第三十四話 第七波、第八波、第九波、討滅。そして第十波
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第一章もそろそろ終わりに近づいてきました。あと二話くらいですね。
最後まで読んでくださるとうれしいです!
「『高速空間解放理術』! 『大地掌握』! 大水支配!」
全開の理術でスタンピードを“休景の龍湖”に押し流し、沈める。
先ほどの“渦潮”がよりも荒々しく渦巻く大荒れの湖が合計五十万の魔物を翻弄し逃がさない。
急激にログが流れていく。
先ほどの第五波、第六波とまったく同じ方法だが、一度掴んだノウハウは驚くほどあっさりとスタンピードを打ち破っていく。
飛んで逃げようとする魔物は『花火』や『下降気流』で打ち落とし。
冷水の落とし穴に嵌った魔物が壁穴から押し流され湖へ落ちていく。
『長距離探知』で逃げようとする魔物がいないか随時確認しながら最新の注意を払い理術と魔法を発動していった。
極度な集中で精神がガリガリ削られていくようだ。
「よし!」
先ほどより数が多いから時間が掛かったが、何とか準備が整った。
あらかた抵抗が弱まったのを見計らい、崖崩しの準備に入る。
――『崩壊大層』。
緋色のエフェクトが足に包まれ、そして振り上げたそれを大地に落とす。
「これで、終わりだ! ――『崩壊大層』――えっ?」
その時、――『長距離探知』がまたもスタンピードを捉えた。
尋常ではないスピードで進攻してくる。魔物の群集を。
『崩壊大層』は発動され崖に亀裂が迸った。
崩れる崖、『大地掌握』の影響力で前回より大量に土砂がスタンピードを飲み込んでいく。
しかし、オレはそれを確認している余裕は無かった。
スタンピード、パターン“国滅の厄災”第十波、最後のスタンピードがすでに目視で確認できるくらい近くまで進攻してきている。
――速い。
それもそのはずだ。スタンピード第十波は飛行部隊だったからだ。
しかもそのすべてが―――。
――DLLLLOOOOO!!!!!
――DYAAAAAAAA!!!!!
そのすべてが―――飛竜だった。
ワイバーン、推定十五万のスタンピードが飛行しながら高速で向かってきていた。
「ワイバーンだって!? しかもこの方角は!」
ワイバーンが向かっている先はフォルエンではない、子どもたちが暮らす城塞都市だ。
――まずい! なんとしてもここで止めないと!
しかし、その方法が。空の群集相手なんて想定外すぎる。
結界で通行を阻害し打ち落とすことは出来ると思うがその後が続かない。
オレがスタンピード十万以上を屠れるのは“休景の龍湖”があったからだ。
しかし、今“休景の龍湖”は罠を発動させたばかりで、すり鉢状のクレーターになってしまっている。切り立った崖の罠はすべて崩れて湖の中だ。
打ち落としたところで押さえつけることもできない。
『空間収納理術』内の水もすべて使いきった。湖は土砂が水を吸って大水支配で操作できないし、『大地掌握』でもワイバーン十五万を巻き込むことは不可能だ。
一体ずつ相手していたら時間もMPも足りない。行動を起こしている最中に空に逃げられる。ワイバーンはレベルが高い、【鑑定士】によれば15~30レベルもある。結界だって打ち破っていくだろう。
――何か、何か手は無いか。
視界の端をずっと流れていた撃破ログが止まる。
“国滅の厄災”第七波、第八波、第九波は無事そのほとんどを倒すことが出来たようだ。
しっかり見れなかった影響で数千まだ生き残りがいるようだが今は構っている暇は無い。
そのログを確認してハッとする。
――そうか、ジョブだ!
ステータスを開き、今のスタンピード討滅でレベルアップした職業を確認する。
何か、この現状を打破するような、アーツ、魔法、理術、なんでもいい。何か無いか!
