氷上ワカサギ釣り対決第一弾!
「第一回!ワカサギ釣り大会開催しまーす!」
「「「「「「「わー!(ぱちぱち)」」」」」」」
「実況はわたくし、最近悪神と顔が似ていてツライ星宮朝日と」
「新米魔王ミユがお送りするの」
「「「「「「「わー!(ぱちぱち)」」」」」」」
「はい、それでは両チームの選手紹介をします。赤チームリーダー、変幻自在の二刀流。私の嫁!小黒夕陽~!」
「朝日の嫁…えへへ」
「はい。続きまして、チームの司令塔。ロリ可愛い楠葵~」
「ロリじゃないし」
「最後!チームの癒し!おっぱい芽衣~」
「天木ね!天木芽衣!」
「次は白チームの紹介なの。白チームリーダー。温泉勇者スイナ」
「よろしくの」
「メデューサ三姉妹長女、お色気担当のエレーアお姉ちゃん」
「若い男、どこかにいないかしらぁ?」
「次女、まさかの脳筋。スノーお姉ちゃん」
「ちょっとミユ!?そんな言葉どこで覚えたの!?」
「そしてなんと応援にペンギンズが駆けつけてくれてまーす」
「「「「「ペン!」」」」」
「今日はここ、氷の湖でワカサギ釣り対決をします。制限時間の2時間でより多く釣ったチームの勝利!負けたチームには本日の夕食の調理を担当してもらうので頑張ってくださいねー」
「「「「「「「はーい」」」」」」」
はい。というわけでね、氷の湖に遊びに来ましたよ。
温泉が湧きあがるまで暇だからね。予定ではもうすぐ発見できる手筈なんだけど。
悪神?使徒?そんなのはどうにもならないし。
気にするだけムダムダ。
今を楽しく生きるんだよ!
さて、いつか遊びにこようと思っていた氷の湖でワカサギ釣りをしに来たんだけど、せっかくだから対決したほうが盛り上がるよね!?ってことで急遽行うことになったこの対決。
ただ、ミユちゃんが釣りをしてしまうと湖にいる余計なもの(水生の魔物)も出てきちゃいそうなので私と一緒に実況を担当してもらうことにした。
それで肝心の釣り道具なのだけれど、なんと釣り竿は夕陽の武器生成で作れた。
…まあね!釣りってお魚との高度な駆け引きを擁する戦いだから!釣り竿は漁師の武器だから!
「ミユさん。どちらが有利でしょうかね?」
「うーん。私は白チームが有利だと思うの」
「ほほう。それはなぜ?」
「スイナは温泉がどこを掘れば湧き出るか正確にわかるの。それを応用していっぱい連れるところを探すことが出来ると思うの!!」
「成程!スイナ選手はスキル【直感】のレベル5を持っていますからね。釣りポイントを見つけるのはお手の物かもしれませんねー」
「アサヒはどっちが勝つと思うの?」
「私も白チームだね!」
「なんでなの?」
「赤チームには夕陽がいるから!負けてもらって夕食は夕陽の手料理が食べたーい!」
「…勝つ理由になってないの。アサヒはダメダメなの」
「う…さぁ、ではそろそろ始めましょうか!」
「逃げたの」
「最初は場所選び!たくさん釣れそうなポイントを予想して氷に穴を開けてください!」
~赤チーム~
「夕陽。どこがいい?」
「そうね。思うに、どこも同じなのではないかしら」
「…」
「所詮私たちはワカサギ釣りの素人よ。だから、変に考えても仕方ないと私は思うわけ」
「ほう」
「だから、ここは単純に私たちの中で一番運がいい芽衣に決めてもらうわ」
「…え?私?」
「そうよ。どこでもいいからぱっぱと決めちゃって」
「え?責任重大過ぎるよ~」
「大丈夫。一匹も釣れなくても芽衣を責めたりしないわ」
「うん」
「う~ん…わかった!じゃあ…ここ!」
「よし!じゃあ穴開けるわよ。葵お願い」
「ん」
「早速始めるわよ!」
「「おー!!」」
「おっと、早くも赤チームは釣る準備が整ったようですね!」
「まだ白チームは場所選びの最中なの」
「この決断力の速さが吉と出るか凶と出るか!」
~白チーム~
「ちょっと勇者!大丈夫なの!?あっちはもう釣り始めているわよ!」
「早く決めちゃってよぉ」
「ええい!そう急かすな!あたしの勘が鈍るじゃろうが!!」
「だってぇ」
「ちょっと慎重すぎるんじゃない?」
「まったく堪え性のない…ッむむ!!この下にたくさんいるとあたしの直感が囁いているぞ!」
「「おお!!」」
「早速準備じゃ。【掘削】!」
「ここでようやく白チームもポイントを見つけたようです!あれは…スイナ選手のスキル【掘削】ですね。どうやら手をかざすだけで綺麗に穴を開けることが出来るようです!便利だね~」
「スイナは穴掘り名人なの。あれくらいおちゃのこさいさいなの」
「これで両チーム準備万端。どちらが先に釣れるのか!最初の主導権を握るのはどちらか!見物ですね」
