今度からお酒を飲む時にはかわいい下着を履いておこう。
無事に魔王城から帰ってこれた記念でパジャマパーティーをすることになった私たち4人。
テーブルの上には所狭しと数多くのお酒が置かれている。
「何から飲む~?」
「やっぱり最初はビールからじゃない?」
「そんなイメージはあるわね」
「とりあえずなま!みたいな?」
「そうそれ」
というわけで初めはビールを飲むことに。
お互いにビールを注ぐ。
「ちょっとでいいからね!飲めないかもしれないし!」
「そうね。なみなみ注がないほうがいいわね」
小さいコップに注いで、準備完了。
「それじゃあ、パジャマパーティー開始!かんぱーい!」
「「「かんぱーい」」」
ちょっとドキドキしながら口を付ける。
「んー!!マズい!」
「私は苦手かも~」
「後味もいやね」
「…ぐびぐび」
苦いよ!聞いてはいたけどやっぱり美味しくなかったかー。
ん?葵がきれいに全部飲んでる!?
「葵すご!」
「大丈夫?無理してない?」
「ん。平気」
「葵ちゃんすごいね~!私そんな一息に飲めないよ~」
まさかこの味を平気で飲めるなんて…葵恐ろしい子!
「まあ、大人も平気で飲んでいるし、おいしいと感じる人もいるのよね」
「おいしそうに飲む人多いよね。だから大丈夫だと思ってたのに~」
慣れたらおいしくなるって聞いたことがあるけど、この味に慣れる気がしない!
「葵美味しいの?」
「普通」
「ほえー。やるね葵!」
「ん」
葵に私たちの分も飲んでもらい、次のお酒へ。
「さてさて、最初はあれだったから、おいしそうなの飲みたいね」
「どれがいいと思う?葵ちゃん」
「サワーとかカクテル」
葵が一旦お酒を全部しまってサワーとカクテルだけを出してくれる。
「いろんな色があるんだね~」
「とりあえず飲んでみようか」
気に入った色のサワーをそれぞれ手に取る。
私は赤色。
「いただきまーす」
さっきの事件もあったので慎重に飲む。
…ん!?おいしい!
「美味しいよこれ!リンゴ味!」
「私のはカルピスね。おいしいわ」
「ジュースに近いね!飲みやす~い!」
「ん」
まさかこのまま飲めない系が続くのか?と内心ビクビクしてたけど、サワーは当たりだった。
これならたくさん飲めそう。
「夕陽のと飲み比べしたいなー」
「いいわよ。はい」
「ありがと!…うん。カルピスだね。普通においしい。はい。私のも飲んで」
「リンゴ味だっけ?…おいしいわ」
数時間前に夕食を食べたばっかりだけど串焼きも食べる。
葵は時間経過しないアイテムボックスを持っているからか、屋台を見つけては大量に購入してどんどんアイテムボックスに突っ込んでいる。
だからお酒のつまみの心配は要らないのだ!
ちなみに屋台のおじさんに聞いたことがあるんだけど、葵は陰で【幸運の妖精】と呼ばれているらしい。葵が通りかかればその日の売り上げの心配はなくなるから。
「4人でこうやって話すの久しぶりだね」
「ねー。お互い子供もできたし、フェル君とリルちゃんも居るからね」
「子育ては時間取られるね。ユアもメアちゃんも手間のかかる子じゃなかったけど、それでも初めてだからいろいろ大変だったよね」
ユアは全く泣かないから本当にこの子大丈夫か?って逆に心配だったけど、いい子に育ってくれた。
メアちゃんは夜泣きが大変だったって聞いたね。
芽衣が寝不足でご飯を食べた後は必ずうとうとしてたなー。
「でもあれね。2人が学校に行くようになって、時間が余ると寂しくなっちゃうわね」
「それ分かる~!ずっと一緒にいたからね。あと心配だし。学校でうまくやれてるのかな~」
「ご飯の時に今日あったこと話してくれるよね。2人とも。楽しそうだし、大丈夫だと思うけど」
「でもいじめられてたら隠そうとする子もいるらしいよ?あの2人は気遣いもちゃんと出来るし。あ、これ梅味だ。おいしい」
芽衣の心配のし過ぎだと思うけどね。第一あの2人がいじめられるとか想像できない。絶対やり返しそう。
「あと私、ちゃんといいお母さんやれてるかな?」
「どしたのさ芽衣」
「だってだって、お料理は夕陽ちゃんに任せっきりでしょ?掃除もお洗濯も生活魔法のクリーンですぐ終わっちゃうし、たまにあれ?私大丈夫かな?って考えるときがあるんだよ~」
「それいったら私もだけどね!この中でお母さんスキル上がってるの夕陽だけじゃない?」
「確かに」
私の考えるお母さん像は毎日の家事に追われ、家族の世話をして大変なのに誰からも褒められることはない。そんな孤高の戦士のようなイメージだけれど、私は朝起きたらご飯ができている。掃除?洗濯?芽衣の魔法で一瞬です。そしてやるとこがないからユアが学校から帰ってくるまでルコアさんのところやスイナさんのところに遊びに行く。
…あれ?確かにこの生活いいのか?
