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JK4人の異世界暮らし!  作者: 綿あめ真
南の混成魔王と白百合騎士団~学校通うよ!~
74/100

夕陽VS宮本武蔵

「兵法家の宮本武蔵だ」

「知ってるわ」

「いや、そうじゃなくてだな…まぁいいや」


 お互い剣を構える。

 宮本武蔵の剣は右手に大太刀、左手に小太刀だ。


 私は右手に三日月宗近、左手に鬼丸国綱。両方太刀。

 私の後ろにはいつもの如く網じいと宗近さんが観戦している。


「ふむ。宮本武蔵か。朝日たちの話によると天下無双。生涯無敗なんだとか。剣術じゃ勝てんかもしれんのう」

「俺たちが5年剣術を教えたんだよ?一方的にはならないさ」

「だといいがのう」

「…あんたの後ろにいる奴らは何なんだ?」

「気にしなくていいわ」


 私でも知っている歴史上の人物と戦うのって緊張するわね。

 見た目は私たちくらいの女の子だけれど…っ!!


「ほう。よく避けたな」

「いきなりなんて卑怯じゃない?」


 いつ私の目の前に移動したの?全くわからなかったわ…


「俺は…正直もう戦うのはいいやと思ってたんだよなぁ」

「?」

「こう見えても生前は結構な戦いの中で生き残ってきたんだ。んで、年取って身体動かなくなってきて、病気にも罹って…なんで俺は天下無双に拘ってたんだろうなってな…自問自答していたわけよ」

「急にどうしたの?」

「いやなに。この世界で初めて日本人にあったらこう…感情がぶわっとなったんだよ。語らせてくれ」

「いいけど」


 変わった人ね。でも有名人のお話を直接聞けるのって貴重かもしれないわね。


「だがいざ動ける身体に生まれ変わって、自由に動けるってわかったとき俺はなんて思ったか…また戦ってみてえって思っちまったんだよな。ははっ。現金だな俺も。それに…未来にはどんな技術が溢れているのか…俺のいた時代の剣術は通用するのか?試してみてえんだよなぁ」

「…」


 未来に剣を持っている人なんていらっしゃらないですよって正直に言ってもいいのかしら?

 剣を持っているだけで警察に捕まる時代になっていると知ったらどんな顔になるのかしら。


「そんなわけで未来人の小黒夕陽さんよ。未来には俺以上にすげえ奴はいるのか?」

「えーと…いないと思うわ」

「そんなことはないと思うがな。まぁ続きするか」

「くっ!」


 さっきもだけど!動き出しの瞬間がわからない!

 いつの間にか近づいていて、かと思って剣を振ってももういない!


「安心しな。別に命のやり取りをしようってんじゃない。好きに攻めてきな」

「ならお言葉に甘えるわ!」


 どうせ駆け引きなんて私には出来ないからとにかく前に出て剣を振るう。


「速いな。だが素直すぎる」


 この数年でさらにレベルも上がり、当然ステータスもかなり上昇している。

 戦い方も網じいや宗近から学び、自分でも強くなったと思っていた…

 

 しかし相手はあの宮本武蔵だ。どんな攻撃をしても余裕をもって悉く避けられる。

 完全に太刀筋を見切られている。


 まだ戦い始めて数分も経っていないけれど、もうわかった。

 私はこの人にはどうやっても勝てない。

 ステータスが視えないとかそんな些細なレベルじゃなくて、強さの次元が違う。


 剣が当たる気がしない。

 あれね。水に流した葉っぱが絶対に岩にぶつからない。そんな感じ。


「はぁ…はぁ…はぁ…」

「もう10年剣を振り続けたらいい勝負になるかもな」


 剣に生きているわけじゃないからそんなことは絶対しないわ。


 …ん?剣に生きているわけじゃない?

 そうだわ。別に剣の勝負に拘る必要なんてないのでは?

 相手があの有名な宮本武蔵だからつい剣だけで戦っていたけれど。


 この世界には魔法もあるわ!


「ふふ」

「お。いい表情になったな」

「ここからよ!【炎剣】」


 二刀に火魔法で炎を纏わせる。これで剣による防御は難しくなったはず。


「あち!あっつ!夕陽!あっついぞ!」

「熱い熱い熱い!」


 ちょっと外野がうるさい。今いいところなんだから静かにしてほしいわね。

 でもこの炎剣を見ても武蔵は余裕の表情だ。私の攻撃を待っている。

 なら遠慮なくいかせてもらうわ!


「ハァ!!」

「うおっと!すげえ熱風だ!」


 まだまだよ!

