表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空の上の鯨  作者: 大塚束紗
14/20

14

「お前さ……南杏佳と付き合ってんのか?」


 浩平は、僕と肩を並べて、歩き出したと思いきや、突然そんなこと切り出す。


「違う。そんなんじゃない」


「じゃあ、南杏佳のことを好きなのか?」


「いや……」


「じゃあ、実は知り合いだったのか?」


 なんで、こいつは僕に会ったとたん、急に杏佳との間柄についてしつこく聞いてくるのだろうか?


「どうしたんだよ?会って早々質問攻めなんて、浩平らしくないな……」


 僕は皮肉を含めてそう言うと、浩平は黙り込む。そしてこう言った。


「俺さ、お前には悪いと思ったんだけど、恵と一緒にお前達二人を尾行……いや、監視をしていたんだ。でも、お前たちが喫茶店を出た辺りから、急に意識が飛んで記憶が無くなった。そして気が付いたら、朝になっていたよ。しかも、昨日の記憶が、所々抜けてる……」


 喫茶店から出てからの出来事。それは、雨が止んで鯨が夜空を泳いだのだが、僕と彼女以外には、どうやら記憶が残っていないらしい。これが、この世界と向こうの世界の摂理、というやつなのだろうと、僕は思った。


「だからさ、お前に聞いたら分かるんじゃないかと、そう思って……」


「それは……」


 今までこんなに、あたふたと戸惑っている浩平の姿を見たことが、僕にはがあっただろうか。


「湊……、頼む、教えてくれ!」


 浩平には慎重に言葉を選ばないといけない。そう思った僕は覚悟を決めた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