待っててシロ!今行くわ!
ユイカ先生に連れられてお部屋に入ると、女の人が座っていた。
白のロングコートを着た女性がこちらを見て驚いている。
あれ?私たちのこと呼んだんじゃなかったのかな?
「予想以上に若いわね」
「だから言っただろう。初等部の子供だと」
「いやだって初等部は5~10歳まででしょ?普通10歳くらいの子が来ると思うわよ」
「まぁな」
私たちが小さくてびっくりしたんだね。
でもどうして私たちを呼んだんだろう?
「こほん。初めまして。私の名前はクロ。白百合騎士団の副団長で、今は1番隊と2番隊の隊長を兼任しているわ」
「ユアです!」
「メアです」
白百合騎士団の副団長さんだった!
副団長さんってことは、団長さんの次に偉い人なのかな?
「あなたたちのことはユイカから聞いているわ。とっても優秀だとか。それで…あなたたちの親御さんに会いたいのだけれど、今日お家にお邪魔してもいいかしら?」
「副団長。それは急すぎるし先方にも失礼なんじゃないか?」
「それはわかっているけど。今は緊急事態なの!…こほん。どうかしら?」
今日会いたいってことは、このまま一緒に副団長さんと帰るってことなのかな?
「いいよね?メアちゃん」
「いいんじゃないかな」
「ありがとう。呼んだ理由はお家で話させてもらうわ」
「はぁ。まったく。すまんなユア、メア。私も行っていいか?」
「もちろんです!」
というわけで、副団長のクロさんとユイカ先生と一緒にお家に帰ることになった。
「ただいまー!」
「ただいま」
「おかえりー!あれ?お客さん?」
「珍しいわね」
「初めまして、白百合騎士団副団長のクロと言います。突然の訪問申し訳ありません。少々お話ししたいことがありまして。少しお時間いただいてもよろしいですか?」
「いいですよー。どうぞ上がってください」
流石朝日ママ!全然驚かないや。
居間に入ると、夕陽ママがお茶を持ってきてくれる。喉乾いてたから冷たいお茶がおいしー。
部屋の中を見渡してユイカ先生と副団長さんが感心している。
「立派な家だな。うらやましい」
「本当ね。もしかして家族全員凄い人たちなのかしら」
「ママたちはすごいですよ!いろんなところを旅しているみたいだし!」
「お金持ち」
「そうなのか。それにかなり若かったな。いや…若すぎる。もしや団長や副団長と同じ…」
「ええ。理外者ですね」
「理外者?」
なんのことだろう?
「理外者とは、レベル100を超えたものを指します。【理を外れし者】とステータスに表示されることからそう呼ばれています。ちなみに、この街の理外者は私とシロだけだと思っていました。まさかこんなところで…これはもしやすると…」
副団長さんがぶつぶつ呟いている。それを見てユイカ先生が首を横に振っている。
「副団長はずっと強い者を探していたからな。ここで見つかったことに驚きを隠せないのだろう」
「そうだったんですね!私たちがこの街に来たのは1か月くらい前のことだから、副団長さんが知らないのはしょうがないです」
「通りで君たちを見たことがないなと思ったわけだ。引っ越してきてすぐに入学したのか。なるほどな」
ユイカ先生とお話ししていると私たちの家族が居間に集まってきた。フェル君とリルちゃんもいるし、全員大集合!