 無数の炎の槍を空中に生み出し、投げつける。


「【炎の槍(ファイヤランス)】!剣の勝負に拘り過ぎていたわ」

「はっはっは!それでいい!最終的に勝てばいいんだ。極論何したって勝ちゃいい。死んだらそれまでなんだからっよ!」


 最後の一槍は大太刀で切り伏せられる。

 余裕の対応をされてしまって結構ショック。日本には魔法なんてないから驚くと思ったのに。


「ん?どうした?」

「魔法を見ても驚かないのね」

「そりゃ、この世界に来てもう5年だからな。魔法は今更だぜ」

「5年!?」


 5年…つまりロキは私たちに会った後すぐにこの2人を召喚したのね。

 なのにどうしてすぐにこなかったのかしら?謎ね。


「急ぐ旅でもなかったしな。予想以上にあんたたちを見つけづらかったのもあって時間掛かっちまったが…そんなことよりも、これで終わりか?」

「まさか!」


 一度でいいからこの人を驚かせてあげるわ。


「網じい!宗近!あれやるわよ!」

「あれか。卑怯な気もするが、夕陽が負けるところは見たくないのでのう。やるとするか」

「俺はいつでもいいよ」

「卑怯結構!全部出し切れよ」

「言われなくても!【憑依魔法】!」


 鞘から剣を出しているとき2人は実体化するけど、私の憑依魔法で強制的に剣に魂を戻す。


 そして二振りの剣が意思を持ち、私の周りを旋回する。

 更に…


「【武器生成】」


 目の前に火・水・風・土の属性を持った剣を展開。

 手始めに火と水の剣を持つ。要所要所でスイッチして戦う。


「ほほう!すげえな!」

「全力で行くわよ2人とも!」

『『おう!』』


 出し惜しみしたってこの人には勝てないわ。

 最初から全力で戦う!


 カカカカッ!!


 私の両手と網じいと宗近。合計4本の剣が常に相手を襲う。

 つまり手数は倍あるはずなのに…押し切れない!


「うおっ!死線だらけかよ!?」

「ハアアアア!!」


 まるでどこに剣を振るのかがわかっているかのように避け続ける宮本武蔵。

 凄い。もはや人間業じゃないわ。


 私たちが攻めてはいるけれど、まだ一太刀も当てられていない!

 そんな焦りの感情が私を大振りにしてしまう。


 その隙を見逃すような甘い相手では当然なく、左手の剣を大太刀で巻き上げられる。


「しまっ!!」

「フッ!」


 武蔵の小太刀による横薙ぎが私の体に吸い込まれる…!

 直前に間一髪、宗近が間に入ってくれてかろうじて防御に成功する。


「ッチ!」

「網じい!」

『わあっとる!』


 武蔵の右脇腹が空いてる!

 そこを網じいが刺しにかかるが左手の小太刀で防がれる。


 でもそのおかげで今度は左側のガードが無くなった。

 この一撃は通る!


「貰ったわ!」

「あめえ!!」


 武蔵は器用に振り上げていた大太刀をくるりと回して逆手に持ち替え、そのまま大太刀で左を防御。

 渾身の一撃を防がれた!


「ぐっ」


 そのまま蹴られて後ろに飛ばされてしまう。


「はっはっは!面白れぇ!今のは危なかった」

「けほっ。けほっ。女の子を蹴るなんて酷くないかしら」

「戦いに酷いもクソもねえだろ。それで、まだ続けるか?」

「…いいえ。悔しいけれど、今のが私の全力。それが通用しなかったのだからこれ以上続けても意味がないわ」

「悪くなかったぜ。いや、楽しかった。もう一度名前を聞かせてくれ」

「小黒…いえ、星宮夕陽よ」

「星宮夕陽。またやろう。あっちも勝負がついたみたいだ」


 武蔵の親指の先を見ると倒れている佐々木小次郎とガッツポーズをしている朝日が目に映る。


 やっぱり朝日は凄いわね。

 あの佐々木小次郎を倒すなんて。


「まさか小次郎が負けるなんてな」

「私の朝日は凄いでしょう?」

「是非手合わせしてみてえが…しんどそうだな。また次だなこりゃ」


 確かにあんなに疲れてる朝日を見るのは初めてかもしれない。


「さて、俺たちの弟子はどうなってるかなっと」

「そうよ!ユアは?」


 ユアたちが戦っている方向を見ると、ユアが勇者と一騎打ちをしていた。

 な、なんてことを…!帰ったらお仕置きね…


この小説の設定では佐々木小次郎よりも宮本武蔵のほうが強いです。

これは生前の年齢に関係しています。小次郎は道半ばで倒れましたが、武蔵は晩年まで生きたと言われています。

その生きていた年齢の分、武蔵が研鑽を積んだと解釈しているからです。


なので器も武蔵は大きく、小次郎は転生当初は武蔵のことを殺したいほど憎んでいたが、5年生活を共にすることで徐々にその存在に惹かれ始め…くそ!憎らしいのにこの感情は何なんだ!?みたいなサイドストーリーがあったりなかったり…

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ポンコツお姫様姉妹と巡る異世界譚
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