最終イベントクエスト開始!
かなり悩みましたが…ルコアさんの貴重な戦闘シーンはカットしました。
期待していた方がもしいたら…すみません!!
ダハク「なんだと!?」
ルコア「無能ですね。お仕置きしますか?」
朝日視点
夕食の場でユアとメアちゃんから学校であったことを聞いていると、凄いワードが出てきた。
王都が陥落したらしい。
そ、そんな…最後の街だったから楽しみにしていたのに…!!
「それでね…王都から逃げてきた人を受け入れる準備をしなくちゃいけないから、先生たちも大忙しで、学校もお休みになるかもしれないんだって…って聞いてる?ママ」
「王都旅行計画が…水の泡に…」
「ごめんねユア。朝日はショックで聞いてないわね」
「朝日ちゃん、何に変身して王都に行こうか悩んでたからね~」
「朝日どんまい」
「それよりも、原因が知りたいわね。王都はこの世界で一番人が集まっているところよね?そんな場所が無くなるなんて普通ありえないわよ?」
「そうだね~。騎士団の団長さんにもう少し詳しく聞くべきかも?他人事じゃなくなるかもしれないし」
「わかった!明日学校で聞いてみる!」
「ユア。メア。お願い」
「ん」
スペースシャトルに変身して王都に行こうと思ってたのに…
うう…あとで夕陽に慰めてもらおう…
その日の夜は夕陽によしよしされながら寝た。
それから数日が経ち、街全体も慌ただしくなっていき、学校も休校になった。
ユアとメアちゃんの追加情報によると、王都の勇者が暴走し街を破壊したとか。
王都の勇者ってあれだよね?サキさんとイルキさんが気を付けたほうがいい危険人物って言ってたあの勇者だよね?
その勇者が王都を潰したあとどこに行ったのかが気になる。
たぶん地理的に他の4つの街のどこかに向かうだろうけど…そこでも暴れるなら何とかしないといけない。
そう考えていると、スマホが鳴る。
女神様クエストから通知が来ていた。
「新しいクエストが来たね」
「タイミング的に嫌な予感がするわね…」
夕陽の予感は的中のようだ。
女神様クエストのアプリを開くと…
イベントクエスト【王都の勇者ナナシを無力化せよ 報酬・願いの叶う箱】Yes/No
「報酬がいつもと違うわね」
「ホントだ。結晶石じゃないね。なんだろうこれ?」
「久しぶりに女神様に聞いてみましょうか」
「だね」
ラインで女神様に聞いてみる。
朝)聞きたいことがあるんですけどいいですか?
すぐに既読がつく。女神様こまめ!
神)いいよー
朝)願いの叶う箱とはなんなのでしょう?
神)今回のクエスト報酬ね
神)最高難易度だから、それに見合ったいいものを用意しました(^_-)-☆
おお!うれしい!
神)箱の前で願いを口に出してから開くと、願いが叶います
シェ〇ロンかな?
神)ただし、叶えられない願いもあるので、その時は開いても何も起こらないから、もう一度願うところからやり直してね
朝)回数はありますよね?
神)願いが叶うのは1回だけだよ
朝)わかりました!ありがとうございます!
神)はいはーい
スマホを閉じて夕陽と思わず目を合わせる。
「とんでもないわね」
「それだけ勇者ナナシが強いってことだと思うけどね」
「そうね。一旦みんなで集まって相談しましょうか。このクエストを受けるかどうか」
「うん」
というわけで居間に全員集合する。
ユアとメアちゃんも休校中なのでいる。
「勇者ナナシと戦うのか!?やろうぜ!姉ちゃんたち!」
「私も頑張るよ!」
女神様クエストのことを全員に話すと、真っ先にフェル君とリルちゃんが賛成してきた。
私も賛成だけど、気になることもある。
「私もクエストは受けようとは思うけど、女神様が最高難易度っていうくらいだから、きっと今までの比じゃないくらい大変だと思う。だから、もしフェル君とリルちゃんには荷が重い相手だったら、見学してもらう。それでもいい?」
「「ええ~!」」
がっかりする2人。う…そんな目で見られても…!