「お待たせしました。家族全員で聞いてもいいですか?」
「ええ。構いません。それではお話しさせていただきます…」
副団長さんが白百合騎士団のこと、魔王退治に行ったこと、団長が行方不明になったことを説明してくれた。そして次の魔王討伐に是非娘さんを…いや皆様全員で参加してほしいと頼まれた。
魔王退治のところでママたちの顔が一瞬険しくなったけど、すぐに戻った。
その理由はわかる。ママたちはここ以外の魔王さんと親しいからだ。
北の魔王のミユちゃんや西の魔王のルコアさんのお城にたまに遊びに行っているからね。
私もついていくけど、2人ともとっても優しい魔王さんだった。
これは断るんじゃないかな…と思って朝日ママを見ると、ちょうど朝日ママが口を開いた。
「いいですよ」
「そうですよね…魔王はこの世界で一番危険な存在と言っても過言でもありません。ですが私はシロのために…いいんですか!?」
「いいの?ママ」
「ただし!条件があります」
「なんでしょう?」
「私たち家族は絶対にその魔王とは戦いません。ですが、団長さんの救出の手助けならします。これがダメなら不参加でお願いします」
やっぱりママも魔王さんと戦うことはしたくないみたい。よかったー。
「勿論構いません。むしろ、そちらのほうが我々としても助かります」
「いつ行くんですか?」
「2週間後に向かいます。それまでにご準備をお願いします」
「わかりました。当日はよろしくお願いしますね」
「はい!ご助力感謝します!行きますよ!ユイカ!」
「ああ。ユア。メア。絶対に無茶なことはするんじゃないぞ。絶対に親御さんのそばから離れるな」
「わかりました!」
「はい」
「うん。それじゃあまた明日学校でな」
こうして副団長さんとユイカ先生は帰っていった。
玄関までお見送りして、見えなくなってから朝日ママが号令をかける。
「よし。みんな!家族会議するよ!」
再び家族全員で居間に戻る。
「なんだ?朝日姉ちゃん?」
「というか私たちも家族会議に参加してもいいの?」
「フェル君もリルちゃんも家族として扱っていくつもりだから!」
「おお!うれしいぜ!」
「ね!フェルにい」
「それで、私たちの魔王討伐遠征の時の立ち回りについて話し合うのね?」
「そうそれ。あとこれはユアとメアには伝えてなかったけど今回の話がなくても私たちは南の魔王城に向かう予定だったよ」
「そうなんだ!」
「なんで?」
「実は女神様クエストが久しぶりに更新されていてね。その内容が南の魔王フェスの討伐を阻止せよ!ってクエストだったんだよね」
女神様クエストは、ママたちがこの世界を創った女神様からたまに受ける依頼のことだね。成功したらこの世界では手に入らない貴重な品を貰えるんだとか。私の腰に差しているマサくんも女神様からの貰い物みたいだし。
女神さまと知り合いのママたち凄い!
ん?でも討伐はダメなのにさっきのお話を受けたのはなんで??
「ふっふっふ。ユアは混乱しているようだね!」
「俺もよくわかんないぜ。女神様クエスト?ってのを受けるならさっきの女の人の話は断ったほうがよかったんじゃないの?」
「一緒に行動して白百合騎士団の実力を知りたかったのが一つ。一緒に行動したほうが面白そうだと思ったのが一つ」
「絶対面白さ優先したでしょ…」
「はい」
「いいんじゃないかな~。どんな人たちか知っていたほうが対応しやすいと思うし」
「問題なし」
「まぁ朝日なら賛成すると思っていたわ」
「ふーん。ま、よくわかんないけど姉ちゃんたちについていくぜ!」
「がんばるね!」
えとえと、つまり私たちは白百合騎士団の人たちと魔王城に向かうけど、魔王城では魔王さんをこっそりお助けするってことだよね?間違ってないよね?
「団長さんはどうするのかしら?」
「助けられるなら助けたいけどね。でも行方不明になってから半年経っているって言ってたね。どうなっているかがよくわからないから、とりあえずはまだ見ぬ魔王さんのサポート優先で」
「わかったわ」
「おっけ~」
「ん」
「おう!」
「それじゃあ、今日の会議はここまで!夕陽。今日の晩御飯は?」
「ハンバーグよ」
「やった!ハンバーグ大好き!」
「超好き!」
「わくわく」
その日のハンバーグはおいしかった!夕陽ママのお料理は全部おいしいけどね。




