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終わらないスタンピード  作者: ニシキギ・カエデ
第四章 世界神樹ユグドラシル遠征

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第六話 遠征の道 前編

読んでいただきありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ


今日明日はダイジェスト風でお送りいたします。



 遠征から7日目。


 今日の昼ごろ“レイオン公国”領土を超え“エイシスシスタ英雄王国”領土に入った。

 遠征は順調だ。


 あいも変わらず周囲は終わらないスタンピードで埋め尽くされている。

 毎日朝と夕方、セイペルゴンが北の地平線に向かってブレスを吐き一掃しているが、まるで減ったように見えない。


 エイシスシスタ英雄王国はその名のとおり、代々の王が【英雄王】という職業についていたらしい。強い王様に統治された強い国、だったそうだ。

 スタンピード襲来時も王家が最前線にて軍を引っ張っていたらしい。


 しかしそれが災いし、最初はそれでスタンピードを押してはいたが、ある一時を境に次々王族が戦死し、瞬く間に軍が崩壊。政治も崩壊。

 最前線になってたった四年で地図から消えてしまったのだという。


 その後レイオン公国が九年も持ちこたえられたのだから【英雄王】の名も泣いているだろう。エイシスシスタ英雄王国の首都を通り過ぎるとき、彼らの冥福を祈った。



 遠征から11日目。


 “シャタール陽王国”領土に入った。

 この国にはちょっとした縁がある。


 オレがこの世界に初めて来たとき、おそらくこのシャタール陽王国の領土のどこかに転移したのだと思われる。


 振り返れば、ここから南のシハ王国まで本当に長い旅だった。

 まさか、ここに戻ってくることになるとは思わなかったよ。二ヶ月も歩かされたからね。


 オレをこの世界に送った人物が居るのだとすれば、どうしてこんな人里離れた荒野に転移させたのか問い詰めてやりたいよ。



 さて、“シャタール陽王国”だがここは鍛治に特化した物作りが盛んな土地だったらしい。

 【陽王】とはそのまま太陽のように熱い熱を操る鍛冶職人のトップに与えられる称号のようなものだったそうだ。

 この国一番の鍛治師は王家へと迎え入れられ、【王太守】の職業に覚醒すると同時に【陽王】を名乗ることが許されていたのだとか。



 この国はまた鉱山も多い。

 近くを通るときに“魔眼”を使って知ったのだが、オレがこの世界に来たとき降り立った断崖絶壁の山は鉱山の山脈だったようだ。


 しかし、魔物に鉱物を食い荒らされまくり、内部がスカスカになっていた。

 そりゃあ崩れるだろう。

 ちょっと体重をかけただけで簡単に崖崩れが起きた理由が今になってようやくわかった。

 まあ、それのおかげでチートの職業を大量に手に入れたためあの時の恐怖体験は水に流してあげよう。

 閑話休題。



 と、そんな土地のため地面は起伏が激しい。

 移動城砦の進路は相当慎重に選び進んだ。

 少しでも傾いていたら町ごと傾いてしまうからね。

 平らな平地が見当たらないときは地面を建築してでも鉱山をぶっ壊してでも道を作ったほどだ。


 おかげで何とかシャタール陽王国も無事切り抜けることができそうだ。

 ただ、ずっとバルコニーに常駐しなければならなかったため、ラーナとの時間がなかなか取れなかったのが残念でならなかった。



 遠征から16日目。


 “ヴィンダルブ森林国”に入った。


 森林国と名の付くとおり、当時はこの国の領土の九割以上が森林だったらしい。

 巨石文明が根付き、国の中心部にある巨石の周辺が国の中心地であり、巨石の上に王城が建っていたそうだ。


 ただ、その姿は現在見る影も無い。

 たったの数十年で広大な大森林はすべてがスタンピードに食われ、無くなってしまった。

 今はだだっ広い荒野と固い土が広がる大地、そしてポツンと立つ巨石しか残っておらず物悲しい。


 そしてそこを我が物顔で埋め尽くす大量の魔物たち。


 本当にここに大森林があったのかと疑わしくなる光景だった。


 セイペルゴンに頼み、朝と夕方、ブレスでなぎ払ってもらう作業を行う。

 オレも、なんだか悲しくなって、余り気味のMPを使って少しでも魔物を討伐できるよう理術で一掃していった。


 そうしていると、セイペルゴンが報告してきた。

 レベルが上がって一日三発ブレスが吐けるように成ったらしい。

 なので17日目からは朝、昼、夕方の三回、地平線に向かってブレスでなぎ払ってもらうことにした。