「…不安になってきた」
「明日4人で料理してみる?」
「「「する」」」
明日は夕陽のお料理教室開講します。
「次カクテル飲も」
「葵?名前教えて」
葵のアイテムボックスのリストにカクテル名が書いているから読み上げてもらう。
「カシスオレンジ、カシスグレープフルーツ、ジントニック、ファジーネーブル、ピーチソーダ、カルーアミルク」
「カシスオレンジ飲みたい!」
「ピーチソーダ貰おうかしら」
「カルーアミルクで~」
「ん」
カシスが何かわからないけど、オレンジも入ってるし大丈夫でしょ!
「みんな持った!?はい。かんぱーい」
「「「かんぱい」」」
ごくごく…これもおいしい!
「お酒って苦いイメージあったけど、全然苦くないね!ビールは別だけど!」
「ね~。このカルーアミルク?とっても甘くておいしい!葵ちゃんのは?」
「ファジーネーブル。飲む?」
「聞いたことない名前ね。何味なの?」
「桃とオレンジ…かな」
「葵ちゃん葵ちゃん。口移しで飲ませて~」
おやおや?芽衣が葵に寄り掛かって甘え声を出している。
よく見ると芽衣の顔が真っ赤だ。それも恥ずかしくて顔が赤くなっているわけではなく…
「芽衣酔っぱらってるね」
「あら、本当ね。顔赤い」
普通ならやんわり断るんだけど、葵は芽衣大好きだから別にどうってことないようだ。
まず自分でファジーネーブルを飲んで、そのまま芽衣に向き直ってキスをする。
…なんかこっちのほうが恥ずかしいんですけど!
「ん…はぁ…おいしい~。もしかしたら一番飲みやすいかも~」
「え?本当?私も飲みたい!」
「口移し?」
「普通にください!」
夕陽に睨まれたので間髪入れずに答える。
やめてよ葵…心臓に悪いよ!
手で受け取って一口貰う。
おお。本当に飲みやすい。あれだね。トロピカルジュースみたい。
葵に返すと、また芽衣が葵とイチャイチャし始めた。
ちょっと!私たち目の前にいるんですけど!
「芽衣完全に私たちのこと忘れてるよね…」
「そうね。朝日は酔ってないのかしら」
「ちょっと体ポカポカしてるくらいかな。夕陽は?」
「私もそんなに…ちょっと頭がキンキンするくらいかしら。ちょっとおトイレ行ってくるわね」
「行ってらっしゃーい」
「…っと」
「大丈夫?」
「ええ」
立ち上がって夕陽が歩こうとしたときふらついた。
さては夕陽も自分では気づいていないだけで酔いが回ってるな。
ちょっと心配だから私もついていく。
「あら?どうしたの朝日?」
「私もおトイレ」
「そう。ふふ。ありがとう」
「どういたしまして」
夕陽とトイレまで一緒に歩く。
「思ったよりもお酒美味しかったわね」
「だね。これからもたまに飲もうよ」
「ええ。楽しそうね」
どうやら要らない心配だったみたいだ。
いつもとそう変わらない夕陽とトイレに入る。
あれ?
「どうして一緒に入ったのかな?」
「朝日のトイレしている姿を見てみたくて」
「いやいいから見なくても!?」
「ダメよ。朝日のことは何でも知っておきたいの。ほら、早くして」
ええ?なになに?どしたの?
夕陽はニコニコしている。それが普通だと言わんばかりだ。
あれ?普通のことなの?頭があんまり回らない。
「はぁ。わかったからそんな急かさないで!」
パンツを下ろして便座に座る。
結構飲んだからいつもより勢いよく出る。恥ずかしいなーもう。
「ふふ。朝日ってば元気ね」
「今日だけだよ!」
それから夕陽のを見ようとしたらなぜか締め出され(ホワイ?)
2人で部屋に戻る。
すると信じられない光景が。
「ってなんで2人とも脱いどるんじゃーい!」
「だって暑くて~」
「クールビズ」
下着姿でごくごくお酒を飲んでいる芽衣と葵。
ちょっと芽衣さん!?
「たしかに暑いわね」
そういいながら隣でせっせと脱ぎ始める夕陽。
「ちょっと夕陽さん!?」
「朝日も脱ぎなさい。手伝ってあげるから」
「あーれー」
裸に剥かれる私。どうしてこうなった。
「おお!夕陽ちゃん完全に元の体形に戻ったんだね~」
「さすがにユアを生んでしばらく経ったしね」
「私も戻したいんだけど夕陽ちゃんのご飯が美味しすぎて痩せられないんだよ~」
芽衣のお腹はぽちゃっとしてる。毎日お替りしてるからねー。
あと芽衣は食べすぎた分をHPとMPに変換しているから魔王に匹敵するくらい上がっている。
「芽衣はそのままでいい」
「ほんと?」
「ん」
はいそこすぐイチャつかなーい!
いつの間にかなんなんだろうこのカオスっぷりは…
そのあとは胸の触り比べとかお互いのあれな話とか、まぁ楽しいガールズトークで盛り上がり、いつの間にか全員寝ていた。
そして朝…
トントンとドアをノックする音が。
「お母さ~ん?ってナニコレ!?」
「どうしたのメアちゃん?うわ!」
「なんだなんだ?ぐわ!酒くさ!」
「フェルにいは見ちゃダメ!」
その後こってり子供たちに怒られた私たち4人組。
やっぱり私たちお母さんらしくないかも!?




