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JK4人の異世界暮らし!  作者: 綿あめ真
北の魔眼の王と温泉勇者
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元気な赤ちゃんですよ!

 温泉旅館でまったり過ごすこと数か月。


 遂に!夕陽のお腹が大きくなってきた。

 部屋のこたつに座っている夕陽のお腹に語り掛ける。


「おおい!返事してー!」

「あ、蹴ったわ」

「おお!元気だなぁ」


 この世界は医療が発達していないので(ヒーラー、治癒術師はいる)、妊娠何か月目かはわからないけど、たぶん4か月くらいだと思う。


 ちなみに、芽衣はもっと前に大きくなっていて、たぶん6か月目くらいじゃないかな?

 芽衣と葵の子供のほうがお姉ちゃんになるね。


 それにしても日々大きくなるお腹を見ると何だか感慨深いものが。


「私たちが親になるのかぁ。まだ想像つかないや」

「正直、不安ね。もちろん子供が生まれるのは嬉しいけど、まだ慣れていない異世界で本当にちゃんと育てられるのか。そもそも健康な子を産めるのか。今後どうなっていくのか怖いわ」


 夕陽は最近よく不安を口にする。

 そりゃそうだろう。慣れない世界で、日々変わっていく体。ちゃんと出産できるのか、出来たとしてそれからどうなっていくのか。

 楽天的に考えるほうが難しいと思う。


 だからこそ私がドンと構えてないといけない。

 少しでも夕陽の不安を払拭できるように明るく振舞おう。


「大丈夫だよ!私と夕陽の子供だよ?絶対元気!間違いなし!それにスイナさんも何度も出産に立ち会っているみたいだし。生まれるのが待ち遠しいなー」

「…そうね。きっとかわいい子が生まれるわ」


 夕陽が自分のお腹を撫でる。

 優しげな表情。お母さん感が出てきたような気がする。


 話しがひと段落したところで着替えて朝食を食べに行く。

 途中で芽衣&葵と合流して、4人で席に着く。

 

 さて、そのほかに夕陽が変わったことがもう一つある。

 それは食欲。以前よりも明らかに多く食べているのだ。

 朝食はバイキング形式なのだけれど、夕陽と芽衣のお皿は山もり。


 特に芽衣。


「芽衣はいつも通りだけど、夕陽まで食べる量が多くなるのは意外だね」

「そうね。食欲が止まらないわ。いくら食べてもお腹いっぱいにはならないの。こんなの初めてよ」

「私だっていつもはこんなに食べないよ!?ただ、赤ちゃんの分まで食べようと思って~!」

「あまり食べすぎても良くない」

「そうなの葵?」

「私の妹が生まれるとき、お母さんが食べすぎでお医者さんに怒られたって言ってた」

「へえ~。赤ちゃんの分までいっぱい食べたほうがいいと思ってたよ」

「私も。二人前食べたほうがいいと思っていたわ。少し控えるようにするわね」

「わ、私は食べ過ぎた分はスキルでHPとMPに変換されるから!大丈夫!」



 芽衣は最近2人前も余裕。下手したら4人分は食べるときもある。その食欲は留まることを知らず。この前ステータスを見たらHPとMPが滅茶苦茶増えていた。それだけ食べ過ぎているってことだよ芽衣…