 遠征から22日目。


 広大な森林を保有していたヴィンダルブ森林国をようやく抜け、“ナラグス賢王国”の領土に入った。


 ナラグス賢王国はお隣の大国“大魔道国ハダイ”からマジックアイテムを多く輸入し発展してきた国だった。


 王の職業が【賢王】に覚醒するくらいには統治も良かったらしい。


 国はマジックアイテムで栄え、お隣の大国以上にマジックアイテムを使いこなす、賢者の国とも呼ばれていたのだとか。


 大国ハダイはマジックアイテム作成に関しては他の追随を許さないほどの技術力を誇っていたが、マジックアイテムの利用方法に関してはあまり賢いと言えなかった。

 そのため、ナラグス賢王国は“知識”を、大国ハダイは“技術力”を提供して、お互い支えあって国を発展させてきたらしい。


 しかし、マジックアイテムに頼りきった統治は魔石の供給がストップしてから暗雲が立ち込めるようになる。

 発展しすぎた文明が丸ごと使えなくなったために、両国は大混乱に陥りスタンピードを食い止めることもままならない有様だったらしい。


 それでも技術力と知識はあった国、何とかマジックアイテムに頼らない統治を成功させる。しかし、それが軌道に乗ってきた頃、スタンピードが大国ハダイを食い破った。


 大国ハダイとナラグス賢王国は二人三脚、一心同体で支えあってきた国。

 大国ハダイの崩壊と共に、混乱したナラグス賢王国は一年と持たず地図から消えてしまったのだという。



 遠征から26日目。



 “大魔道国ハダイ”の領土に入った。

 ここは昔大陸三大国の一つで別名“南の大国”とも呼ばれる。


 魔石というエネルギー物質を元に道具作りのみに興味が傾倒して、王侯貴族も含めた国民全員がマジックアイテムに熱意を燃やす、物作りオタクの国だったようだ。


 物作り以外にはあまり興味がないせいで統治力に関してはあまり良くは無かったらしいがお隣のナラグス賢王国から知識を借りて何とかやってこれたようだ。


 ただ、軍事力に関しては他の三大国の中でもトップを誇り、マジックアイテムによる殲滅力は戦争を一方的な蹂躙に変えるほど。

 周辺国からは脅威だったことは間違いない。


 しかし、魔石の供給が途絶え、マジックアイテムが作れなくなると国民の士気は暴落。

 国中に絶望が蔓延し、国の中枢がほとんど機能していない状態まで落ち込んだそうだ。


 それでも確保してあった魔石を使い五年間スタンピードを食い止めたらしいが、最後は魔石が底を尽きて滅ぼされてしまった。

 マジックアイテムもその時ほとんどが破壊されこの世からも消えてしまったらしい。


 それを聞いて残念に思う。一度マジックアイテムを見てみたかったのだけれども、もう作り手もいないし魔石も無いため難しいようだ。本当に残念だ。



 “大魔道国ハダイ”の首都を抜ける際、オレはあることに気がついた。

 スタンピードが首都を避けているように見えたのだ。

 そういえば、と思い出す。


 これまで通り抜けてきた国々でも首都にはスタンピードは入っていなかった。

 何も無い焼け崩れた跡地だったためにあまり気にしていなかったけれど、津波のように大陸一帯に広がって押し寄せるスタンピードが、首都だけは避けている。

 これはいったいどういうことだろう?



 遠征から32日目。


 “大魔道国ハダイ”を抜け、そこからは小国が立ち並ぶ“都市国家郡”の土地をまっすぐ北上して通り過ぎていった。


 “大魔道国ハダイ”を北に抜けると、そこからはラーナも良く知らない土地なのだという。

 シハ王国はマジックアイテムとは余り縁が無かったらしいので大国ハダイともあまり交流が無く、それ以上に北上した土地からはほとんど交流がなかった。


 流民が流れてきたのである程度は把握していたが、歴史の授業などは都市国家群と一纏めで教えられたためあまり詳しくないと言っていた。


 都市国家群は乱立している上に規模が小さいためすぐに抜けられるかと思ったが、そんな事は無く、地理にも疎かったため何度か遠回りをよぎなくされた。


 結局、都市国家群を抜けるのに一月以上も掛かってしまった。


 そして今日、遠征から71日目。

 “大帝国アシエリスラ”の領土に入った。



いつもいつも誤字報告お世話になっています!

ありがとうございます! またまた助かりました!

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[気になる点] 岩と砂やそこら辺は残るのに鉱石は食うのか。
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