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JK4人の異世界暮らし!  作者: 綿あめ真
東の淫乱魔王とショタ勇者
87/100

生徒会長戦!その②

 ついに会長戦の日がやってきた。

 放課後に体育館で行われる。見学は自由。

 Sクラスのみんなは応援に来てくれるみたい。


「ユアなら大丈夫」

「ユアさんなら楽勝でしてよ」

「こっちまで緊張してきた~!」

「私なら緊張でトイレから出れない…」

「ほら、スー。行くよ」

「むにゃむにゃ…おいてかないで~」


 7人で体育館に向かっていると、何人かに声を掛けられた。


「あれ…Sセブンじゃない?」

「ユアちゃん!応援してるね!」

「見に行きます!がんばってください!」

「サインください!」

「あはは…ありがとー」


 進むたびにどんどん人が集まってくる…?


「大人気だね。ユア」

「それにしても人が多いですわね。体育館はどうなっているのかしら?」

「それだけ今日の会長戦が注目されているんだね」


 人をかき分け、何とか体育館に入ると大歓声が響いた。


「わ!なにごと!?」

「ユアちゃーーん!がんばってーーー!」

「ユア様ー!」


 体育館には全校生徒が集まっているんじゃないかというくらい人に溢れていた。

 2階までびっちりで、この中で戦うのかと思うとちょっと緊張する。


「ユア。ここからは1人だけど。ずっと応援してるから」

「うん。ちゃんと見ててね。メアちゃん」

「ん」


 メアちゃんの手をぎゅっと握ると緊張が和らぐ…

 よし!行こう!


 体育館の中央。キイロ先輩とユイカ先生がいるところへと歩き出す。


「待っていたよ。ユアちゃん。今日はよろしくね」

「こちらこそよろしくお願いします!キイロ先輩!」

「審判は私、白百合騎士団団長ユイカが務める。さて、戦いを始める前に…この上着を羽織ってくれ」

「この上着は?」

「これは魔道具で、どんな致命傷も必ず一度防いでくれる優れものだ。ただし、防いだ後は破けてしまう…言いたいことはわかるな?」

「先に致命傷を受けたほうの負けということですね」

「その通り。正々堂々戦ってくれ」

「「はい」」

「よし…では準備が整ったら開始する」


 ユイカ先生から上着を受け取り、着ながら考える。


 今の私たちの格好は白百合学園指定のブルマと呼ばれている服を着ている。

 なんでもママたちが作ったんだとか…


 ママたちが珍しく喧嘩してたけど…結局朝日ママが押し切って作ったらしい。

 女子校だからと夕陽ママも最終的には納得したみたい。


 確かに男の人に見られるのは嫌だね。




 うん………ってそんなことはどーでもいいんだよ!

 これから戦うことを考えるんだよ!私!

 自分のステータスを確認する。





 ユア 人族 LV108


 HP29200   

 MP31320   


 攻撃力17230  

 防御力16120  

 魔法攻撃力20120 

 魔法防御力18100

 敏捷8320  

 運82    


 称号

 女神ユリレーズの祝福を受けし者

 悪心ロキの祝福を受けし者


 スキル 

 創造魔法

 憑依魔法

 剣術LV5

 HP上限アップLV5

 MP上限アップLV5


 スキルポイント

 79000




 私の武器は毎日夕陽ママと鍛えている剣術と、私のオリジナル魔法【創造魔法】の2つだ。あと一応マサくんに憑依してもらって代わりに戦ってもらうこともできる。

 でも今回はなるべく自分の力で勝ちたい。


 あとスキルポイントがだいぶ溜まってきたね。

 ママたちに人生長いんだからゆっくり決めなさいって言われたからあんまり使ってないけど、もうちょっと増やしておけばよかったかも…


 まぁ今更悔やんでも仕方ないし!

 腰に下げている剣、無名正宗の剣をゆっくり引き抜く。


「いい剣だね」

「ありがとうございます」


 剣を抜くと同時にマサくんが出てくるけど、今は私にしか見えないようになっている。

 マサくんは剣の魂(?)が実体化したものなんだけど…男の子だから見えるようになると女生徒がパニックになるかもしれないとのことで普通の人には見えないようにしてもらっている。


 そのマサくんと小声で会話する。


『久しぶりに俺を抜いたな』

「うん。相手は学園主席だよ」

『へえ。いい肩書じゃねえか。頑張れよ』

「うん!」





 私の準備は万端だ。

 改めてキイロ先輩のほうを見るとキイロ先輩も剣を抜いて構えていた。


「ユアちゃんに合わせて剣を持ってきておいて良かったよ」

「2人とも準備はいいか?…では始め!」


 ユイカ先生が離れる。

 よし!楽しもう!


「先手は譲るよ。おいでユアちゃん」

「お言葉に甘えます!」


 まずはキイロ先輩がどれくらい強いのか見極める!

 積極的に攻めつつ数回打ち合う…と疑問を感じる。

 これは…?






