キールの街再び
葵さんの転移で私たちは温泉宿から草原まで移動した。
しばらく歩くと前にママたちが過ごしたことがある街に着くみたい!
そんなわけで街の入り口まで歩いて行くと、鎧を着たおじさんが二人いた。
おじさんは驚いた表情で私たち…正確にはママたちを見ている。
「もしや…朝日様では?」
「そうですよー?あ!最初に会った門番さん?」
「はい!お待ちしておりました!朝日様、夕陽様、芽衣様、葵様。えっと…そちらのお嬢さんたちは?」
「「「「私たちの子供です」」」」
門番さんが口をあんぐり開けている。
うんうん。ママは見た目すっごく若いからね。びっくりするのも無理ないよ!
一応私も挨拶した方がいいのかな?
「ユアです!」
「…メア」
「あ、キールの街の門番をしている者です」
ちゃんと挨拶を返してくれた!きっといいおじさんだ!
朝日ママがなにやら捜し物をしている。
「えーと。ギルドカードが必要なんですよね。葵のアイテムボックスだっけ?」
「いえいえ!朝日様たちのことはよくご存じですから!身分証は必要ありません!」
「あ、2回目からは顔パスでいけるんだ。ラッキー!」
よくわからないけど、街には入れるみたい!
おじさんが門を開けてくれたので6人で中に入る。
メアちゃんは人が多いのが苦手だから私と手を繋いでいる。
「はあ…人多すぎ~」
「頑張ってメアちゃん!きっと慣れるよ!」
「慣れないよ~」
「その気持ちわかる」
「葵さんも?」
「人が多いところは苦手」
「なぜか注目されてるしね~。私も男の人に見られるのはちょっと…」
私たちって目立つのかな?
みんなこっちを見てひそひそお話ししてる。
そんな中でも気にしてなさそうな朝日ママが私に話しかけてきてくれる。
「もうすぐ私たちが泊まっていた宿に着くよ。ユア」
「そうなんだ!楽しみ!」
名前は銀波亭だっけ?
ご飯がおいしいってママが言ってた!お昼はそこで食べるみたいだから楽しみ~!
「あれね」
「だれかこっちに向かって走ってきてない?」
夕陽ママの視線の先にあった宿から女の人がこっちに走ってきてる!
わー凄い嬉しそうな顔。
「あ!サーシャさんだ」
「皆様ーー!お待ちしておりましたーー!」
手を振りながらこちらに向かってくるサーシャさん?
大人の女の人だ。朝日ママが言ってたお宿の偉い人かな?
息を切らせて私たちの前ではぁはぁしてる。
「ぜえ…はあ…朝日様、夕陽様、芽衣様、葵様。お待ちしていました」
「5年ぶりなのに覚えていてくれてありがとうございます!サーシャさん!」
「皆様を忘れるなんてありえません!それで、今回はいつまで滞在できるのですか?」
「えーと言いずらいんですが…今回は本当に近くを通りかかったので寄ってみただけなんです。知り合いに挨拶したら南の街に向かおうかなって」
「南の街…白百合学園のある…もしや後ろにいるお嬢様たちのために?」
「ええ。私たちの娘なんですよー」
「まぁ!道理で朝日様たちに似てかわいらしい子だと思いました!」
「ユアです!」
「メア」
「これはこれは。私は銀波亭で女将をしておりますサーシャというものです。お母さまたちには以前私の宿を利用してもらい、料理のアイディアなども教えてもらって…あ!そうでした!ぜひお聞きしたいことがあったのでした!」
「なんですか?」
「以前宿泊なされたときに私にかき氷を食べさせていただいたことがありましたよね?あの味がどうしても忘れられず…シェフとこの五年かけて似た味を再現しようしたのですがうまくいかず…もしよろしければご意見をいただきたいのです」
かき氷って何だろう?
「ママ。かき氷ってなあに?」
「ん?ユアは食べたことないっけ?氷を砕いたものにシロップをかけたデザートだよ」
「あの時食べたかき氷って確かマンゴー味とかチョコ味とかイチゴ味だったわよね。この世界にはないものだし再現は確かに難しいかもしれないわね」
「そうなんです!氷はすぐに用意できたのですが…シロップ?がなかなか納得いくものにならず…」
「葵?シロップってどやって作るのかな?」
「フルーツと砂糖を混ぜてぐちゃぐちゃにすればできそう」
「だよね」
「サーシャさん。あの時の味に拘らなくてもいいんじゃないですか?あのシロップはもう手に入らないので同じ味を再現するのは難しいです。それよりはこの街の果実を生かして新しい味のシロップを開発するほうがいいと思います」
「なるほど…」
それからもママたちはよくわからない話し合いを続けた。
私とメアちゃんほったらかしで!
