5歳児2人と手を繋ぎながら街を歩くだけでお給料が発生するなんて最高の職場です!
今日からAクラスになって初めての授業!
ドキドキするー!
Cクラスと違うところは、今のところ人数くらいかな?
Cクラスは30人くらいだったけれど、ここには7人しかいない。
全員女の子で、お嬢様っぽい金髪の子と短髪のかっこいい子と双子の子と、ずっと寝ている子、最後に私とメアちゃんを入れて7人だ。
あ、先生が入ってきた。
「全員揃っているな。私がAクラス担当のユイカだ。白百合騎士団の3番隊隊長も務めている。今日からよろしく頼む。早速だが、授業に入る前に一人ずつ自己紹介をしてもらおうか。左から順番に立って自己紹介してくれ」
自己紹介って何を言えばいいんだろう?
よくわからないけど、私は3番目だから前の2人のお話をちゃんと聞こう!
「わたくしからですわね!わたくしの名前はアーシャ!とってもお金持ちですのよ!ここにいる人間は皆優秀そうですし、私のメイドになりたくなったらいつでも声をかけてください!以上ですわ!」
「ふむ。アーシャは筆記が90点、実技がA-と。この中では普通だな」
「個人情報を漏らさないでくださいまし!」
「では次」
成績も教えてくれるんだ。まだテスト返ってきてなかったからうれしい。
「僕の名前はマコト。このクラスにはかわいい女の子がたくさんいるから是非ともみんな僕の彼女になってくれ。以上」
「お前5歳児の癖にませてるな…マコトは筆記が80点。実技がAだ。では次」
いよいよ私の出番!2人のお話を聞くに、自分の名前と、言いたいことを言えばいいんだよね!うん。
「私の名前はユアです!私の家族とメアちゃんの家族と今は獣人のフェル君とリルちゃんの8人で住んでいて、みんな大好きです!好きなものは面白いこととメアちゃんです!」
「ふむ。ユアは筆記70点。実技Sだな。素晴らしい。ところでその腰に下げている剣は?以前は着けていなかったよな?」
「この子はマサくんです!マサくんにも自己紹介してもらったほうがいいですか?」
「は?いや…いい。むやみに抜くなよ」
「わかりました!」
「では次」
「メアです。好きなものはユアです」
「…終わりか?」
「はい」
メアちゃんは人見知りを発動してあまりしゃべらないモードに入っちゃってる!
本当は面白くてかわいい女の子だからそんな目でメアちゃんを見ないでユイカ先生!
「メアは筆記80点。実技S。素晴らしい。次…は双子か。一緒の自己紹介でもいいぞ」
「リブです…自己紹介とか難しすぎです…いきなりそんなこと言われてもうまく話せるわけないです…難易度高すぎます」
「私はアス!みんなよろしくね!次の試験までこのクラスが変わることはないって聞いたから、仲良くしましょ!私たちの見分け方なんだけど、リブは結構暗くて、私は明るいから!ちょっと見ればわかると思う!よろしくね!」
見た目は確かにそっくりなんだけど、よく見れば表情が全然違うからわかりやすい!
「性格は違うが成績は同じだな。筆記90点の実技A。では最後…おい起きろスー」
「…んあ?」
「まったくお前はいつもいつもそんなに寝て…クラスのみんなに自己紹介しろ」
え!今までずっと寝てたの!?すごいなぁ。私は絶対そんな大胆なことできないや。
ユイカ先生からスーって呼ばれた女の子は腕をグーっと伸ばしてあくびをしている。
先生と知り合いなのかな?先生がやれやれしている。
「う~~ん!ふわあ。スーです。すやすや寝るのが大好きです。苦手なものはいつも起こそうとしてくるユイカおばさんです」
「学校では先生と呼べ。はぁ…スーは親戚の子なんだ。そんなわけで知り合いではあるが、ひいきはしないつもりだ。筆記100点、実技B」
100点!すごい!
「なかなか個性的な子たちだな。さて。授業を始めるが…このクラスは白百合騎士団の隊長候補生だ。それに伴って、ほかのクラスとは違う授業も行っていくつもりだ。具体的に何をするのかというと、実際に白百合騎士団が行っている活動の一部を体験していく。もちろん将来白百合騎士団に入団しなくても構わない。白百合騎士団の活動は他の分野でも為になることがあるから取り入れているだけだ。そこは気を付けてくれ。といってもまだ5歳の君たちにこんな説明をしてもすべてを理解することは難しいだろう。覚えてほしいのは、今までのクラスとは違う授業になるということだ」
今までのただ先生のお話を聞くだけの授業じゃないってこと!
