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終わらないスタンピード  作者: ニシキギ・カエデ
第一章 子どもたちの聖域
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第八話 防御は最大の攻撃だ。別にペテンにかけているわけではない

本日二話目

 盾を作った後狩りに出かけた。

 早速大楯の使用感を確かめたかった。


 拠点のある岩場から抜ければだだっ広い荒野が広がっているため獲物は簡単に見つけられる。

 大型犬くらいの大きさの狐っぽいモンスターが単体で居たため初戦はこの狐に決めた。

 【隠密】の『気配稀薄』を使いつつそっと近づいていく。

 狐モンスターはこっちをばっちり見ている。おかしいな? もしかしたら開けた場所だから効果が薄いのかもしれない。まあ逃げないので問題ない。

 距離が十メートルをきったところで狐モンスターが飛び掛ってきた。

 この距離を助走なしで飛び掛るだって!? いや、考えてみたら今のオレなら出来そうだった。驚くに値しないな!

 楯を突き出して防御する。


《職業【大楯士】を獲得しました》

《職業【大戦士】を獲得しました》


 狐モンスターが楯にぶつかると同時にログが流れる。よし。

 楯の使い方が体に馴染むいつもの感覚。

 なるほど、こうやって受け流すんだな。

 楯に阻まれて暴れている狐モンスターを楯でいなすと三回転ほど地面を転がった。

 これは、すごいな。大型犬並みの巨体が飛び掛ってきたというのに、あまり衝撃が苦にならない。痛くも無い。

 再び飛び掛ってきた狐モンスターをまた受け流す。

 よし。いける。受け流すのは問題なさそうだ。さすが職業!


 二回も転がされたのに狐モンスターの戦意は衰えていないようだ。

 いいぞ。今度はアーツを試したい。

 すばやくステータス欄を確認【大楯士】のアーツは『大防御(ダイガード)』『突進(シールドバ)(ッシュ)』『受見切り』などがあるが、現在使えるのは『大防御(ダイガード)』だけのようだ。他のアーツはグレーアウトしている。

 【大戦士】のアーツは『筋力(ビルド)増大(アップ)』『咆哮(ウォークライ)』『大打撃(スマッシュ)』など、これも獲得したばかりのレベル1では使えるのが『筋力(ビルド)増大(アップ)』のみのようだ。


 狐モンスターの飛び掛りを『大防御(ダイガード)』で受ける。

 楯を前に突き出して受け止める構えだ。

 狐モンスターは楯にぶつかり、そして倒れた。なぜか白目むいてぴくぴく痙攣している。


 あれ? おかしいな。激突した反動で参ってしまったらしい。

 もしかしたら狐だけにペテンにかけられているかもしれないと油断せず楯を構えていたが、狐モンスターはそのまま動かなくなってしまった。ログが流れたときのむなしさよ。

 しかたなく包丁で解体する。まさか『大防御(ダイガード)』がモンスターを倒すアーツとは思わなかった。


 ちなみにログ情報によると狐モンスターは“フォコン”というらしい。



 次に体長2メートルを超えるヤギに似たモンスター、――こいつは“ヤゴス”というと後で知った――を狩った。

 ちょうどいいことに突進して襲ってきたので『大防御(ダイガード)』で受けた。割りと怖かったので少し後悔した。突進してくる猛牛の恐ろしさを味わったよ。

 “ヤゴス”の自慢の角とオレの自慢の楯がぶつかり合い、結果は普通に防ぎきった。

 “ヤゴス”の角は硬くまったく折れも曲がりもしなかった。しかも無駄に光沢が輝いている。

 ぶつかって防がれたら“ヤゴス”は前足上げて、上から頭突き。少しバックして頭突きとへこたれない精神の持ち主だった。おかげで楯の良い練習になったよ。


 その後、“ヤゴス”はスタッフがおいしくいただきました。

 “ヤゴス”肉は柔らかくかつジューシーでとてもおいしかったです。



 朝日が昇ると同時に目が覚めた。

 昨日の鍛錬を思い出して一つ気になったのが、攻撃できる武器が無いことだった。

 楯でぶん殴っても相応の威力だったが、楯はやっぱり防ぐもので攻撃するためのものじゃないんだ。2メートル級のモンスターを撲殺してしまったなんてことはすでに忘れた。

 しかし、昨日あれだけ楯を酷使したのにほとんど傷が入っていなかったのには驚いた。

 一応『修理(リペア)』をかけておいたが職業先生は“『修理(リペア)』ほとんど必要なし”と囁いていた。さすがはドラゴン素材で作った楯だ。たかだかヤギの攻撃では何とも無いらしい。

 そんな強力な楯に名前が無いのも変なので“竜頭楯”と安直に名付けておいた。


 さて、武器の話だ。

 出来れば片手剣を作りたかったが、素材的に槍のほうが作りやすそうだったため今回は槍を作ることにした。剣にするには牙が十五センチほどしか無かったため長さが足りなかったのだ。骨や甲殻よりやっぱり牙で作りたかった。

 槍全体の長さはオレの身長より少し短いくらいにして、ドラゴンの骨をベースに柄の部分を作る。

 握りやすいよう自分の手で何度か握り振り回しながら削っていく。さすがに長さが足りないので『合成』で骨を結合して、石突きと穂の部分にはドラゴンの牙を使った。

 【鍛治師】の囁きを拾いながら集中して作っていく。

 ドラゴンの素材はすべてが硬い。加工が難しいのでかなりの集中が必要だ。槍も単純な構造に見えて作るのが意外と難しいと初めて知った。なるほど、バランスと重心の位置が重要のようだ。それにより穂と石突きの大きさ重さを微調整していく。

 オレに合った槍を作り上げるのは、職業補正を得ていても骨が折れた。

 槍が出来た時にはすでに日が沈みかけていた。思ったより時間がかかったな。試すのは明日だな。最近毛皮製掛け布団が加わって若干豪華になった寝床に入り寝た。


 腹が減って目が覚めた。

 思い返せば丸一日何も食べていない。

 元の世界に居たころも、クラフトに集中してしまうと食事や家事を一切忘れてしまう悪癖があった。この世界は物作りが新しい感覚過ぎてついつい熱中してしまうな。さすがに気をつけなければ、気がつけばモンスターに襲われていたなんてぞっとしない。

 ふう。とりあえず一昨日確保した“ヤゴス”の肉を焼いて食べた。

 朝から焼肉とか割りとヘビーだがこの世界に来てからはあまり気にならない。

 もしかしたら運動不足が解消されて健康体に近づいているのかもしれないな。もしくは職業補正か。・・・・・・後者っぽそうだと思ったのは気のせいにしておこう。


 後片付けをしながら今日の予定を考える。

 槍のテストしたい気持ちもあるが、正直いつまでもこの岩場を拠点に活動するのは問題がある。

 出来れば人里に行きたい。

 移動を開始すべきだと思う。

 元々は荷物が嵩張りすぎるからいくつか消化できるまで移動を抑える考えだったはずだ。

 楯があまりに良い出来栄え過ぎて忘れていた。

 楯と槍を作成し、ドラゴン素材がリュックに収まる量まで減っていた。

 ぎりぎり移動できそうだ。


 ならば、そろそろ旅を再開しよう。


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作者、完結までがんばる所存ですが、皆様の応援があるとやる気が燃え上がります!

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[気になる点] ビタミンと塩分の不足が気になるところだ。
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