慌ただしい一日①
やっと初戦闘…
朝、目が覚めてご飯を食べに行く。着ていくのはもちろん制服だ。
「今日の予定をもう一度確認しよう」
「9時に服屋のシオンに会う。街を出てシュルツ草を採取し受けた依頼をクリアする。戻ってギルドカードを作る。かき氷を完成させる」
「ありがとう葵。食べたらちょうど9時になりそうね」
ご飯を食べ終わり、サーシャさんにシオンさんが尋ねてきたら部屋に通してほしいと伝えて部屋に戻ってのんびりしていると、シオンさんが程なくしてやってきた。
「朝日さん、おはようございます。皆さんも。昨日ぶりですね」
「シオンさん。おはようございます」
「早速ですが、こちらがお約束の光金貨30枚です。お確かめください。それと、早速ブラトップの試作を作ってみたのですが、着てみてもらえますか?サイズは朝日さんに合わせましたので」
「え?もう作ったんですか?」
「はい、開発主任に話したら盛り上がってしまって。そのまま二人で作ってしまいました」
シオンさんの行動力相変わらず凄いな…
洗面台で上着を着替える。おお、この通気性!軽いしイイ!ノンワイヤー最高!
「シオンさん、とってもいいと思いますよ」
「そうですか。実は私の分も作ってみたのですが感動しました。しばらくこれで過ごそうかと思います。いろいろな服に応用できるのもいいですね。まさに目から鱗です」
ブラトップ一枚で外に出るのはどうかと思いますよシオンさん…
「そちらは差し上げます。よろしければ他のお三方にもお作りいたしますがいかがいたしましょう?」
「私は結構よ」
「私もちょっと…昔買ったんですけどちょっと合わなくて」
「私は欲しい。キャミソールがいい」
「葵様だけですね。畏まりました。あぁ、サイズは教えていただかなくても結構ですよ。私の特技で見たらわかりますので。では作り次第また伺いますのでこれで失礼します」
なんというエロ特技。そういえばサイズ聞かれてないのにこのブラトップぴったりです。そしてシオンさんは嵐のように過ぎ去っていった…
「こ、個性的な人だったわね」
「面白い人だよね」
「ブラトップは貧乳の星」
「葵にはもっとちゃんとオシャレしてほしいんだけど…」
「芽衣は今多くを敵に回す発言をした」
何にせよ今日の一つ目の用事は終わったね。次はシュルツ草の採取だね。
というわけで門の入り口までやってきたら門番さんに質問された。
「どちらまで行かれるのですか?」
「シュルツ草を取りに行くのですけど、どこにあるのかとかわかりますか?」
「あぁ、それでしたら少し歩いたら森があるのでえっと、あれです。そこにたくさん生えていますよ」
門番さんが指さす方向を見る。ここから10キロくらいかな?結構遠い…
「門番さん、ありがとうございます」
「森にはゴブリンや危険な花もありますから見つけたら慌てずに、勝てないようなら絶対に逃げてください」
「わかりました。ちなみにゴブリンはどれくらいの強さなのでしょうか」
「一般的に言われているステータスは平均50くらいのようです。ですから低レベルの方が戦うことはお勧めできません。それに大抵は数匹で行動していますのでステータス以上に危険ですので」
「そうですか。忠告ありがとうございます」
「初めて街を出てそのまま帰ってこない人が多いものですから、口うるさくてすみません」
「私たちもそうならないよう最善を尽くします」
「お気をつけて」
なんだかんだ私たちは魔物にまだ遭遇したことがない。私と葵はともかく夕陽と芽衣は大丈夫だろうか。
葵と相談した結果、葵の探知で常に周囲を確認、魔物が1匹だけなら戦ってみる。2匹以上なら近寄らないということになった。
この世界は地球より危険な世界だ。突然戦うことになるよりは、今から少しずつ慣らしておいたほうがいい。幸いここは魔物が一番弱い場所のようだし、訓練には打ってつけだ。
森まで結構な距離があるのでその間に戦い方、陣形などを決めていく。
「えーと、芽衣は回復担当だから後方でしょ」
「私は芽衣の横にいて2人をサポートする」
「じゃあ私と夕陽でダブルアタッカーね」
「どう戦おうか。いきなり接近戦はちょい怖いけど」
「火魔法持っているし、遠くからファイアを投げ続けるのはどうかしら」
「今から行くとこ森だよ夕陽ちゃん…火は一危なくない?」
「とりあえず私がモーニングスターで殴る。夕陽も普通に剣で戦って。剣術LV5だからゴブリンくらい何とかなるでしょ。生きているものを切ったり殴ったり出来るかどうかが今回のポイントだね。夕陽大丈夫そう?」