「では本日の授業を発表する。今日は…ゴミ拾いをしに行くぞ!」
「「「「「「ゴミ拾い?」」」」」」
「そうだ。この街はかなりきれいに掃除されているが、それは白百合騎士団が定期的に街の清掃活動をしているからだ!そのお手伝いを君たちにしてもらう。1人1つ袋を渡すからその中に拾ったごみを入れてくれ。ただやってもつまらないから、一番ごみを拾えなかった子は罰ゲームだ。グラウンド1周してもらおう」
「あの…」
「なんだリブ」
「生活魔法のクリーンを使ったほうが早いんじゃ…?」
「いい質問だリブ。本来私たちもクリーンを使っているが、今回は無しだ。理由はこのゴミ拾いは体力作りも兼ねているからだ。それに今は言えないがもう一つの狙いもある。そんなわけで魔法を使うことは禁止にする。ほかに質問あるか?…ないようだな。では二人一組でペアを作ってもらう。横にいる相手と組んでくれ。スー!お前はサボらないように私が直々に組んでやろう」
「えー」
「そんなにいやそうな顔をするな。組んだら私の部下を一人ずつつけるから3人で行動してくれ。制限時間は正午までだ。あ、正午ってわかるか?」
「12時のことですわ!」
「そうだ。それを過ぎても罰ゲームだからな。では行動開始!」
隣にいるメアちゃんと手を繋いで教室を出ると、1人のお姉さんがこちらについてくる。
「えっと?」
「申し遅れました。3番隊隊員のジェーンです。お2人のサポートを任されましたので一緒に行動させてください」
「ジェーンお姉さんだね!よろしく!」
「よろしく」
「はうっ!かわいい!!っは!よろしくお願いしますね」
一瞬にへらっとしたかと思ったらキリっとするお姉さん。コロコロ表情が変わって面白い人だなー。
「それで、どこに行こっか?メアちゃん」
「どこにも行かなくても私の幻惑魔法で大量のごみがあるように見せれば…」
「ズルはいけないよ!メアちゃん!」
「…ん。わかった」
「通学路はいっつもきれいだよね」
「うん」
「だから、行ったことないところに行ってみよう」
「大丈夫かな~?」
「ジェーンお姉さんもいるしきっと大丈夫だよ」
「お任せください。お2人は命に代えてもお守りします」
ふんすと意気込んでいるお姉さん。そんなに頑張らなくても…
それからしばらく歩きながら地面を探したけど、1つもゴミがない。
「相変わらずきれいだねー」
「ゴミなんて落ちてないよ」
「良いことなんだけどね」
でもこのままだと罰ゲームになっちゃう。
私は走るの好きだからいいけど、メアちゃんは走るの苦手みたいだから出来れば勝ちたい。
何かないかなーって周りを見ていると、屋台のおじさんが紙のごみをごみ箱に入れているのが見えた。
おじさんに話しかける。
「おじさん!」
「ん?なんだい嬢ちゃん」
「今捨てたごみってどうするんですか?」
「これか?あとでゴミ捨て場に持っていくが」
「じゃあ私たちが代わりに持っていってもいい?」
「構わねえが…」
ゴミ箱の中にはゴミがちょっと入っている。
「ちょ、ちょっと待ってください。これはゴミ拾いにはなっていないような」
ジェーンさんが困り顔で言ってくる。
え。だめなの?
