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夢見る絵本から始まるおとぎ話な探偵社  作者: 碧々
映ったのは死んだはずの姫
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2.愛琉椎乃 琉判

<解説>

 コナン・ドイル作 シャーロック・ホームズ シリーズ 世界的に今でも人気がある探偵小説

 モーリス・ルブラン作 アルセーヌ・ルパン集 世界的に今でも人気がある怪盗小説

 ホームズとルパンは小説の中で闘ったりもした名探偵と怪盗紳士である

 清閑たる図書室


 俺はコナン・ドイル作の(探偵)シャーロック・ホームズ、横にいる少女(マドモアゼル)はモーリス・ルブラン作の(怪盗)アルセーヌ・ルパンの本を手にしている。

 その少女とは初めて会った。しかし、初対面とは思えない緊張感と対抗心が心に一瞬よぎった。


 茶髪ロングの少女は俺と俺の持っている本を睨むように眺めていたが、何も言わずスッと立ち上がり去っていった。声をかけようとも思ったが、やめておいた。



「助手よ、幸か不幸か、この中学には俺の推理(妄想)通り、これまで追ってきた怪盗が存在するかもしれない」


「か、怪盗!? どういう推理?」


()()()()推理と言えるほど単純なものではないのだ。探偵の血が騒ぐな」


「よく分からないけど、楽しそうなのです!」



 何の確証も無い期待が唇に弧を描かせる


 一体これから何が待っているのだろう?




 *




 二冊ほど本を抱え、白い手袋を着け直しながら図書室を出る。(無論、手袋に妥当な意味はないだろう)



「助手よ、この学校にどんな文化部があるか覚えているか?」



 言い忘れていたが、ユキは天才的な記憶力がある。ユキに聞けば何でもと言っていいほど覚えていて教えてくれる。



「え~とね、吹奏楽部、美術部、書道部、パソコン部くらいかな~」


「文芸部というものは無いのか!?」


「残念ながら無いのです。でも、なんで文芸部なの?」


「文芸部は本読んでればいい部活だろ(書いたりもするが)。本によって様々な知識とスキルを身に着ける。そして、さらに怪盗を脅かす探偵になるのさっ」


「いいね~それ」



 ユキが手を後ろで組みながら笑って足を弾ませる。これは賛成しているときや喜んでいるときの癖みたいなものだと思う。



「新しく文芸部を作るのだ。俺は部長になる。ユキ、どうか手を貸してくれっ」


「もちろんいいよ~。ユッキーもマァ君と一緒がいいもん」


「ふむ……おっと、何か事件の予感がする。ってことで、今の昼休みのうちに先生に相談してきてくれないか? 良い結果を待っている、助手よ」



 と歩き出そうとする俺のジャケットをユキの右手が引き止める。



「マァ君…………部長でしょっ!」


「はい…………」



 何か議論しているかのように騒がしい職員室では聞こえるはずもないノックをし、中へ入る。



「失礼するっ! 部活の相談をしたく、参上した! そっちの話に精通する者と話がしたいのだが…………」



 とは言ってみたものの、誰も聞いてないっ……、偉大なる探偵が話を持ちかけているというのに…………、舐められたものだな。


 またの機会に、と思ったがさっき図書室にいたターゲットX(茶髪ロングの少女)が教頭先生と話しているのが見えた。何かありそうなので、気を散らさないように自然に近づいて会話を探る。

 ____探偵として当然のスキル、()()()()である(スキルかは甚だ疑問)



「……そこを何とかできませ……そうですが……『文芸部』は……」


 !?


 途切れ途切れしか聞こえなかったが、確かに『文芸部』というワードが耳に入ってきた。彼女も文芸部を作る気なのか?

 一旦、何事も無かったように職員室を出る。



「マァ君お疲れさま~、どうだった?」


「ちょ、それよりあの俺らの担任と話しる女子知ってるか?」


「う~ん、あ~、さっき図書室にいた女の子? あの子はね、ユッキーたちと同じクラスの三山(みやま) 志乃(シノ)さんだよ」


「え! 俺らのクラスなのか!? それにしても記憶力がすごいな」



 ふ~~ん、なら話は早い。文芸部はそのシノという女子に任せよう。今日はきっと先生と色々話すのだろうから明日どうなったか聞けばいい。



「よし。今日は帰ろう」


「え? 文芸部はどうなったの~?」


「まあ、明日になれば全てが動く!」




 *




 次の日


 ふぁぁぁぁ



「それにしても眠い」


「寝るの遅かったの?」


「まあ、ある推理小説のプロローグだけ読んで寝ようかと思ったのだが……それがなかなかの曲者で全部読んでしまったっ」


「マァ君は本当に好きだねぇ。ユッキーはそういう難しい本は苦手なのです」



 今日もユキと二人で登校。周りからカップルみたいな感じで見られるが、小学校ではそのうち誰も気に留めなくなったので、俺も特に気にしたりはしない。



「そうだっ! 今日は文芸部のことを聞くんだ」


「あれ? 先生に聞いたんじゃないの?」


「昨日のシノという女子が文芸部を作るようなのだ」


「なんで分かるの?」


「盗み聞きして得た情報だ」


「さすが、探偵のマァ君だねっ」


「まあな」

(大したことはしていない)





 教室に来てみたが生徒がまだ半分も来ていない。そして、シノもいる。昨日図書室で借りたと思われるルパンを読んでいる。声を掛けるなら今だ!

 本を真剣に眺めるシノの目の前に立って、その机に両手を置く。



「ごきげんよう、マドモワゼル。

 わたくし、露射玖(シャーロック) 鳳武頭(ホームズ)と申します……

時々出てくる( )は中二病発言の翻訳、及びツッコミです。


できるだけ毎日更新しようと思います。

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