「大丈夫よ。た、たぶん…朝日こそ覚悟はできているの?」
「私を誰だと思っているの夕陽?ゴブリン如き脳天かち割って差し上げますわよ」
「流石朝日ね…私も足を引っ張らないよう頑張るわ」
「いざとなれば私の召喚魔法で何とかするから安心して」
「どんな怪我でも治してみせます!でも怪我はしないでください!」
武器をそれぞれ装備していよいよ森に入っていく。歩く順番は私と夕陽、芽衣と葵の2列で進んでいく。葵の探知で生物をできるだけ避けながら歩きシュルツ草を採取していく。
5本目を取ったときに葵が声を発する。
「まっすぐ歩いてすぐにゴブリンが1匹。こちらに気づいてはいない」
「いよいよね…」
「葵周囲の状況は?」
「1匹以外は近くには何もいない」
「よし、絶好のチャンスだね。見えるところまでゆっくり移動しよう」
ほどなくしてゴブリンを見つけることが出来た。鑑定でステータスを確認する。
ゴブリン 魔物 LV3
HP60
MP5
攻撃力30
防御力20
魔法攻撃力0
魔法防御力5
敏捷10
運2
スキル
なし
スキルポイント
30
聞いていた情報よりも弱い。
自分のステータスも確認する。
星宮朝日 人族 LV5
HP5500(500+5000)
MP5500(500+5000)
攻撃力200
防御力185
魔法攻撃力190
魔法防御力182
敏捷130
運50
称号 女神ユリレーズの祝福を受けし者
スキル
鑑定
経験値アップ
HP上限アップ LV5
MP上限アップ LV5
変身魔法 LV5
スキルポイント
23000P
…ステータス上では負ける要素はない。問題はやはり【殺せるかどうか】という一点に尽きる。大きく深呼吸する………………よし。行こう。小声で仲間に伝える。
「私が行くね」
「気をつけなさいよ」
「うん」
油断はしない。先手を取って一撃で決める。
一息で距離を詰める。ゴブリンがこちらに気づく。慌てて武器を構えようとしているが遅い。私は既にモーニングスターで殴る態勢に入っている。左耳に当たるように一気に横に振りきる!
ゴブリンの首が弾ける。もちろん絶命している……
ふぅ…よし。出来た。後ろから三人が出てくる。
「えげつないわね朝日…ちょっと引いたわ」
「うわぁ、ちょっと見れないね」
「慣れておいたほうがいいよ芽衣」
「慣れたくないんだけど…」
死体は一応アイテムボックスに入れておく。
「どうする?3人も一回くらい戦ってみる?シュルツ草は手に入ったからこのまま帰ってもいいと思うけど」
「…私はやるわ。朝日の足手まといにはなりたくないもの」
「私は止めておこうかな…もうちょっと心の準備が…」
「葵は?」
「…私も止めておく。パーティーの経験値を共有してから戦う」
「オッケー。じゃもう一匹はぐれを見つけて倒したら今日は帰ろう」
その後再び森を探索する。アイテムボックスで無制限に回収できるため鑑定して使えそうなものはどんどん入れておくことも忘れない。お昼になったので屋台で買った食べ物を食べながら歩く。アイテムボックスは時間経過もしないし、かなり万能だなと改めて思う。
それからしばらくすると葵が再びはぐれゴブリンを見つけた。
「この先にいる」
「夕陽いける?」
「大丈夫よ。覚悟は決めたわ」
「気を付けてね夕陽ちゃん」
「まぁ、安心してみてなさい」
夕陽がゆっくりと近づいていく。ゴブリンが夕陽に向かって走るが夕陽は冷静に剣を正面に構えて止まる。夕陽の剣が届く範囲に入ったゴブリンは為すすべもなく次の瞬間には首を切り飛ばされていた。
凄いな夕陽。剣が速すぎて何も見えなかった。剣術LV5はしっかり仕事をしたようだ。
「夕陽すっご!強すぎない?」
「速すぎて見えなかった」
「私も…」
「ふふん、当然ね!負ける気がしなかったわ!」
うん、どうやら殺しても大丈夫なようだ。夕陽は意外にメンタル強いよね。問題は芽衣かぁ。虫も殺せなそうだし。
こうして私たちは初戦闘を乗り切った。
結局シュルツ草は20本採取して森を出た。街に戻ると門番さんが笑顔で迎えてくれる。
「お疲れ様です。依頼は達成できましたか?」
「はい、おかげさまで無事に採取できました」
「それは良かったです。これからも頑張ってください」
「ありがとうございます。門番さん」
笑顔で門を抜ける。そのまま冒険者ギルドへ向かう。おや…?芽衣の様子が?
