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JK4人の異世界暮らし!  作者: 綿あめ真
東の淫乱魔王とショタ勇者
94/100

勇者パーティー再結成!?

 マリィ視点


「マリィ。大事な話がある。ちょっといいか?」

「はい。お父様」


 教会で仕事をしているとお父様から呼び出しがかかりました。

 父は街の領主の仕事でいつもお忙しいのですが、ここ最近は特に休みなく働き詰めです。何かあったのでしょうか?


 お父様の執務室に入り、話を聞きます。


「マリィ。これはまだ公表していないことなのだが…手短に話そう。王都が消えた」

「え?」

「気が触れたのか…王都にいた勇者が壊滅に追いやったらしい。そして、逃げ延びた王都の住民がこれから大量にやってくることが予想される」

「…」


 あまりの出来事に何を言えばいいのかわかりません。

 王都が消えた…?


「これから我が街の住民に公表するが、混乱が起こるだろう。その混乱を少しでも抑えるために、マリィ。聖女として何か話してほしいのだが…頼めるか?」

「それはもちろんです」


 私の声で少しでも安心できる人がいるのなら…

 何を話すか考えておかないと。


「教会の仲間にはお伝えしてもよろしいですか?」

「ああ。もう公表するつもりだから、構わないぞ」

「わかりました。お父様。何か手伝えることがあれば言ってください」

「ありがとう。もう行っていいぞ。仕事の邪魔をして悪かったな」

「いえ。失礼します」


 執務室を出て教会に戻る。

 世界で大変なことが起こっているのかしら?

 そう思いながらも、どこか他人事としてこの時は捉えていた。




 今日の仕事を終え、帰り支度をしていると同じ仕事仲間のシスターに声を掛けられる。


「マリィ様。昼頃領主様に呼ばれてましたよね?もしかして趣味がバレたんですか?」

「違います!もっと大事なお話です」

「男同士の絡みよりも大事な話!?気になります!」

「ちょっと!知らない人もいるんですから大声で言わないでください!」

「あ。すみません。それで、何の話だったんです?」

「…実は、王都が無くなってしまったらしく…難民をこの街でも受け入れるというお話でした」

「ええ!?とんでもない話じゃないですか!」

「そうですね。かなり深刻なお話です」

「街に住む人が増えるんですよね?」

「そうなりますね」

「つまり、総帥の同志が増えるかもしれないですよ!」

「総帥と呼ばないでください!マリィか人前では聖女で通しているんですから」

「ええ…みんな呼んでますよ」


 そう。私は表では聖女と呼ばれているが、裏では総帥と呼ばれています。

 私がこっそり作っている、この街きってのカップリングである勇者レインと親友ライドのあれな話の漫画が街で大流行してしまい、毎巻即売り切れ。いつしか総帥と呼ばれるようになっていました。


「それより新刊はいつ出るんですか?」

「そうですね。近々レインとライドが帰ってくるようなので…ネタは大量にストックできるでしょう」

「レイン様とライド様が戻ってくるんですか!」

「はい。修行がひと段落したとかで。また魔王討伐に再チャレンジするそうです」


 お父様へ手紙を送ったらしく、レインとライド、サシャちゃんも戻ってくるらしい。

 またあのメンバーで旅をすることになるでしょう。


「そうなんですかぁ!新刊期待してます!」

「ええ」


 会うのは数年ぶりですが…より親密な関係になっているのでしょうか…ぐへへ…楽しみです。






「えーと…この人たちは?」

「俺たちの先生だ」

「初めまして。聖女様…だっけか?俺の名前は宮本だ」

「佐々木だ。よろしく頼む」


 久しぶりにレインとライドに再開したら、知らない女性2人と一緒に旅をしていたという…なぜですか!?


 2人とも黒髪で美少女だけどぉ…そんなぁ…ん?

 正直落ち込んだけれど、よく見ると仕草が女性らしくない?それに一人称が俺?


「あの、失礼ですが、女性…ですよね?間違いなく」


 怒らせてしまったらどうしようかと思いましたが、それを聞いて宮本さんと佐々木さんは嬉しそうにする。


「やっぱり女性にはわかるものだな」

「そうなんだよ。実は俺たち、もともと男なんだ。信じられねえと思うけどな」

「くわしく!!」

「お、おう。俺と小次郎は別の世界で男として生きて死んだ。だがロキって神様にこのアルズワルドの世界でもう一度人生楽しまねえかと言われてな。そんでこの世界に転生したってわけだ」

「だがその神に俺たちは面白半分でお互いの理想の女性の姿で転生させられたのだ」

「お互いの理想の…」

「まぁそんなこと急に言われても信じろってほうが難しいと思うが…おい?大丈夫か?」

「あ、先生。大丈夫です。たまにマリィはこうなるんです」


 元が男で、今はお互いの理想の女性に…

 意外にアリかも…


 というより神様!がっかりです!