 ~メア視点~


 試合が始まって早々にユアが仕掛けた。

 キイロ先輩は迎え撃ってはいるが…どう見てもユアが押している。


「完全にユアさんが押してますわ!このままいけるんじゃなくて!?」

「意外な展開だね。てっきり学園主席のキイロ先輩が主導権を握ると思っていたけど…それともユアくんが強すぎるのかな?」

「いけいけー!ユアー!」

「が、がんばれー…!」

「すやすや」

「…」


 クラスメイトが言っているようにユアが攻め続けている。

 でもこれが学園主席の実力だとは思えない…

 そう思っていると後ろから高等部の先輩が話しかけてきた。


「あなたたち…あのユアという少女と同じクラスなの?」

「そうですわ!」

「そう。だったらこの勝負、悪いけれどあのユアって子に勝ち目はないわよ」

「?この試合展開を見てもそう言えるんですか?」

「そうよ。キイロ様は個人戦で無敗よ。それはキイロ様のスキルが強力すぎるからですけど…まぁ見ていなさい」

「…」


 キイロ先輩のスキル。

 今のところ発動しているようには見えないけれど。


 ただ先輩と話している間に状況は大きく変わっていた。

 次第にユアが押され始めている。

 さっきまで剣の実力差は素人目でも圧倒的にユアが上回っていたけれど、いつの間にかその差はほぼなくなっている。


 この短時間で…?ありえない。


「ユア…」


 ユアが負けるところなんて見たくない。

 いざとなれば加勢しようか…いや、私はユアを信じる。

 いつだって私の前を歩き続ける、私の太陽みたいなユアを。






 初めは予想外に私の時間が続いた。このまま押し込めるかもしれないと思っていたけど、そこまで甘い相手じゃなかったみたいだ。


 徐々に…徐々にキイロ先輩の剣が速くなっていく。

 その速度は次第に私の速度を超えてさえきていた。


 時間が経つごとに自分が劣勢になっていくのがわかる。どうして?


「ふふ。ユアちゃんが疑問に思うのもわかるよ。これがボクのスキルさ」

「やっぱりですか!」

「ユアちゃんには特別に教えてあげよう。ボクのスキルは【模倣超越】。相手のステータス、スキルを模倣して、超える。シンプルだけど強いだろう?」


 相手のステータスを模倣して超える?それじゃあ今のキイロ先輩のステータスはすべて私より高いってこと?


 それにスキルも模倣できるってことは、剣術も模倣されているってことか!それでどんどん押され始めてるんだ…


「さぁ。どうする?ユアちゃん」

「うーん!難しいですね!」


 このまま剣だけの勝負をしてもいずれ負けちゃう!それはわかる。

 だからいったん距離を取ってもう1つの私のスキルに賭ける。


 でも気を付けなきゃいけないことがある。それは短期決戦で決めないといけないってこと!


 さっきは徐々に押し返された。

 それはつまり、模倣するまでには時間がかかるんじゃないかって予想できる。


 だからキイロ先輩が私のスキルを模倣し始める前に倒しちゃう!


「行きます!」

「おいで」


 魔法はイメージ!

 イメージは自分自身。自分を創造していく。


「【創造魔法】…」

「おお」


 自分の分身を創造していく。

 1人、また1人…


「1,2,3…すごいね!10人のユアちゃんだ!」

「一気に決めます!」


 10人でボコボコ大作戦!






 ~メア視点~


「はぁはぁ…ユアがたくさん…天国…?」

「メアく~ん?戻っておいで~?…ダメだ。完全にトリップしてる」

「メアさんは置いておいて…ユアさんは勝負をつけにいきましたわね」

「確かに、先輩の話が本当なら模倣される前に決着をつけるべきだね!」

「でも…キイロ先輩…完全に引く戦い…」

「キイロ先輩の分身は現在3人。でも防御重視で連携してうまくユアくんの攻撃をギリギリ防いでいるね。あ、4人に増えた」

「早く倒して~!」

「がんばれーー!ユアーーーー!」






 クラスメイトの応援が聞こえてくる。

 それ以外の応援の声もどんどん大きくなっていって、体育館中から応援の声が聞こえてくる。


「ふふ。大人気だね。ユアちゃん」

「歓声は同じくらいだと思いますけど」

「最初はボクの応援のほうが大きかったけど、今は半分くらいだ。それだけこの戦いを見て、ユアちゃんを認めてくれる子が増えている証拠だよ」

「そう…ですね!」


 確かにそうだ!そのことは素直に嬉しい!

 それはいいんだけど、なかなか倒せないよー!


 今キイロ先輩は5人まで自分を創造している。

 対して私は10人。普通なら勝てるはずなんだけど…


 キイロ先輩1人1人が私よりちょっとずつ強いせいかあと一歩まではいけるのに、最後の最後で態勢を整えられちゃう!


 くっそぉ!強いなぁ!