フェル君とリルちゃんは親御さんから預かった大切な2人だから、命を懸けるような危険な相手とは戦ってほしくないのが本音なんだもの!
「私も朝日ちゃんに賛成かな~。いざとなったら私が全力で守るけど、危ないことはしてほしくないし。これはメアとユアちゃんにも言えることだけど~」
「う~!…わかった!姉ちゃんたちの判断に任せるよ」
「私も!」
「ありがとう2人とも。ユアとメアちゃんもそれでいい?」
「いいよ!」
「ん」
「オッケー。それじゃ、クエスト受注するね」
「ええ」
ふう。聞き分けのいい子たちでよかった。
クエストのYesボタンを押す。
「さて、それじゃあ行動しようか。とりあえず王都に向かってみる?」
「そうね。何か情報があるかもしれないし」
「準備して玄関に集合しよう」
もしかしたらまだ勇者ナナシは王都にいて、場合によっては戦闘になるかもしれない。戦う準備はしておこう。
部屋に戻って、モーニングスターを取りだす。
「朝日、結局ずっとその武器使っているわよね」
「まぁね。この世界に来てから最初に使った武器だし。愛着あるよね」
「愛着が湧くような見た目じゃないけれど…?」
棒の先端にとげとげの付いた鉄球がくっついているザ・凶器だからね。
でも私の名前と掛かってるし、今後も使っていこうと思ってる。
「使い勝手はいいよ?」
「人には向けちゃだめよ」
モーニングスターを使うときは周りをよく見て取り扱いには注意しよう!
「ところで夕陽。気になることがあるんだけど…」
「なに?」
「クエストに無力化って書いてあったよね」
「ええ。…それが何かしら?」
「今までのクエストはさ、倒そう!とか撃退しよう!って書いてあったんだよ。でも今回はちょっとニュアンス違うからさ。もしかしたらただ戦って勝ってもダメなのかもしれない」
「そうかしら?倒したらそれは無力化だと思うけれど」
夕陽が首をかしげて上を向いている。かわいい。
ともかく今回はいつものクエストとは違う気がする。この違和感が最後まで残らなければいいけど。
そんなこんなも考えつつ、玄関に向かう。
私たちは少しおしゃべりしていたから最後だった。
「みんな揃ったね!いこっか!」
みんなで外に出る。
王都には行ったことがないから、葵の転移はできない。
つ・ま・り、私の変身魔法の出番!スペースシャトルに変身してみんなを驚かしちゃる!
「王都には行ったことないから転移できないね~」
「朝日に連れて行ってもらう?」
「待ってました!へんし…」
「ボクが連れて行ってあげようか?」
ん!しようとしたところで声を掛けられる。
だ、誰だ!?私の見せ場を潰そうとしてくるのは!?
「あれ?キイロ先輩?」
「ん?ユアの学校の?」
「そうだよ。副会長でたくさんお世話になっているキイロ先輩だよ」
よくユアとメアの口から出てくる話題の人物かー。
なんでも学年主席だとか?
この子を調べたら学園のレベルがわかるね!
どれどれ。ちょっとステータスを鑑定させていただいて…
…ステータスが表示されない?
ユアとメアが近づいて何事か話しているが耳に入ってこない。隣の夕陽も鑑定したようで、キイロという人物を睨んでいる。私と同じ結果だったっぽい。
もう一度キイロと呼ばれている人物を確認してみる。
そしてあることに気づく。あのキイロが纏っている雰囲気。私には覚えがあった。
「ユア。メアちゃん。そいつから離れて」
「え?どうしたの?ママ」
「いいから。…キイロさんでしったけ?」
「…そうですよ。初めまして。ユア会長とメア副会長にはお世話に…」
「初めてじゃないよね?」
「…あは。やっぱりわかるのかな?」
キイロと呼ばれていた人物が笑い。姿形が変わる。
その姿は私に似ていた。ただし男だけど。
「え?え?ママ…に似てる?」
「…ロキ!」
『久しぶり。星宮朝日さん。それとそのご家族のみなさん』
「な…」
「悪神のロキ?」
学校にこいつがずっといたってこと?