 そのままにして男4人旅のほうが絶対に面白いですのに!

 なんてことをしやがりやがってるんでございましょうかですの!(?)


「ちなみにお2人はどういったご関係で?」

「赤の他人だ。敵だな。いつか殺してやろうと思っている」

「そんなこと言うなよ」

「ええい!気安く触るな!鬱陶しい」

「ほほう」


 殺してやると言いつつその気はなさそうですし、スキンシップはしっかり取れている…と。

 つんつんしながらも照れつつ嫌々受け入れると。

 ぐへへ…アリですわね!


「よくわかりました。ありがとうございます」

「おお。理解のある女性だな」

「聖女と呼ばれているだけはある…か」

「相変わらずだな。マリィは。あとは…サシャだけか」

「サシャちゃんともしばらく会っていませんね」

「あいつは色々ほっつき歩いているからなぁ」

「呼んだです?」

「そうそう。そんな口調でおしっこ漏らして…うぉ!」


 いつの間にかライドの横にいたサシャちゃん。

 姿が昔のままですね。流石はレベル100越えです。

 レインもライドも変わっていないですし…私だけ歳を取って…ちょっぴり悲しい。


「お前はいつも突然だな!」

「あの変態魔王を倒すと聞いてはるばるやってきてやったです。感謝しろです!あと、おしっこを漏らすとはいつの話をしているのですか!とっくにその問題は解決済みです」

「なん…だと…」

「レインが動揺するのもわかるぜ。一体どんな魔法を使ったんだ?」

「簡単です。出したら即【クリーン】の魔法でおしっこを浄化するのです」

「結局漏らしてるじゃねーか!」

「パンツは捨てました」

「悪化してるぞ!おい!」

「タイムロスはなくなったです!」

「胸を張るところじゃねーからな…」

「それで、いつ行くです?私はいつでも行けますが」

「私も大丈夫です」


 すでに住民の皆さんへのアナウンスは聖女としてこなしましたので、難民が来ても受け入れられる体制に入っています。


「あー。そのことについてだが…悪いが魔王退治は後回しだ」

「どういうことでしょう?」


 魔王退治の前に何かするのでしょうか?


「俺たちがこの街へ到着する前にヤバい奴を見つけてな。そいつをまず何とかする」

「ヤバい奴です?」

「ああ。そいつに会った時のことを話すとだな…」




ーーーーーー



 レイン視点


「キールの街に戻るのも久しぶりだな」

「ああ。マリィとか…サシャも来るらしいぜ。勇者パーティー再結成だな」

「先生たちも加わって戦力はあの頃の比じゃない。今度こそは…」


 俺たちは魔王の幹部に負けてからというもの、日々修行に明け暮れ、先生にも恵まれたこともあってかなり強くなることができた。


 次こそはあの幹部たちを倒し、魔王も倒せるという自信がついたので再び魔王討伐に向かう運びとなった。


「そんなに魔王ってのはつええのか」

「わかりません…」

「どういうことだ?」

「前回は魔王と戦う前にその側近に負けてしまいましたから」

「おいおい。情けねえな」

「返す言葉もないです」


 ただ、あいつらは強かった。それは確かだ。次負ける気はしないが。


「ま、俺と小次郎もついてんだ。魔王と戦うくらいはできるだろ」

「そんな弱気でどうする。行くからには倒すに決まっているだろう」

「はは…心強いです」

「はっはっは。なんせ俺は常勝無敗……止まれ」


 急に真顔になった先生に驚いて身体が硬直する。


「どうしたんですか?」

「前に…何かいるな。気配消して近づくぞ」

「わかりました」


 慎重に歩き、ある人物を見つけた。

 先生たちが着ているような赤い着物の女性。

 どこかおぼつかない足取りで歩いている。こんなところで一人?


「あの人のことですか?」

「ああ」

「ふらついていますね…保護しますか?」

「やめろバカ。死ぬぞ」


 え?死ぬ?


「あの赤色…全部血か…?」

「小次郎さん…それ本当ですか…」

「だな…あれはダメだ。逃げるぞ」


 先生から逃げるという言葉を聞いたのは久しぶりだ。ダンジョンでGと呼ばれる昆虫の魔物が無限増殖していた隠し部屋を見つけた時以来だ。


「G以来ですね」

「それを思い出させるな…ま、あれと戦うならあの隠し部屋に突っ込んだほうがまだマシだな」

「そんなに」


 強いようには見えないけど…

 でもそれよりも重要なことがある。


「あの人…俺たちと同じルートですね」

「ああ」


 俺たちの進路上に歩いているということは、彼女もいずれキールの街に着いてしまうということだ。


「とにかく今は早く街に戻ろう。何かわかるかもしれない」

「防衛もできますしね」




ーーーーーー




「ということがあった」

「赤い着物の女性ですか」


 不吉な感じですね。


「でだ。街に戻って情報を集めると、王都が壊滅したことが分かった」

「マリィのお父さんに聞いたんだけどな」

「私もこの前聞きました。なんでも王都の勇者がやったのだとか」

「そう。そんで、俺たちはキールの街と王都のちょうど中間付近にあるダンジョンからこの街を目指していた…言いたいことはわかるな?」

「まさか…その女性が王都の勇者…?」

「その可能性が高い」


 王都を滅ぼした勇者がこの街に向かっているですって?