「ジェーンお姉さん。これも立派な街のごみだと思うの」
「ジェーンお姉さん」
「はうっ!そうですよね!これも街のごみです!だからセーフ!」
「「やった!」」
それからも屋台のおじさんやお店で出たごみを代わりに捨てるという約束でもらい、あっという間にごみは溜まった。
「これでクリア」
「街の人ともたくさん仲良くなれたし、楽しかったね!」
「うん」
まだ11時くらいだから、教室には余裕を持って帰ることができる。
ちょっとお話しすぎて時間掛かっちゃったな。
教室に戻るとまだ誰も帰ってきてなかった。
「どうしよう」
「せっかくだからジェーンお姉さんとお話ししてみんなを待とう」
「え?私ですか?」
「うん。ジェーンさんのお話聞きたいなー」
「お願い」
「はうっ!いいですよ!えっと私も実はこの学校の卒業生なんです。Bクラスでしたけどね」
「そうだったんですか!」
「騎士団に入るほとんどの子はこの学校の卒業生ですね。だから入ってすぐに馴染めるようにAクラス~Cクラスの担任は騎士団の隊長が兼任しています」
「じゃあCクラスのオリヴィエ先生も?」
「オリヴィエさんは5番隊隊長ですね」
そうだったんだ!知らなかった。
「騎士団はほかにどんなことをしているの?」
お、メアちゃんいいこと聞いたね!これでこれからどんなことをするのかもわかる気がする。
「清掃のほかには、魔物退治、ダンジョン攻略、魔王討伐訓練、街の巡回、学校の運営、孤児院の運営…まあたくさんありますね。これらを各隊でローテンションで受け持っています。ただダンジョン攻略だけは日数が掛かるのでダンジョン攻略専門の10番隊が今も攻略していると思います」
「へえー!騎士団の人たちってすごいんだね!」
「うん」
「そうでしょう!私も騎士団に憧れてこの学校に入りましたからね!今はとっても楽しいです」
それから各隊の面白い人のお話を聞いているといつの間にか正午になっていた。
最後にユイカ先生がスーちゃんをおぶって教室に入ってくる。
「まったくお前はいつもいつも…お、全員揃っているな。それでは結果を発表してもらおうか。アーシャ、マコトペアから」
「ゴミは全くありませんでしたわ!この街はとてもきれいですわ!」
「白百合騎士団により一層入りたくなったよ」
「うむ。では次。ユア、メアペア」
「私たちは商店街のお店の人にごみをたくさんもらいました!」
「大量」
「「「「「おお」」」」」
手に持っていたゴミ袋を高々と掲げる!
「いや…それはどうなんだ?ジェーン。お前がついていながら」
「いえ。隊長。これも街のごみにほかなりません。それにこの子たちは住民と直接交渉してゴミを手に入れています。住民とのコミュニケーションは私たちの仕事の1つ。彼女たちはとても立派です!」
「お、おう。そうか。まあジェーンがそういうならいいだろう。では次。リブ、アスペア」
「ゴミなんてなかった…」
「これっぽっちもね!でも街を走るの楽しかった!」
「リブ、アスもゴミゼロと。最後にスーもゴミを見つけられないし立ったまま寝るわ…いい加減起きろ!」
「むあ」
「はあ、まったく。というわけで、今回はいかに私たち騎士団が日ごろから街の清掃活動をしっかりやっているのかが分かったと思う。それではユア、メア以外は走りに行くぞ!」
「あの!私たちも走っていいですか?」
「構わんが、いいのか?せっかく勝ったのに」
「みんなと一緒に走りたいです!メアちゃん。ごめんね?」
「いいよ。ユアの思ったようにして」
「ありがと!」
それからみんなでグラウンドを走った。
スーちゃんが途中でパタッと倒れてそのまま寝たのには驚いたけど、やっぱり走るのは楽しいなー!
午後は普通の授業で、今日の学校はおしまい。
2人で宿に帰ると、ママたちが宿の入り口で私たちを待ってくれていたみたい。
「お、やっと帰ってきた」
「どうしたの?ママ」
「ふっふっふ。これから引っ越しするよ!」
「「引っ越し?」」
「新しい家を見つけてきたから、今日からそこで暮らすんだよ~」
「豪華」
「そうなんだ!楽しみ~!ね、メアちゃん」
「うん」
「もう行くのかい」
「あ、宿のおばちゃん」
「あんたたちが泊まってくれるおかげで売り上げが伸びたんだけどねえ。またいつでも来なよ」
「お世話になりました~」
「ご飯食べに来ると思います。おいしかったので」
そして来た道をまた戻る私たち。お家から学校近いんだ!うれしい!
着いたお家は大きくて、葵さんが言っていたように豪華だ。
こんな大きい家に住めるんだ!
それからみんなでお風呂に入った。
スイナさんのところの温泉を思い出すくらい広いお風呂でとっても気持ちよかった。
メアちゃんと洗いっこして今日の楽しかったことをママたちに教えてあげる。
明日は何するのかな?