常にユアとメアちゃんの傍にいたのか…こわっ!
「目的は何?」
『何って…趣味の人間観察だよ。いやぁ。ユアちゃんもメアちゃんもいい人材だよ。ボクが保証する』
「キイロ先輩が…悪神さん?」
『そうだよ。神様だよ』
「…騙したの」
『メア副会長。騙したなんて人聞きの悪い…男の姿だと学園に入れないからちょっと女装しただけだよ』
いやそれ立派な騙しだよ!
『まあそんなことよりさ。王都に行きたいんだろ?ボクが送ってあげようか?』
「…」
この神は…何を考えているんだろう?わからない。
『ただの親切心だよ?』
「最近いつも心を読まれている気がする!」
何も変なことを考えられないよ!
『親切心もあるんだけど、実はもう全てが動き出しているからね。ボクがちょっと時間調節しようと思って』
「正直なのね」
『正直に言わないと信用してくれないだろう?』
全てが動き出している?もう何か起こっているってこと?
「どうしよ~?」
「うーん。緊急事態みたいだし、ロキに送ってもらおうか」
「本気?朝日」
「騙さないよね?ロキ」
『騙しません(にっこり)』
めっちゃ騙してきそう!
でもここは早く行動しないといけない気がする。
「じゃあ信じるから送ってよ」
『よしきた。8名様王都へご案内』
ロキが指を鳴らすと転移が発動する。
移動した先は…見るも無残な王都だった。
建物は壊れ、人はどこにもいない。完全な廃墟と化していた。
『小さい子もいるからね。死体はきれいに埋葬して消臭剤もかけました』
ロキ…以外に気が利くじゃない!
ロキがやってくれなかったらR18待ったなしの光景だったのかも。
でもあれ?いるはずの存在がいない。
「勇者ナナシは?」
『ここにはもういないよ?』
「はい?」
じゃあなんで連れてきたの!?
「騙さないって言ったのに…」
『騙してないよ。さっきの会話の場面に戻って確認してみなよ』
「そんなことできるかーー!」
神基準で話さないでほしい!
『ここに連れてきたのはね。彼女がこの光景を作り出してしまったという事実を、直接見て知ってほしかったからさ。彼女はたくさん人も殺してしまった…それを踏まえて、彼女を救うのか、見捨てるのか、君たちの決断を見学させてもらう』
悲しそうに、でも真剣に話すロキ。
『さて。彼女は西の街の近くにいる。王都方面の門から少し離れたところだね。それなら君たちも転移で行けるだろう?』
「西の街…」
私たちが最初にたどり着いた街だ。当然思い出もたくさんある。
この王都のように壊されたら…そんなことは考えたくもない。
『さて。ボクの案内はここまで。あとは頑張ってほしい。それと…ユア会長。メア副会長』
「…なんですか」
「…」
『…僕と一緒に見学側に回らないかい?これからの戦いは…君たちにはまだ早い』
ロキがユアとメアちゃんに手を伸ばす。
2人はどう返事するんだろうか…
「…お断りします」
「私も」
『そうか』
「何もできないかもしれないけど…でも遠くで見ているのは嫌なんです」
『…うん。頑張ってね』
「「はい」」
なんだろう。この時ばかりは…ロキがちょっと学校の先輩のようだった。
「葵」
「ん」
葵の転移で西の街へ移動する。
勇者ナナシとどう向き合うべきか考えながら。
着いた先は草原だった。
そこでは…倒れている人がたくさんいて、ルコアさんと宮本武蔵が赤い服を着た女性と対峙していた。




