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終わらないスタンピード  作者: ニシキギ・カエデ
第二章 王国の産声

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第三話 子どもたちの家を建てよう

レビュー記念祭開催中! 本日三話目!

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それではどうぞ!



「じゃあ、解体班は任せるね」


 翌日、【解体見習い】に覚醒した二人は予想通り、未覚醒に戻ってはいなかった。

 それどころか二人が職業に覚醒したという噂がサンクチュアリ内に駆け巡り、朝からメティとエリーは子どもたちから囲まれてしまった。


 四方八方からの祝福に律儀にお礼を返していく二人だったが、朝食が終わってから二人に解体の仕方を教わりたいという子が続出したのだ。


 どうやらオレは子どもたちから見ても多忙を極めているように映るらしく、子どもながらに遠慮していたらしい。


 ちなみにルミの話によれば平民が、というよりも孤児が職業覚醒者から物を教わるのは栄光への道なのだそうだ。孤児が将来まともな生き方をしたいと思ったら職業覚醒者の下で教わるくらいしかないらしい。

 世知辛い話だ。


 しかし、獲物はいくらでもあるのでちょうど良い機会かもしれない。

 オレはまず五人の解体班を作り二人を先生にしてやらせてみようと考えた。

 二人に訊いてみると、


「任せて」

「承りましたわ」


 二人とも喜んで引き受けてくれた。


「助かるよ。ありがとう」


 メティとエリーに先生役が務まれば、その後は徐々に出来る子を増やしていこう。

 子どもたちに解体してもらえればとても助かるからね。


 選ばれた同年代の五人と連れて解体場に行き、獲物と道具を取り出す。


「いくら失敗してもいいから、皆がんばってね」


 オレには『破損復元理術』があるので失敗したとしても修復してやり直すことが出来る。

 みんなに気疲れしないように、と激励をしてその場を離れた。

 子どもが刃物を使うので大人がいた方がいいと思うのだが、オレがいるとみんなが緊張するからと言われてしまったのでしかたない。


 まあ、見た感じエリーは刃物、というか包丁やナイフの扱いにすごく慣れているように見えるので彼女に任せてみよう。


 外に出ると、解体場の出入り口に中を覗き込もうとする子どもたちの集団がいた。

 苦笑しながら中の子達の邪魔はしないようにと言っておく。ついでに何かトラブルがあったとき呼びに来てとも伝えておいた。


 子どもたちに刃物を持たせるのだから何かあったとき迅速に動けるようにしていないとね。


 今日は狩りに行かないでこの周囲で作業をしようとスケジュールを組む。

 『空間(アイテ)収納(ムボッ)理術(クス)』から設計図を取り出して、しばらく中断していた都市開発を進めよう。


「えっと、まずは【土木大匠理術師・建築属】第一の理術『巨石建築』を使って」

 

 『巨石建築』を発動すると地面から一戸建てほどの大きさをした立方体の巨石が地面から現れる。


 どうも、この巨石立方体を削り整えて建造するらしい。もしくは建材にも使えるようだ。

 今回は初めての『巨石建築』ということで建材として使用する。

 さすがにこの大きさの巨石を削って家を作るのは骨が折れそうだからね。


 【石切技師】が結合した【土木大匠理術師・建築属】の補正は非常に強力で、包丁で石に刃が入ってしまったときは驚いた。

 しかしさすがに石が大きすぎるので、結局【錬金魔法士】を結合した【大理術賢者・救導属】と【鍛治師】を使って作成した刃渡り十メートルの骨刀で石切することにした。


 積み木感覚で嘖々(さくさく)組み立てていく。

 どうも、『巨石建築』の巨石立方体のみで作成した建築物には色々と補正が働くらしい。

 “虫除け”“防腐”“防水”“防火”“防風”“耐震”“耐久力上昇”など特典があるようだ。


 そうして簡単に作った家を【魔眼理術師】を結合した【大理術賢者・救導属】でチェックしていく。

 問題が数多く見つかった。


 それを石版にメモしておき一旦家を解体してもう一度組み直してみる。家二号だ。

 何しろ建築なんてかまくら型しか経験が無い。地球にいた頃作ったミニチュアクラフトなんて家具や外部がメインだし、収納スペースや間取りや方角とかまったく無縁だったのでこうして一から試していっているわけだ。


