずや、白雪姫を無事に王の目の前に」


「頼んだぞっ」


「そしてこちら、我がルーベン王国の絹の布です。どうぞ」



 俺は一礼してその部屋から出る。

 王妃とヒーサはドアの外で待っていた。この「面会の間」は余程のことがない限り女性は入れないらしい。



「ウァーハエツ、どうだった?」


「それよりヒーサっ、ここは『白雪姫』の世界みたいだぞっ」


「ふーん」


「え? 知ってたの?」


「うーんとね、そんな感じがしてた。だって、白雪姫ってすごい憧れたから何度も読んだんだよ」



 そうか、女子とはそういうものなのだろう。


 王妃が俺たちを睨んでいる。一応この世界で俺とユキは上下関係があるから、仲良さそうに話すのが気に食わないのだろう。



「ウァーハエツ王子。白雪姫の世界って、どういうことです?」


「あ、いえ、王妃殿、大したことではありません。……それより、見せていただきたいものがあるのです」


「何をですか?」



「『魔法の鏡』です!」



「な、なぜそれをっ……」



 王妃は驚きを隠せず、オロオロと後ずさりする。恐らく魔法の鏡は自分しか知らないくらい秘密にしているものなのだろう。



「わたくしに見えないものはありません(自分の発言を客観的には見られないようだが)。その鏡が話すことも知っています」



 ヒーサが俺の横で大きくうなずいて、「自分も知っているぞアピール」をする。



「そんなっ…………では、見せますわ。ただ、誰にも言わないことを条件にです」


「もちろん、このことは絶対に秘密にします」



 交渉成立っ!! 人が魔法と呼ぶトリックを暴く自分の姿を想像するとワクワクする(彼は今ひとりでニヤニヤしています)

 そこへ王妃の使いが一人走ってきた。



「王妃様っ! このようなものが届きました」


「誰からなの?」


「えぇと、アルシーノ・ルパンと書かれています」



 !?

時々出てくる( )は中二病発言などの翻訳・説明、及びツッコミだと思ってください。


できるだけ毎日更新しようと思います。

ブクマや評価、感想が励みになります。ありがとうございます。

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