「芽衣は美味しそうに食べるから好き」

「えへへ。ありがとう~」

「はいそこイチャイチャしない!」

「今日はどう過ごすの?」

「温泉入って、ご飯食べて、温泉入って、ご飯食べて寝る」

「いつも通りね」

「最近動き回りすぎていたからね。夕陽と芽衣に何かあったら大変だし。それともどこか行きたいところある?」

「そろそろお腹周りが気になるから妊婦用の服が欲しいわね」

「あ、そだね。じゃあ芽衣が買いに行ったお店に行こうか」

「賛成~。私ももう一着欲しかったとこだから」


 午後に向かうことになったので午前中はのんびり過ごす。

 そして午後。


「このワンピース良いわね」

「ゆったりしてていいんじゃない?」

「葵ちゃん何色がいいと思う?」

「青」

「じゃあこれかな?」

「いい」


 お互い良い買い物をしてお店を出る。


「確かにお腹が大きくなったら制服着れなくなるよね。盲点だったよ」

「子供を産んだ後に制服を着たらコスプレになるのかしら?」

「いやいや。制服は私たちのアイデンティティなわけじゃん?今は非常事態だから私服だけど、子供を産んだらまた制服女子高生に逆戻りしないと」

「心は常にJK」

「葵いいこと言った!」


 私たちの制服可愛いし。


 そんな感じでまったり過ごすこと更に数か月。

 突然それは始まった。


 早朝。

 葵が部屋に飛び込んでくる。

 珍しく葵が焦った表情をしている。


「どしたの葵?」

「芽衣が!芽衣が急に痛がって倒れちゃった!」

「「!!」」

「ど、どうしよう!」

「葵は芽衣のそばにいてあげて!私はスイナさん呼んでくる!」

「わかった!」

「夕陽も芽衣のところに行ってあげて」

「ええ」


 部屋を急いで飛び出してスイナさんを探す。

 予想通りロビーに居た。アイちゃんと一緒だ。

 よっぽど私の顔が焦っていたのか二人とも驚いた顔をしてこちらを見る。


「どうしたのじゃ朝日」

「芽衣が!痛がって動けないそうで!」

「陣痛が来たか。アイ!タオルとバスタオルをたくさん持って芽衣の部屋まで来とくれ!」

「わかりました!」

「行くぞ朝日」

「はい!」


 部屋に向かう途中でスイナさんに忠告される。


「今からそんな調子では持たんぞ。長いときは1日がかりで生まれることもあるのじゃ。冷静にの」

「わかりました」


 うん。さっきまで凄く焦ってた。こんなんじゃ芽衣を不安にさせてしまうだけだ。私がしっかりしないと。


 芽衣の部屋に入り状況を確認する。芽衣は布団の上で仰向けになって寝ている。顔は思ったよりも痛そうじゃない。


「ああ、起き上がらんでいい。そこで寝ておれ。具合はどうじゃ?」

「さっきまで痛かったんですけど、今は収まりました」

「そうか。徐々に間隔が短くなっていくからのう。リラックスして、水分をよく取るんじゃ」

「はい」

「タオル持ってきました!」


 アイちゃんが大量のタオルとバスタオルを持って部屋に入ってくる。


「ご苦労じゃ。もう破水しておるからシーツを取り換えて、バスタオルもお尻に敷いてやってくれ」

「わかりました!」

「芽衣。ご飯は食べれそうか?」

「はい。大丈夫です」

「今のうちに食べて体力をつけておくんじゃ。今持ってくるから待っておれ。行くぞアイ」

「はい!芽衣さん!頑張ってください!」


 スイナさんとアイちゃんが朝食を取りに部屋を出る。


 私は入れ違いで芽衣の近くまで行き手を握る。


「芽衣。遂に生まれるんだね」

「うん。元気な子が生まれるといいな~」

「きっと元気な子だよ」

「うん」

「芽衣。頑張って」

「うん」


 それから朝食をしっかり食べて、汗をタオルで拭く。

 ドラマとかでは痛がったらすぐに出産してたのに、長期戦なんだ。


 それからお昼を過ぎたころ。

 芽衣が痛がる。


「いたたた!!」

「芽衣ガンバ!」

「生まれる!?生まれるのね!?」

「芽衣…!」

「葵はしっかり手を掴んでおれ。芽衣、足をもう少し曲げるのじゃ。そうそう。お腹を見ながら息を止めるんじゃないぞ。しっかり深呼吸するんじゃ」

「ラマーーーズ!ラマーズ法!」

「ひっひっふーよ。芽衣」

「ひーひーふー。ひーひーふー!」

「あわわわ!どうすれば…!」

「アイはお湯とタオルを持って待機じゃ!」

「はひ!」


 うおおおおお!!緊張するーーー!

 ついに赤ちゃんの頭が!


「生まれるーー!!」

「もうちょっとだよ芽衣!」

「いきんで芽衣!」

「うう…!」

「ぎゃあああ!生まれる!」

「紛らわしい声を出すな朝日!」

「すいません!」

「あと少し!」




 おぎゃああああ!!!ああああ!!!




 赤ちゃんが産声を上げる。生まれた!生まれましたよ!

 スイナさんが手早く赤ちゃんの体をバスタオルで包んで拭いてあげる。

 そして疲労困憊の芽衣に赤ちゃんを抱かせる。


 赤ちゃんが芽衣に抱きかかえられて泣いている。

 めっちゃ可愛い!手が小さい!指もちっこい!


「めんこいのう」

「可愛いですねぇ」

「この子が私と葵ちゃんの赤ちゃん…」

「可愛い」

「名前は決めているの?」

「「メアちゃん」」

「どんな由来?」

「芽衣と私の頭文字」


 芽衣のメと葵のアでメアね。

 いいんじゃないでしょうか!


「どっちの姓を名乗るのかな?」

「普通夫の姓よね」

「ってことは、橘メアか」

「私夫?」

「まぁ攻めが夫なんじゃない?」

「葵ちゃんの姓でいいよ」

「今日からこの子の名前は橘メア!」

「おぎゃあ!」


 こうして芽衣と葵の子供は生まれた。

 次は私たちの番!


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ポンコツお姫様姉妹と巡る異世界譚
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