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JK4人の異世界暮らし!  作者: 綿あめ真
東の淫乱魔王とショタ勇者
85/100

今日こそサキおねえちゃ…魔王をぎゃふんと言わせてやる!

 苦労(?)して手に入れたシャトールブドーで作ったワインを試飲することに。

 1人ずつワイングラスを手に持つ。


「俺たちも飲んでいいのか?」

「ああ。君たちはアルコールないほうがいいよね。ちょっと貸して」

「ほい」

「はい」

「【選定・アルコール】…はい、これでアルコール抜けたから」

「「ありがとう!」」

「ほえー。便利ですね」

「選定のスキルは使い勝手がいい。指定したものを取り除くことができるんだ。でもオリジナルスキルだから」

「本当だわ。私のスキル欄には載ってないわね」

「私も~」


 ふむ。どれどれ…私もステータスのスキル欄を確認する。

 選定…選定…お。あった。便利そうだし取っておこーっと。


「みんな持った?それじゃあ乾杯しましょ♪かんぱ~い」

「「「「「「かんぱ~い」」」」」」


 乾杯の音頭に合わせてグラスを軽く持ち上げて、さあ飲もう!

 と思ったけど…ふとサキさんとイルキさんを見るとグラスを回してる!?


 あのしぐさ…大人っぽくてかっこいい!

 私も真似してグラスを回してみる。


「朝日。何やってるのよ」

「何って…あれだよ。ワインを飲む時の作法だよ!」

「回して何の意味があるのかしら」

「意味とかを求めないでよ夕陽!雰囲気だよ雰囲気」

「ふふ。これはね。回すことでワインの香りを立たせる意味があるのよ♪」

「君たちもやってみるといい」


 へえー。香りを立たせるんだ。

 回した後に香りをかいでみると確かにふわっとブドーのいい匂いが!


「おお。なるほど!」

「朝日知らなかったでしょ」

「知らなかったです!」

「素直でよろしい」


 そりゃワインの飲み方なんて知らないよ!?

 せっかくだからサキさんとイルキさんに聞いてみよう。


「他には何か知っておいたほうがいい飲み方ありますか?」

「う~ん。そうねぇ…あ。朝日ちゃんのその持ち方はよくないわ。夕陽ちゃんの持ち方が正しいわね」

「え?これがですか?」


 手のひらを上にして中指と薬指の間でワイングラスを持っているんだけど…

 夕陽はワイングラスの脚を持っている(細長いとこ)。


「朝日ちゃんの持ち方だと、手の温度がワインに伝わって味や香りが変わってしまうのよね」

「ワインは繊細だからね」


 なるほど!いわれてみればその通りだ!


「他にはないですか?」

「とりあえずはそれくらいかしら。でもここは格式ばった場じゃないから、気にしなくていいわよ」

「それもそうですね。では、いただきます!」


 一口飲んでみる。

 前に家で赤ワインを飲んだ時は口に入れた瞬間、にがっ!って思ったけど、この白ワインはそんなこともなく、すっと喉を通る。その後にブドーのいい香りが口いっぱいに広がる。


「おおう…これは…あれだね!大人の味?」

「そうね。それに、まろやか?ね」

「前飲んだワインより飲みやすいね~。私は好きかな」

「おいしい」

「俺たちのワインも美味しいぜ」

「うん!ブドー味!」

「ふふ。君たちの舌は優れているようだね」

「冷やすとまた違った味になるわよ♪」


 2杯目はいつの間に冷やしていたのか、先ほどよりも冷たいワインを入れてくれる。


「どうぞ召し上がれ♪」

「いただきまーす…ほんとだ!全然違う!」

「こっちのほうが飲みやすいわね」

「そうだね~。ブドーの甘みが強くなった気がする!」

「ん」

「俺もこっちのほうが好きだな!」

「おいしいね!」


 冷やしたほうが私も好きだ。好みによるかもだけど。

 サキさんとイルキさんとキューさんは常温のほうが好きらしい。


「っていつの間にかキューさんがいる!」

「ワインの匂いがしたから目が覚めたし」

「キューちゃんはワイン大好きだから♪」

「昨日採ってきたシャトールブドーのワインだし!おいしそ!」

「はいどうぞ」

「う~んこの香り。苦労して採ってきた甲斐があるし」

「キューさん私たちの血飲んでただけな気がするけど」

「うん。おいしい。これさえあれば血もいらないし!」


 幸せそうな顔で飲むなー。

 まあヴァンパイアと言えばワイン!ってイメージあるよね。


 それからもみんなで美味しくいただいて、何本かお土産にアルコールありとなしの2種類を貰って帰ることに。


「無くなったらいつでもおいで」

「待っているわ♪」

「お前たちならいつでも来ていいし。血を飲ませてくれるならなおよし」

「また来ますね!」

「そうそう。君たちに忠告を1つ」

「なんですか?」

「今後王都に行く予定はあるかい?」

「王都ですか?」


 この世界には5つの大きな街がある。

 東西南北の街と中央…つまり王都だ。

 私たちは結構旅をしていて、あと行っていないとこは王都だけなのだ。


 だから機会があれば行ってみたい。


「たぶん行くと思います」

「そうか。では王都にいる勇者には気を付けるんだ。あれは…危険だからね」

「あなたたちとは価値観が違う相手よ。接触しないことをお勧めするわ」


 かなり真剣な顔で忠告してくれるイルキさんとサキさん。

 ここまで言うってことは相当な危険人物なのかな。


「わかりました。その人の特徴とかってありますか?」

「特徴はない」

「へ?」


 どゆこと?


