第三十五話 『国滅の厄災。完全討滅戦』
――何か他に打開する方法はないのか?
ステータスを見てみると、活躍していた【滅竜戦士】のレベルが急上昇していた。
あと二百も倒せばレベルカンストできそうな勢いだ。
【滅竜戦士】はMP消費が少ない。進化さえ出来れば活路が拓けるかもしれない。
「『滅竜乱舞』! 解除、『巨壁結界』!」
【滅竜戦士】をメインで使いつつ、『三重巨大結界』を解除して『巨壁結界』を張る。MP節約だ。
見たところ、ワイバーンは結界を打ち破ることは出来ないようだ。
その可能性も思い至った。【結界理術師・魔払属】へ進化する時、確かこう書いてあったはずだ。
―――『《特殊条件【厄払士】【滅竜魔法士】結合させることで特殊職業【結界理術師・魔払属】へ上位進化が可能です》』。
つまり結界には【滅竜魔法士】の能力が乗っている。道理でワイバーンの集団を弾き返すわけだ。結界に竜特攻が備わっていたなんて。都合が良すぎるだろう!
だがいいぞ。これで結界の維持で消費されるMPを殲滅に回せる。MPの自然回復がMP消費を上回った。
――DYAAAAAAAA!!!!!
「『滅竜乱舞』! 『滅竜乱舞』! 『滅竜乱舞』!」
《【滅竜戦士】が成長限界に達しました》
《成長限界を突破したため【滅竜戦術師】へ上位進化が可能です》
《上位進化しますか? Yes/No》
レベルカンスト! すぐにYesを選択する。
《Yesが選択されました【滅竜戦術師】に位階進化しました》
《特別職業【英雄】から結合進化の要請がありました》
《【英雄】【滅竜戦術師】【大崩壊術師】【追跡術師】【隠蔽術師】【軽業士】【狂戦士】【武闘士】【剛脚士】【遊戯貴族】を結合させることで伝説職業【古閃大英雄・■竜属】へ結合進化が可能です》
《上位結合進化しますか? Yes/■■》
―――何?
これは、なんだ…要請? ……伝説職業だって?
ステータスを見るとレベルが上がるのが極端に遅かった【英雄】がカンストしている。
《Yesが選択されました伝説職業【古閃大英雄・■竜属】に結合進化します》
選択していないのに勝手にYesが押され【英雄】の進化が始まった。
――何!? 何が起きたんだ!?
まるで職業の意思で進化を選んだかのようだ。
職業欄にある十のジョブが消え、いや結合されて一つのジョブに進化する。
「身体が、光ってる?」
ジョブが進化すると同時に身体が金色に発光し始めた。
もう何がなんだかわからない。
わからないが、これがチャンスであるということだけは解った。
進化の影響でMPもガツンと増えた。いける!
「『大英雄の滅竜覇道』!」
伝説職業【古閃大英雄・■竜属】第一の戦技『大英雄の滅竜覇道』は強力な自身へのバフと大規模な挑発効果をもたらした。しかも挑発を受けたのが竜種なら弱体化効果もあるようだ。
――D、DYAAAAAAAA!!!??
ワイバーンたちが戸惑いながらも特攻を仕掛けてきたので理術を使いなぎ払う。
「『流星気槍楯』『嵐風竜巻』『大地掌握』『火炎暴走』大水支配『竜血覇撃』!」
理術の回転率をどんどん上げて殲滅スピードを上げる。
MPが尋常でないくらい減っていくが、大規模挑発で結界に行くワイバーンは少ない、今が数を減らす最大のチャンス。
結界を一部解除し、MPを殲滅に回していく。
後続のワイバーンが次々飛来するがすべては『大英雄の滅竜覇道』の範囲圏内だ!
引き寄せられたところから理術を使えば数百単位でなぎ払われていった。
ざっと三万くらいを打ち落としたときそれは起きた。
《特別職業【賢者】から結合進化の要請がありました》
《【賢者】【火理術師】【水理術師】【土理術師】【風理術師】【魔流躁術師】【魔眼理術師】【修復魔法士】【錬成魔法士】【支援者】【指導者】【王族教育係】【付与術士】【高位魔術士】を結合させることで伝説職業【大理術賢者・救導属】へ結合進化が可能です》
《Yesが選択されました伝説職業【大理術賢者・救導属】に結合進化します》
――【賢者】、君もか!?
