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17.ロバに乗った護衛

おみくじを結んで、屋台で軽食を買って帰る。

ついて来たそうにしてたのと、雫も色々話したいとのことで、

姉貴を含めて3人で帰ることになった。


「弟くん。雫ちゃんを大事にね。綺麗な花には悪い虫が寄ってくる。

 しっかり守ってあげなよ?」

「それは大丈夫です。ボク、もう何回も守られてますから」

「え、マジで?」

「……まぁ、思い当たる節は2、3ほど」


主に夏頃に、色々と。

今思えば、透の化けの皮がはっきり剥がれたのもその頃か。


「ほほーっ、その筋肉に使い道があったのか」

「腹筋とか凄いですよ。綺麗に割れてて」

「知ってる知ってる。いつ頃から鍛えてたんだっけ?」

「中学入った辺り? ガチってきたのは3年の秋からだけど」

「お姉ちゃんも鍛えよっかなー。雫ちゃんもどう?」

「そう言って三日坊主どころか、一日で挫折したのは誰だ?」

「ぐうの音も出ない」

「ボクも体力には困ってないんで」


姉貴は好きなことに打ち込んでる時は平気で限界を超えるが、

それ以外だと筋力・持久力共に平均以下。

そもそもがインドア派だし、雫のことを黙っていたら、

初詣に来なかったまである。


「ところでお姉さん。小さい頃の怜二君ってどんな男の子でした?」

「小学生の頃は可愛い弟だったんだけどね。

 ちゃーんと『お姉ちゃん』って呼んでくれてたし」

「小4ぐらいまではな。変わった理由に心当たりあるだろ?」

「中学に入ったお姉ちゃんは見事にオタクになりました」


俺も漫画は好きだが、姉貴の入れ込み様はとてつもなかった。

ちょいちょい漫画の貸し借りとかはしていたが、

恐らく用途は全く異なっていただろう。


「雫ちゃんは漫画好き?」

「好きですね。少女漫画をよく読んでます」

「そっちかー。お姉ちゃんは少年漫画ばっか。

 資料集買って色々描いてたなー」


流石に掛け算云々の話はしないか。

分からない相手に言っても引かれるだけというのは勿論、

姉貴曰く「公言するようなものではない」とのことだし。

……ん、どうした姉貴。俺の顔を見て。


「……どう考えても王子様じゃないんだよなー」

「喧嘩売ってる?」

「セール中です」

「よっしゃ買占めたるわ」

「ごめんって」


自覚はしてる。俺は雫が読んでる少女漫画に出るような男じゃない。

あったとして、恋に落ちた相手の友人だろ。


「漫画に出てこないのは当然ですよ。

 怜二君は漫画の中の男の子よりずっとカッコいいですから」

「……ありがとな」


それでも、雫から見える俺がそうであるのなら。

俺はずっとカッコいい男であり続けてみせる。


「てぇてぇなぁ……ところで、この後どうする予定?

 家族の時間もいいけど、二人は一緒にいたいでしょ? こっち来る?」

(うち)は歓迎だけど、雫は?」

「ボクも同じかな。皆、新年の挨拶したいみたいだったし。

 年賀状は送ったけどさ」


いつでも会えるようになったとはいえ、節目の礼儀なので。

今やお互いの住所は番地まで記憶している。


「ここからだとどっちの家の方が近いの?」

「雫の家の方が近いな」

「折角なので、お姉さんもいかがですか?」

「え、いいの!? って待った。この場合許可を取るべくは……」


顔の方向は俺。

この姉貴を渚さんに会わせるのはちょっと不安だが……


「まぁ、雫が招いてくれるなら」

「ご挨拶させて頂きまーす!」


元日の予定が決定。新年のご挨拶と参ろうか。

そうと決まれば、ある程度の展開の予想を……


「わっ!」

「おっと、ごめん!」


突然、雫の肩に誰かがぶつかりやがった。

おいおい、人の彼女に何してくれて……って!


「おい待て!」

「うぇっ!?」


新年早々、初詣の人混みでスリを働くバチ当たりが。

……こいつ、賽銭箱の前でパーカーのフード広げてた奴だな。

お前はどんだけがめついんだよ。


「雫、財布どこに入れてた?」

「コートのポケットに……あれ? あれっ!?」

「コレだろ?」

「それ!」


しっかりとした革製の長財布。

現金はそこまで多くないと思うが、カードの類は大体ここだろ。

どうあれ窃盗犯をみすみす見逃すなんてことはないが。


「くそっ、離せ!」

「離してたまるか。姉貴ー? そっちも大丈夫かー?」

「大丈夫大丈夫。お姉ちゃんはいつも内ポッケだから。

 ていうか大体の決済はスマホだし。そっちも大丈夫」

「分かった。雫は? 他に盗られたものないか?」

「う、うん……ありがとう」

「よし。じゃ、お前は一緒に交番行こうか」

「離せよ! 俺はスリなんてしてねぇよ!」

「交番行くって言っただけで、何でスリを否定するんだ?」

「そっ、それは……」

「お姉ちゃんも証人やるから、諦めな。

 ……成程、しっかり守ってくれる訳だ」

「……えぇ」


雫に限ったことではないが、雫なら尚更だ。

雫自身は勿論、雫の物だって守ってみせる。

そして、その時に最も大切なことは。


「怜二君、ケガはない?」

「安心しろ。無傷だ」

「よかった……ありがとう」


俺自身も、傷を負わないこと。

安易な自己犠牲で最愛の彼女を悲しませるようじゃ、彼氏失格だからな。

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― 新着の感想 ―
[一言] 確かに怜二くんは、王子様ではないですね。 雫ちゃんを守る騎士(ナイト)ですから(о´∀`о)
[良い点] れいじくんの行動がカッコいい点。 [気になる点] この後の展開 [一言] 更新、お疲れ様です。 れいじくん、カッコいいですね!さすがです✨ それにしても、なぜ私のスマホは、 『れいじ』を正…
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