「私たちがその存在を知ってから王都に偵察部隊を送っているのだが。その勇者は姿を変えるらしい」

「男の時もあれば、少女の時もあるし、おじいちゃんの時もあったらしいわぁ」

「だから現在どんな姿なのかはわからないが…王城で暮らしていることはわかっている」

「ナナシと名乗っているわ」


 ナナシ。…名無し?まさかね。

 あと姿を変えるって…私と同じ変身魔法を使っているのかな?

 今まで変身魔法のスキルを覚えている人は見たことないけど、勇者ならあり得るのかもしれない。


 王城に住んでいる勇者ナナシ。ちゃんと覚えておこう。


「ご忠告ありがとうございます。イルキさん。サキさん。とりあえず王都に行っても王城には近づかないようにします!」

「ふふ。朝日ちゃんは素直でかわいいわね♪」

「君たちのことは気に入ったからね。死んでほしくない。気を付けて」


 え…?そんなレベルの話だったの!?こわぁ。

 王城には近づかない!絶対!



「では今度こそ。また来ます!」

「ええ」

「じゃあな!」

「楽しかったです!」


 一通り挨拶して葵の転移が発動…しかけたところで後ろの扉が開く。

 現れたのはこの街の勇者・ショータくんだ。


「おい!魔王!今日こそ倒してやる!」

「あらぁ。ショータくんは最近タイミング悪いんだから。今日もお仕置きされたいみたいね♪」

「いつも負けると思ったら大間違いだからな!」

 

 本当に毎日来てるんだね。

 せっかくだから…見学していこうか!

 葵とアイコンタクトして転移を中止してもらう。


「私たちは端に寄ろうか」

「え?見ていくの?」

「もちろん!」

「勇者と魔王の戦いを間近で見れるのか!ワクワクするな!」

「戦いの参考にしよう!フェルにい!」

「一方的になりそうな気もするけど~」

「おねしょた」


 いそいそと壁際に寄る私たち一行。とイルキさんとキューさん。

 その間もショータくんはサキさんに近づく。


「イルキさんもこっちに来ていいんですか?」

「サキにショータくんの相手は一任しているからね」

「サキは若い男の子大好きだし」


 若いと言えば若いけど…小学生くらいの子だけどね!

 まぁここは日本じゃないしいっか!


「いくぞ!」

「うふふ♪」


 ショータくんがその体格に見合わないスピードで剣を振る。

 凄く訓練しているんだと思う。でもやっぱりサキさんは格が違う。

 レベル差がありすぎる。


 完全にショータくんの攻撃を見切り、当たる気配はない。

 それでも一生懸命剣を振っているショータくんを見ながらイルキさんが解説してくれる。


「ショータくんは毎日成長している。それに同じパターンにならないように工夫をしている。今日も秘策があるようだ」

「秘策ですか?」

「ああ。そろそろ出すようだ。みんな目を瞑ってくれ」


 イルキさんに言われたように目を瞑る。その理由はすぐにわかった。


「くらえ!【フラッシュ】!」


 ショータくんが光魔法のフラッシュを発動させたようだ。

 フラッシュは光を発する魔法で、戦闘中突然使われると相手の目潰しになり非常に効果的だ。


 ただ…残念ながらサキさんには通用しない。

 イルキさんもだけどサキさんは読心術が使えるからね…


 フラッシュの発動を前もって知ることができる。

 案の定目を事前に瞑っていたサキさんはそのまま光が収まるまでショータくんを羽交い絞めにして動きを止めている。


「ちょ!!離せ!」

「目が慣れるまで我慢してね♪」

「むがっ!く、くるしいぃ…」


 ちょうどショータくんの顔がサキさんの胸の間にすっぽり入っているから息ができないようだ。


 あれは一度芽衣のおっぱいで私も試したことがあるけど、本当に息ができなくて苦しい。

 ただ…ただ!ふよふよの左右の柔らかい感触が幸せなんだよなー。


「ばか!!はなせ!あほぉ!」

「ええ~。ショータくんの魔法のせいで目が見えないからこうするしかないのよぉ」

「嘘つくなっ!俺は見たぞ!ちゃんと目を瞑ってたの!くそお。誰にも言ってないのに何でバレたんだよお」

「ほらぁ。そんなことよりサキお姉ちゃんのおっぱい気持ちいでしょ?どう?」

「しるかっ!いいからはなれろ!」

「あん♪」

「はぁはぁ………覚えてろよ!」


 強引にサキさんの肩を押して羽交い絞めから脱出したショータくんは息を整えてからダッシュで帰っていった。


「はぁ…今日もかわいかったわぁ。精通はしたのかしら…?」

「朝日姉ちゃん。せいつうってなんだ?」

「フェル君はまだ知らなくていいよー」

「ふーん。ま、あのフラッシュはなかなかだな!後で対策考えようぜ!リル!」

「うん!フェルにい!」


 フェル君は純粋だなー。

 どうかそのまま育ってほしい。


 いまだに扉のほうを見ながらうっとりしているサキさんは置いておいて、イルキさんに挨拶する。


「それでは、今度こそ帰りますね」

「ああ。ぜひまた来てくれ」




 というわけで今度こそお家に帰った。




 それからその日の夜。

 いつものように家族全員で夕食を食べていると、ユアとメアちゃんから1つの情報が。


「今日ユイカ先生が言ってたんだけどね」

「うん」

「王都が陥落したらしいの」

「うん……ほえ?」

「王城が壊れて、街の人が全員逃げているみたい。それで、南の街でもその逃げてきた人の受け入れをするから、騎士団も忙しくなるって」


 え?急展開?




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ポンコツお姫様姉妹と巡る異世界譚
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