ワイバーンの大量撃破で賢者レベルもカンストしたらしい。
早すぎるッ! いや、ワイバーンの経験値が良すぎるせいか? さすがは竜種!
職業が何故かオレの意思に反して勝手に進化してしまうので十四職のジョブが統合されて消えてしまったが、それは後で考えよう。
MPが増えて好都合と考えるべきだ!
ついでにステータスを確認。カンストしていた【光魔法士】を【光理術師】に進化させてさらにMPが増える。
ワイバーンはあと十二万。
「『大賢者の理術極意』」
伝説職業【大理術賢者・救導属】第一の大理術『大賢者の理術極意』は、行使する魔法・理術を大幅に強化するバフだった。“大英雄”に比べてちょっと弱いか? と思って発動してみると。
「――『嵐風竜巻』『大地掌握』『火炎暴走』大水支配!」
さっきとは比べ物にならないほど強力な竜巻が数千のワイバーンを巻き込み、数千の土槍がワイバーンを貫き、紅蓮の炎が数千のワイバーンを焼き殺し、大水が空中で荒れ狂いワイバーンを溺死させる。
すさまじい威力だった。これだけで一万のワイバーンがログに流れる。
さっき発動したときは八百倒すのがせいぜいだったのに、これが“大賢者”の力。――強すぎる!
「って、威力も上がっているけれど消費MPも上がってる!」
【大理術賢者】は威力は高いがコスパが非常に悪いようだった。
ここぞという時に使おう。
―――ん?
【大理術賢者】のLVが上昇し次の理術が開放されている。ステータスの項目に『魔流の手術』という理術が生えていて、その囁きにオレは眼を見開いた。
大量撃破で黒文字になり使用できるそれは、オレがずっと欲しかった物だった。
“竜牙槍”を一度背中に戻し、近くに落ちた瀕死のワイバーンの元に駆け寄ると素早く捕まえてそれを使う。
「『魔流の手術』!」
瞬間、ワイバーンの魔力が手を通じて流れ込んで来た。
うめき声を上げるワイバーンから全ての魔力を吸収する。
すごい。
この理術はずっと欲しかったマジックドレインだった。おそらく【魔流躁術師】を取り込んだためこの理術が生まれたのだろう。
これでMPをある程度気にせず理術を放てる!
「『流星気槍楯』『魔流の手術』『嵐風竜巻』『大地掌握』『魔流の手術』『火炎暴走』大水支配」
ワイバーンたちを捕まえて魔力タンクにしてガンガン理術を撃ちまくる。
「ふっ!」
理術の雨を掻い潜ってきたワイバーンは“竜牙槍”を振るうことで吹き飛ばし。
「はっ!」
“竜頭楯”で受けると逆にワイバーンが打ち砕かれて飛んでいった。
ステータス値が尋常ではなく上がっている。それにワイバーンもかなり弱体化しているためか、体格差も物ともしない。
ほとんど移動砲台と化したオレはワイバーンを打ち落としては魔力を吸収し、理術を撃ってまた魔力を吸収するを繰り返した。
そして空が白んできた頃、気が付けばワイバーンは、全て討滅されていた。
「――終わった・・・・・・のか?」
《特別職業【勇者】から結合進化の要請がありました》
《【勇者】【竜槍楯理術師・戦技属】【聖理術師】【光理術師】【修道士】を結合させることで伝説職業【■■槍楯勇者・聖■属】へ結合進化が可能です》
《Yesが選択されました伝説職業【■■槍楯勇者・聖■属】に結合進化します》
・・・・・・君はもう少し早くきて欲しかったよ。
国滅の厄災、討滅完了! がんばった。ハヤトよくがんばった!
読者様、長くお付き合いいただいてありがとうございました!
明日エピローグを挟んで無事第一章終了となります。
このラストバトルでpt160を突破! 盛り上がってくださったようで何よりでした!
これからも読者様にとって面白い、楽しめる作品となれていたら幸いです。
また明日も見てください。
作品を読んで「面白かった」「がんばれ」「楽しめた」と思われましたら、ブックマークと↓の星をタップして応援よろしくお願いします!
作者、完結までがんばる所存ですが、皆様の応援があるとやる気が燃え上がります!