つまんない!
「ねえねえメアちゃん!お話長そうだからどっかに行かない?」
「え~知らないところを二人で歩くの危ないよ~」
「大丈夫!みんなが見えるところだけだから!近くならいいでしょ?あの水が噴き出しているところに行ってみようよ」
「あれ?…確かにちょっと触ってみたいかもだけど」
実はずっと気になってた通りの真ん中にある水が噴き出しているところに行ってみたかったの!
二人で手を繋ぎながらそこに行く。
近くで見ると、お水が溢れ出さないようにお石で囲っているみたい。
そのお石に座っているおじいちゃんが私たちを見て話しかけてくる。
「こんにちはお嬢さんたち」
「「こんにちは」」
「ほっほっほ。お嬢さんたち二人だけかい?お母さんは?」
「あっちでお話してる。つまんないからちょっとお散歩しに来たの」
「そうかそうか。お母さんたちに心配をかけるんじゃないぞ」
「「はーい」」
笑顔で話しかけてきてくれたおじいちゃん。たぶんいい人だと思う。
「おじいちゃん。このお水が出てるのってなあに?」
「これかい?これは噴水だよ。水を噴出させて景観をよくするために作ったものじゃな」
「けいかん?」
「ほっほっほ。噴水があると楽しそうじゃろ?」
「うん!」
「見てて楽しい」
「そういうことじゃ」
噴水って名前なんだ。すごくきれい!
「ねえねえ。触ってみてもいいの?」
「よいが…身を乗り出して落っこちんようにな。せっかくのかわいらしい服が台無しになってしまう」
「わかった!」
下に流れている水に手を入れてみる。
冷たくて気持ちいい!噴水の水も顔に当たって冷たい!
「楽しいよ!メアちゃんもしようよ!」
「うん」
メアちゃんも横で水に手を入れて気持ちよさそうにしている。
「あ…気持ちいい」
「でしょ!?」
「ちょっとユア!メアちゃん!勝手に離れちゃダメでしょ!」
バシャバシャして遊んでたら後ろからママの声が!
振り向くと腰に手を当ててぷりぷり怒っているママたちが。
「びっくりしたんだからね!急にいなくなって!」
「ご、ごめんなさい!」
「私たちも話に夢中でユアたちを放っておいてしまって悪かったわ。ごめんね。ユア、メアちゃん」
「でも次からは私たちと離れるときは一言声をかけてくれると嬉しいな。二人とも」
「約束」
「わかった!」
「ごめんなさい!」
ママたちと手を繋いでお宿に戻る。
「ママたちのお話は終わったの?」
「うん。今度食事のデザートとして提供してみるみたいだね。それで、話の流れでここに1泊することになったんだ。学校に向かうのが一日遅れちゃうけどいいかな?二人とも」
「私はいいよ!」
「私も」
学校に行くのも急だったから、1日くらい遅れても大丈夫!
それにママたちが泊まっていたお宿にも泊まってみたかったし!
「じゃあせっかくだからこのまま街の散策しようか」
「そうね。ちょうどお昼頃だし、どこかで食事にしましょう」
「お肉食べたい!」
「私も~」
「いいよー!じゃあどこかの屋台で串焼きでも食べよっか」
やった!串焼き大好き!
それからボアの串焼きをママに買ってもらって食べながら歩いていると、二人の獣人の男の子と女の子がこちらを見て話しかけてくる。
「朝日おねえちゃんに夕陽おねえちゃん?」
「葵お姉ちゃんと芽衣お姉ちゃんもいるよ。フェル」
「もしかして…フェル君とリルちゃん?」
「そうだよ!」
「ずっと探してたんだぜ!」
またママたちのお知り合いみたい。
ママたちはお友達がたくさんいていいなー!
目の前にいる二人はフェル君とリルちゃんって名前みたい。
二人とも私よりもちょっと大きくて、顔が似ているから兄妹かな?
そんな二人がママたちにお願いをした。
「お姉ちゃんたちに頼みがあるんだ!」
「ん?何?」
「俺たちを旅に一緒に連れて行ってくれ!」
「お願いします!」
「ええ!?」




