20
窓の外からはゆったりとした風が、白いカーテンをふわりと揺らしながら入って来た。僕は一階のソファで目を覚ます。あぁ、寝てしまったのか……。そんなことを思いながら、体を起こした。
窓の外から、差し込んでくる太陽の日差しが、部屋の中を照らしつける。その外から見えるのは、どこまでも広がっていそうな青空と、そこに浮かぶ白い綿雲。
それにそんな空を映し出したきれいに水色に染まる海。岸にぶつかる波の音が、この部屋までやってくる。
「あれ……?杏佳は?」
僕は頭をかいて辺りを見渡す。いつもの部屋、気持ちの良い日。そして、そこから続く家の扉が開いているのに気が付いた。
僕は立ち上がり、家の扉から外に出る。
日差しがまぶしかった。二人だけ住むここは、草原の広がる丘の上にぽつんと建つ一件の家。そこからは海が見えた。そして青空も。
僕はそんな世界を歩き出した。
波打つ音。風の声。
それに混じって、彼女の歌声が聞こえた。
僕はその声がする方に歩いた。
彼女を見つけたのは、坂を下りた岩山に囲まれている、入り江の砂浜。
海を見ながら彼女は歌っていた。
そして、僕が砂の上を歩く足音に気が付くと、歌うのをやめて、僕に向かってニコリとほほ笑む。
「湊君、おはよう。よく、眠れた?」
僕は「うん……」とうなずくと、彼女はまた、笑顔を僕に向ける。
だけど、彼女のその笑顔から、一筋の涙がこぼれるが、僕はなぜ、彼女がこの時泣いたのかは分からなかった……。
そんな時、ここから少し遠い、入り江の海の中から、空に向かって巨大な鯨が、水しぶきを上げながら飛び出した。
それはまるで、「この世界にようこそ」と、僕達に言っているように思えた……。
前書きにでも書きましたが、感想やダメ出しなどありましたら聞かせてください。
これからも、あきらめずに頑張りたいと思います。