第九話 決戦、堕ちた世界神樹ユグドラシル
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「――『双槍双楯突撃』!」
装備している槍と楯の数が多いほど威力が上昇する突撃系理術を発動する。
人竜一体と化したオレとセイペルゴンは二人で一人だ。『双槍双楯突撃』の効果も二対の槍と楯を装備している扱いに成る。
さらに伝説職業【騎竜槍楯勇者・聖竜属】に組み込まれたため伝技級の威力が乗り、ドラゴンが超高速で突っ込んでいくともなれば、想像を絶する破壊力を生み出す。
「右側は任せて、セイペルゴンは左側を頼む」
「任せろマスター」
オレは右手に持つ“竜頭楯”を構え、セイペルゴンは左手に持つ“竜頭楯”を構える。
“竜牙槍”は共に前へ向け、超速で突っ込むと、暗黒色の魔物が軒並み吹っ飛んでいった。
―――GYOOOOOOOO!!!
―――JYUAAAAAAAAA!!!
側面から突撃しても“竜頭楯”がそれを阻み、後方からはセイペルゴンのスピードについて来られない。
そして前方にいればあまりの破壊力に耐える事は出来ない。
まさに必殺と無敵の技だ。
「――『大水流高速鉄砲水』! 『六連陣高速収納理術』!!」
数キロあった距離を秒で縮めて“堕ちた世界神樹”へ近づくと、まずは周囲に山となっている邪魔な魔物を洗い流した。
「下はこれで良い。オレたちは上の枝を落とすよ」
「おう、上がるぞマスター!」
狙いは“堕ちた世界神樹”の枝。
その先から魔物が生み出されては下に落ちていく。
これをとめなければ永遠にスタンピードを生み出し続けるだろう。
セイペルゴンがスピードと高度を上げて枝まで急接近する。
「――『大賢者の理術極意』! 『火炎暴走』『嵐風竜巻』!」
バフで威力を上げた『火炎暴走』『嵐風竜巻』の合わせ技でブレスにも似た横向きトルネードを生み出して枝を一掃する。
「見た目枯れ木なのに、燃えない!」
「仕切りなおすよマスター! 空飛ぶ魔物が集まってきてる」
ワイバーンを数千単位で落とす強力な理術だったはずの炎は、“堕ちた世界神樹”の枝を燃やすどころか傷つけることすら出来なかった。
それを見て、セイペルゴンが一瞬で“堕ちた世界神樹”から離脱する。
「堕ちたとはいえ神の名は伊達ではないということか」
「どうするのだマスター? 突っ込むか?」
「いや、もし枝が折れなかったらと思うとあのスピードで枝に突っ込むのは危険だ」
正直あの炎で無傷というのは予想していなかった。
『双槍双楯突撃』でも折れない可能性が有る以上むやみに突っ込めば墜落の危険がある。
「まずはあの枝の特性を見極めよう。近づいてくれ」
「わかったマスター」
「『双槍双楯突撃』! 『四大元素波撃』! 『英雄覇撃・古閃滅竜』!!」
突撃で魔物を蹴散らし接近して『四大元素波撃』を放つが、やはり傷は付かない。
ならばと邪竜王の極太ブレスすら貫通した『英雄覇撃・古閃滅竜』で枝を薙いで見るとわずかに傷が付いた。
しかし――。
「傷が、回復している…」
「ダメだマスター、離脱するよ」
効果が薄いと見るやセイペルゴンが再び“堕ちた世界神樹”から距離をとる。
その理由が枝から生まれる魔物が変化していたためだ。
今枝から生まれる魔物がすべて飛行型の魔物になっている。
生まれる速度も秒間2000固体は落ちていると思う。
竜種もまちまち出てきているようだ。
“堕ちた世界神樹”自体は動いていないが、こちらの攻撃に対抗してきている。
――ならば。
「【結界理術師・魔払属】第十五の理術『世界の狭間陣』」
巨大結界で枝を包み込むようにして生まれる魔物を閉じ込めた。
さすがに“堕ちた世界神樹”が巨大すぎてすべてを包み込むのは無理だったが、これで生まれたばかりの魔物のほとんどは封じることが出来る。レベルが低いからね。
今のうちに打開策を練らないと。
「セイペルゴン、合わせてくれ」
「任せろマスター」
「――【騎竜槍楯勇者・聖竜属】第三の伝技『聖十字槍十四連竜撃』!」
『世界の狭間陣』で包み込めなかった枝の部分に向かって、オレとセイペルゴンが“竜牙槍”を振るう。
一撃目で傷が入り、三撃目で大きく裂け、回復するスピードを上回る速度で連続攻撃を叩き込む。そして十四撃目、ついに枝が折れた。
すぐに『空間収納理術』を開いて枝を収納する。
どうだ。――よし、折れた部分からは魔物が出ない。
「やったなマスター」
「ああ。それに、多分だが弱点がわかったかもしれない」
「ほんとかマスター!」
遠距離攻撃の理術や伝技では傷一つ負わなかった“堕ちた世界神樹”が接近攻撃だけは傷が付いた。
しかし【古閃大英雄・滅竜属】の強力な伝技である『英雄覇撃・古閃滅竜』ではすぐに回復する程度の傷しかつけられなかった。
そこから分析するにおそらくだが【騎竜槍楯勇者・聖竜属】系統の術が有効な可能性が高い。
もっと言えば【聖竜】属性が可能性としては濃厚だ。
遠距離攻撃はほとんどが【理術大賢者】の伝技だ。これは傷一つ与えられなかった。
しかし、【騎竜槍楯勇者・聖竜属】の『人竜一体勇者変身』を纏った槍の攻撃は有効打になったのがその証拠だ。
「――【聖理術師】第一の理術『大聖光撃』」
試しに“聖”属性『大聖光撃』を放つと、枝の部分から煙を吹きだした。紫色だった木部が薄くなっているのが確認できる。
『大聖光撃』は魔法系の理術だが組み込まれた先は【騎竜槍楯勇者・聖竜属】だ。
「――『速射大槍』!」
追撃で薄くなった枝を【騎竜槍楯勇者・聖竜属】に組み込まれたアーツで攻撃すると枝が折れた。落枝を即回収する。
【騎竜槍楯勇者・聖竜属】のアーツのほうが『英雄覇撃・古閃滅竜』より遥かにダメージを与えられたことを確認できた。
オレは“堕ちた世界神樹”は“聖”属性が弱点だと確信した。