「あは!凄いですねキイロ先輩は!」

「楽しそうなところ申し訳ないけど、7人まで増やすことができたよ?大丈夫かな?」

「わかんないです!」


 10人まで増やされたら私は負けちゃうね。

 それまでに勝たなくちゃいけない!


 でもどうしよう?私の技も、スキルももうほとんどがキイロ先輩には通用しない。

 その中でもまだ私にしかなくてキイロ先輩に模倣されてないモノ…そこを突かないと勝ち目はない…なにか…


 …そうだ!






 ~メア視点~


「…はっ!ここは?」

「メアさんが復活しましたわ!」

「状況は?」

「かなり…不利と言わざるを得ないな」


 ユアとキイロ先輩を見る。

 戦いは体育館を目一杯使うハチャメチャな戦いになってきていた。

 ユア10人(天使)対キイロ先輩9人で連携しながらの集団戦になっている。


 そしてどちらが有利かと言われれば、マコトの言う通りキイロ先輩が押しているのがすぐにわかる。


「うーー!いいところまでいったのにーー!」

「今はなんとか拮抗できているけど、同じ人数になれば一気に崩されるだろうね」

「でもユアちゃん…楽しそう…」

「いつだってユアさんは楽しそうですわ!」

「そうだね。そんなユアくんを見て、この戦いで初めてユアを見たであろう生徒も…」


 耳を傾けるとユアに声援を送っている人がたくさんいる。

 それは初めとは比べ物にならないほどの数だ。


「ふふふ。ユアならこれくらい当然」

「ユアさんに人気が出てきたのは嬉しいことですけれども、戦いは人気で決まるわけではありませんわ」

「そうだね。負けそうなのは変わらない」

「いいえ。ユアは勝つ」

「ここからさらに逆転できる秘策でも知っているのかい?メアくん」

「知らない。けど…ユアのあの顔は負けることなんて微塵も考えていない」


 そう。

 あれは今からすることが楽しくてしょうがない顔だ。


「あ…キイロ先輩…10人」

「勝負あったか…ん!?ユアちゃんが消えた!?」


 そこからは一瞬。

 ユアの1人が消えたかと思った瞬間、一番後ろで指揮を執っていたキイロ先輩の背後に剣を振り抜いたユアが現れて…キイロ先輩の上着が破れた。




「勝者!星宮ユア!」


 一瞬の静寂。次いで大歓声。


「「「「「「わああああああ!!!!」」」」」」

「本当に勝った!?でもどうやって?」

「メアさん!解説して頂戴!」

「わからないよ。ユアに聞いて」

「「「ええええ!」」」


 何をしたのかわからなかったけど…私は絶対ユアが勝つって信じてたよ。







「…驚いたな。最後のは何だい?」

「えへへ。スキルが模倣されるているなら新しく覚えちゃえばいい!上手くいって良かったです!」

「なるほど。その発想はなかった」


 私にある強み。

 それは有り余っているスキルポイントだ。


 これを使ってまだ私も使ったことのないスキルを覚えて倒しちゃう!

 それが私の最終手段だった。


 でも次第に攻撃がきつくなってくるキイロ先輩の追い上げにスキルを覚えている余裕はなかったんだけど…


 途中でマサくんに憑依してもらって代わりに戦ってもらった。

 その隙に私は急いで【縮地】のスキルを覚えた。

 縮地は相手との距離を一瞬で詰めるスキル!


 それを使って本体のキイロ先輩の前に縮地で移動してあとは剣を振るだけ。

 ぎりぎりだったけど、なんとかなって良かったー!


「いや、見事だよ。聞いてごらん。この歓声を」

「?」


 意識を外に向けると…本当に大きい歓声が聞こえてきた!

 最後は集中していたから聞こえなかったけど…こんなに応援してくれる人がいたんだ!


「先生。少ししゃべってもいいかな?」

「ああ」

「では…みんな!聞いてくれ!」


 キイロ先輩が全員に聞こえるくらいの大声で話し始める。


「今の戦いを見て、ユアちゃんの実力はわかっただろう!彼女以上に生徒会長にふさわしい生徒はいない!そうだろう!?」

「「「「「わあああああ!!」」」」」

「しかし!ユアちゃんはまだ初等部だ!学園についてわからないこともたくさんあるだろう!だからこのボクが副会長としてユアちゃんを支えていこうと思う!」

「「「「「わあああああ!!」」」」」

「今日は応援のために集まってくれてありがとう!明日からも学校生活を楽しんでほしい!では忘れ物に気を付けて下校してくれたまえ」


 一通り話して、キイロ先輩が私の前までくる。


「と、いうわけで。副会長としてこれからもユアちゃんの成長を見届けさせてもらおうかな!メアちゃんと一緒にダブル副会長でね」

「いいんですか?」

「ああ。ボクはユアちゃんのファンでもあるからね。できるだけ近くにいたいのさ!」

「わかりました!これからもよろしくお願いします!」

「こちらこそ」


 こうして会長戦は私の勝ちで幕を閉じた。ブイ!


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ポンコツお姫様姉妹と巡る異世界譚
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