 設計図さえパターン化してしまえば後は囁きを拾って量産するだけだ。

 いくつかのパターンで家々を作り、子どもたちを呼んで評価してもらう。実際すんでもらうのは彼女たちだからね。大体一軒に四人くらいで住んでもらおうと思っていることも伝える。


「家~」

「いえ~い!」

「ひろーい!」

「ここ住みたい!」

「うん! 住んでみたい!」


 全部このような評価だったので残念ながら子どもたちの意見は参考にはならなかった。

 後でルミに教えてもらった話によると、孤児は住むところも無い者が多く、家に住まわせてもらうだけで幸せなのだとか。本当に世知辛いなぁ。


 次にラーナに訊いてみた。


「ハヤト様が御造りになった建物に文句なんてありません」

「いや、しかし改善したほうが良かったり、使いづらいところはありますでしょう?」

「いえ、気になるところなんてありませんわ」


 残念ながらこんな感じで参考にはならなかった。そういえばラーナはオレが唯一作ったかまくら型の家にも何も言わなかったなと思い出す。


 次にルミに意見を求めた。


「お料理する場所は、必要だと思います」

「うーん。確かにあれば便利だと思うけど」


 オレは作った家に調理場を作らなかった。

 なぜなら燃料が無いからだ。火が使えなければ調理場は必要ないと思っていたけれど、せっかくの意見なので参考にさせてもらう。


「他にはあるかい?」

「これで文句を言う子なんていないと思いますよ?」


 むしろやりすぎですと注意されてしまった。

 解せない。個室やお風呂は必要だと思うのだけど。


 その後もセイナ、ミリア、チカ、シノンを初め何人かに意見を求める。


「ん、素敵」

「お城みたい~。お姫様になった気分~」

「ミリアは下」

「え~っ、私も上がいい~!」


 セイナとミリアは気に入ったみたいで特に意見はないようだ。

 ただルミの意見を採用して作った二人部屋の二段ベッドでどちらが上になるかで揉めている。普通下のほうが使いやすいのだけれど、何故か上の方が大人気だ。


 でも、まだ試作段階だからここには住めないよ?


「家をくださるなんて、これは嫁にすると言っているのと同義だと思うわ」

「確かに、それはありえるかも~?」

「ようやく私のアタックが効いてきたのよ。次はどうやってラーナ様の妨害を掻い潜るかね!」

「お~。なんだか燃えてきたね~」


 なんか家の評価とは別に不穏なセリフを口にするチカとそれに相槌を打つシノン。最近わかってきたのだが、シノンはチカをからかって楽しんでいる気がする。

 あんまりチカを煽らないでやってほしい。

 残念だけど嫁にするとかそんな意味はないからね。


 ひとまず意見は出揃ったのでそれを元に試作を作り直していく。


 数日後には満足いく家が作れたのでこれの量産化に移った。


 その日だけで三十軒の家が完成する。やはり規格が決まると早い。

 最終的に一軒に八人が住むことになったので、最低二百五十軒作る予定だ。


 それとオレとラーナが住むための屋敷も作ろう。いつまでもかまくらでは格好が付かないからね。


本日ここまで! 読んでくださりありがとうございました!


明日からは毎日投稿に戻ります。朝十時投稿予定です。

今後もぜひ読んでください!


また、本日評価がたくさんもらえますと、明日の『週間ファンタジー異世界転生/転移ランキングBEST300』にランクインできるかもしれません! 期待大!

どうかランクインできますように!


作品を読んで「面白かった」「がんばれ」「楽しめた」と思われましたら、ブクマと↓の星をタップして応援よろしくお願いします!


作者、完結までがんばる所存ですが、皆様の応援があるとやる気が燃え上がります!

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