レベルカンストした職業を確認もそこそこにYesを押していく。
《Yesが選択されました【火理術師】に位階進化しました》
《Yesが選択されました【風理術師】に位階進化しました》
《Yesが選択されました【聖理術師】に位階進化しました》
《Yesが選択されました【魔眼理術師】に位階進化しました》
《Yesが選択されました【狩罠工術師】に位階進化しました》
《Yesが選択されました【大崩壊術師】に位階進化しました》
《Yesが選択されました【追跡術師】に位階進化しました》
【火魔法士】【風魔法士】【神官】【鑑定士】【罠士】【崖崩士】【斥候】の七職が進化した。
MPを初めステータス値が大幅に上昇していく。
新しく獲得した理術をすばやく確認するが、さすがに十五万のワイバーンを一掃出来るような理術は無いようだ。
現状、今出来るのはここまでのようだ。
もう目前にワイバーンが迫っている。
上昇したステータスでどこまで出来るか、後はもうやってみるしかない。
「『三重巨大結界』!」
――DYAAAAAAAA!!!!!
【結界魔法士】元第十二の魔法『三重巨大結界』を上空に展開。
三重の結界に先頭のワイバーン集団が激突、墜落していく。結界は、破られてはいない。
「よし、いいぞ! 『三重巨大結界』『三重巨大結界』『三重巨大結界』!」
『三重巨大結界』で上空に壁を大量に張り、ワイバーンの行く手を阻む。
しかし、思ったより結界の強度が高い。レベル30のワイバーンの体当たりにビクともしていないとは、ステータス値上昇のおかげか?
いや、考察は後だ、ワイバーンが下にいるオレに気がついて下降してきている。
――う、すごい迫力だ。
「『流星気槍楯』! 『火炎暴走』! 『嵐風竜巻』!」
槍楯の矢に大爆発、そして乱気流のトリプルコンボで二百のワイバーンが墜落した。
しかし、ワイバーンの物量はそれを遥かに上回った。
「―――『大千槍』! 『瞬動走術』!」
目の前に迫るワイバーンに『大千槍』でなぎ払い、そのまま『瞬動走術』で高速移動。ワイバーンの攻撃目標地帯から離脱する。
「これはどうだ――『滅竜陣』! 『大千槍』!」
今まで出番の無かった【滅竜戦士】第一のアーツ『滅竜陣』で強化した『大千槍』を振るうと、さっきの攻撃よりワイバーンのHPがガクンと減る。
さすが竜特攻だ! 【滅竜戦士】のアーツを積極的に使うと、ワイバーンの殲滅スピードも格段に上がった。消費MPも少ない。これなら!
「『三重巨大結界』! 『英雄はここにいる』! 『突進楯』! 『滅竜乱舞』!」
スルーして行こうとするワイバーンを結界で阻み、挑発でこちらに引き付けて楯で弾き、強化した“竜牙槍”と“竜頭楯”で連続攻撃。ワイバーンを屠る。
一見するとオレが押しているようにも見える。
しかし、徐々にオレは高威力の理術を打てなくなっていった。
理由はMPだ。
『三重巨大結界』を空に大規模展開しているが、これを維持するのにMP消費が回復量を上回り、現状MPの節約を余儀なくされているのだ。
しかも、スタンピードの本体はまだここに到達しておらず、ここに現在いるワイバーンは二万ほどしかいない、そして倒したのは千体だ。後方が追いついて来たらさらに結界にMPを取られる、そうなると戦線は維持できなくなる。
――何か他に打開する方法はないのか?
国滅の厄災を討滅するノウハウを会得し、第七波、第八波、第九波を同じ方法であっさりと打ち破る。
これは楽勝か、と思いきや最後の第十波は空飛ぶワイバーンが十五万!!
罠は効かず、結界で足止めするがMPピンチ! 結界を解いた瞬間ワイバーンは子どもたちの下へ向かってしまう。
追い詰められたハヤトはここからどう打ち破るのか!
次回、『国滅の厄災。完全討滅戦』! お楽しみに!!
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