 そのことが本当なら確かにその勇者を何とかするのが最優先です。

 そう考えていると、レインが先生と呼んでいた女性が手を上げる。


「ちょっといいか?」

「なんでしょう?先生」

「やはりレインたちはあの女と戦うのか?」

「状況によっては…そうなります」

「俺は反対だな。荷物纏めて逃げるべきだ」

「先生」

「ありゃ間違いなく化け物だ。戦ったら死ぬぞ」


 レインを睨むようにして説得する宮本さん。

 私は直接見ていないからよくわからないけど、ここまで仰るということは相当な相手なのでしょう。

 レインは気圧されたように後ずさりしましたが、宮本さんの目を見てはっきりと拒否しました。


「師匠。俺は勇者です」

「知ってる」

「街の人を見捨てて俺たちが逃げるなんて真似はできません」

「できる限り避難させればいいじゃねえか」

「それでは解決になりません。誰かがあいつを止めないと…」

「お前じゃ無理だ」

「全員で力を合わせれば」

「はっ。無理だな。断言するが…無駄死にするだけだ。死んだら意味ねえんだぞ。…ここは耐えて、次に繋げるべき場面だ」

「それでも俺は…」

「…勝手にしろ。俺は抜けるぞ」


 そういって踵を返す宮本さん。

 レインは止めることはせずじっとその後ろ姿を見続け…こちらに向き直りました。


「聞いたとおりだ。今回の相手は本当に手ごわい。だから抜けても構わない」

「レインは戦うんだろう?」

「ああ」

「だったら俺もついていくぜ。俺たちは一心同体だ。だろ?」

「ライド…」


 一心同体キターーーーー!

 もう抱き着いちゃえよ。


「私も手伝ってやるです。あの変態魔王より強いとは思えないですし。いい準備運動です」

「サシャ。サンキューな。危なくなったら逃げてくれ。マリィはどうする?」



 今日が最後の夜になるかもしれないな…

 そうだな…思い残すことがないようにしようぜ…

 ああ。悔いのないように…な…

 レイン…ライド………ああ!…FOOOOOO!



 ハッ!?おっといけない。

 みんながなぜか私を見ています!?何か言う流れなんですか?


「マリィ?」

「はい。私も心は一つですよ(?)」

「…そうか。ありがとな」

「このパーティーならなんとかなるぜ!小次郎さんはどうしますか?」

「俺はあのバカを連れ戻してくる。なんとか戦いまでには戻れるようにな」

「小次郎さん…無理にとは言いませんが、よろしくお願いします」

「ふん。あいつがあそこまで軟弱だとは思わなかったからな。性根を正してやる」


 えーと…話の流れ的に…王都の勇者と戦うのですかね?回復系は私だけのようですから、気合を入れませんと。


 こうして再度勇者パーティーが結成されました。

 連携を取れるようにお互いのレベルやスキル構成を教え合ったり、作戦を立てたりして決戦の時まで過ごします。


 相変わらず私以外の3人は強く、羨ましくもありましたが…私にだって役割はあります!精一杯自分にできることをやり遂げましょう!




 そして決戦当日。

 Aランクパーティーに斥候を依頼し、勇者ナナシの街への到着予測を立ててもらったので、ほぼ間違いないです。


 私たちは街への被害を抑えるために街の外で迎撃することになりました。


「一応話し合って、相手が話を聞かないようなら戦闘だ。心の準備はしておいてくれ」

「おう」

「わかりました」

「どんとこいです」


 結局宮本さんと佐々木さんはいらっしゃいませんでしたので、私たち4人で何とかするしかありません。

 街のほかの冒険者には住民の避難を誘導してもらっています。もし私たちが失敗すれば…あまり考えたくはありませんけど。


「来たぞ」

「彼女が…」

「強そうです」


 ゆらゆらとゆっくりこちらに歩いてくる女性。

 黒髪のロングで目は虚ろ。私たちが見えていないかのように視線を合わせてはくれません。

 あの人が勇者ナナシ…

 レインがナナシに声を掛けます。


「止まってくれ」

「…」

「あんたは街を襲う気なのか?」

「…人間はたくさんいるかしら?」

「…くそっ。みんなやるぞ」


 レインが二本の剣を引き抜く。

 私も彼女の声を聞いて確信した。彼女は敵だ。同じ人だと思ってはダメかもしれない。それほどまでに彼女の存在は遠くに思えた。


 こうして私たちの防衛戦は始まった。


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ポンコツお姫様姉妹と巡る異世界譚
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