「はぁ、また男の人たちの視線にさらされるの…」
「慣れよ。慣れればどうってことないわ」
「女の人が多かったしダイジョブダイジョブ」
「芽衣しつこい」
葵の一言でガーーーンとショックを受ける芽衣。魂が抜けている芽衣を葵が引っ張ってこの隙にギルドに入る。
「おぉ、昨日の4人がやっと来たぞ」「昨日ずっと待ってたのに来なかったからな…」「死んでいたらと思うと気が気でなかったわ」「やっぱりみんなかわいいな」「一番前の子かわかっこいい」「一番後ろの子気を失ってないか?」「森で何かあったんじゃ…」
かわかっこいいってなんだい?まぁいいや。受付のお姉さんに依頼書とシュルツ草5本を渡す。
「はい、依頼達成です。お疲れさまでした。これからギルドカードを発行いたしますので、こちらに名前を書いていただいてもよろしいでしょうか」
紙を受け取って名前を書く。もちろんこちらの世界の文字で。
「ありがとうございます。皆さんパーティーを組まれますか?」
「はい」
「かしこまりました。では少々お待ちください」
受付の人が奥の部屋に下がる。そういえば、パーティー名とか必要だよね。
「今のうちにパーティー名を決めておかない?」
「そうね。かっこいいのがいいわね」
「えぇ、かわいいほうが良くない?」
「かわいいとなめられる」
「女子高生…4人組…美少女…セクシーJKカルテット?」
「ださすぎるわ…というか自分で美少女って言うのをやめなさい」
「じゃあ夕陽は何かあるの?」
「う……モーニングサン…とかかしら?」
「それ私のことじゃん!どんだけ私のこと好きなの!」
「うるさいわね!とっさにいい名前なんか思いつかないわ!」
「皆の頭文字をもじる」
「あ、ゆ、あ、め?A、Y、A、M?」
「MAYAで魔矢。まじっくあろー」
「…なんか強引なんだけど」
「マジックアローズにしたら名前っぽくなる…ならない?」
「ちょっと響きはいいわね」
「いいんじゃない…かなぁ」
「暫定」
「よし、決定!私たちは今日からJK4人組改め…マジックアローズだ!」
後ろからマジックアローズコールが聞こえる。
あぁ、せっかく芽衣が君たちの存在を忘れてたのに、ビクつかせるんじゃないよ!
睨むと今日一の歓声が巻き起こった。そのタイミングで受け付けのお姉さんが戻ってくる。
「お待たせしました。何なんですかあの騒いでいる人たちは…まぁいいです。こちらがギルドカードになります。無くすと再発行に金貨1枚掛かりますのでご注意ください」
「ありがとうございます!」
「このまま依頼をお受けになるなら後ろのボードに依頼書が貼ってありますので」
「いえ、帰ります!」
「え?」
「さようなら!」
これ以上は芽衣の精神衛生上危険と判断して撤退する。
「さて、次は何をしましょうか」
「女神様クエストが更新されてる」
「「「え」」」
真昼間から女神様のクエストはちょっと…