「どっちも頑張れ!なの!」
ちなみにエサは私たちが虫を触れないので、夕陽に餌を作ってもらった。赤い粘土のようなもので、丸くこねこねして針に付けるだけでいいみたい。
「原料何ー?」と聞くと「…知りたいの?」となぜか黒い笑みを浮かべたので怖くて聞けなかった。
また、釣り針は5本。つまり最大で一度に5匹釣ることが出来る為、大逆転も可能だね。
「わ、わ!動いた!」
「芽衣!持ち上げて持ち上げて!」
「えい!わ!釣れた!!」
「おっとぉ!芽衣選手が初フィッーーシュ!赤チーム1点ゲット!」
「メイの運がいいのは本当だったの」
「全員坊主にならないか心配でしたがどうやら杞憂だったようだー!白チームはどうだ!?」
「来たのじゃ!!」
「なんと!スイナ選手にもヒット!しかも2匹同時の離れ業だ~!」
「すぐに逆転したの!」
「これで点数は1対2!しかし勝負はまだ始まったばかりです。お互いこれからどうなるのかは全く予想がつきません」
尚、釣った魚は私とミユちゃんで美味しく食べられるように準備することになっている。
具体的に何をするのかというと…まず釣ったワカサギは水を入れたバケツで泳がせておく。
すると、食べたエサやフンを出す。これで体の中がきれいになるのだ!この手間をかけたほうが、気分的にも味的にも美味しくなるのだとか。
そのまま素焼きにして食べるって意見もあったんだけど、エサを食べたままのワカサギを食べるのってちょっと嫌じゃない?ともっともな意見が多数あったので、ワカサギ釣り経験がある夕陽にこの方法を教えてもらった。
私とミユちゃんは釣った魚を受け取ってそれぞれ赤チーム・白チームと書かれたバケツにワカサギを放り込む。しばらくしたら水が汚くなるらしいので、その時の取り換えも私とミユちゃんの仕事だ。
2チームがちょっと離れているのであっちへこっちへワカサギを取りにいく。
私とミユちゃんの横をぺちぺちとペンギンが追走しているのがかわいい。
「!来たわぁ」
「ちょっと!私も来たわよ!」
「エレーアさんとスノーさんも連続ヒットだ~!これで一気に2ポイント!白チームが突き放しにかかる!!」
「私また釣れました~」
「私も釣れたわ!」
「メイがまた釣ったの。夕陽も1匹釣って合計2ポイントなの」
「これで3対4!面白くなってきました!」
意外にも接戦!これは最後までドラマがあるかもしれない。
「…釣れないんだけど」
「おっとぉ!葵選手が不貞腐れているー!自分だけまだ釣れていないのは精神的にクルものがあるのでしょうか」
「かわいそうなの」
「葵、手首で釣り竿をくいくい動かすのよ。ワカサギを動きで誘うの。そうすればきっと食いついてくれるわ」
「……こう?」
「そうそう。私と芽衣が釣れたってことは、まだこの近くを泳いでいるはずよ」
「葵ちゃんならすぐ釣れるよ~」
「うん。頑張る」
「………」
「………」
「………」
「芽衣。釣り竿ぴくぴくしてるけど」
「う、うん?そうかなぁ?」
「私のことは気にしないで」
「つ、釣れました~」
「芽衣選手またまたヒットー!これで4対4!勝負は振り出しだー!しかし、赤チームの空気が何やら不穏に!片や爆釣!片や坊主!これはお互い気まずいぞー!」
「釣りの恐ろしいところなの。これがあるから釣りは一人で気ままに楽しむべきなの」
「ミユちゃん!そんな企画を否定するような発言は控えて!」
「何やらあっちのチームは仲違いしておるようじゃ!今がチャンスじゃ!」
「「そうね!」」
その後お互い2匹ずつ引き上げ(※葵は釣ってない)、釣れない時間帯へ。
「ふむ。どうやら移動したほうが良さそうじゃ」
「そうかしらぁ?」
「ちょっと気が早いんじゃないの?」
「これ以上ここで粘ってもいいことが無いような気がするのじゃ」
「今日は勇者の直感に賭けるって決めたからねぇ。スノー」
「そうねエレーア。ここは勇者を信じよう」
「うむ!こっちじゃ!」
「…………………………」
「ば、場所が悪いわね!そろそろ移動しましょう!」
「そうだよ!この付近のワカサギはもう絶滅したんだよきっと!」
「………………………うん」
「行こう!次はきっとたくさん釣れるよ!」
「ん」
「ここで白チームは場所を変えるようですねー。おや?赤チームもどうやら移動するようです。残り時間はちょうど半分。次の移動先が決戦の場となりそうですね。ミユちゃん」
「この移動が勝負を分けるの。慎重に決めて欲しいの」
スイナさんと芽衣を筆頭に次なるポイントを集中して探している。
そして…
「「ここ(じゃ)!!」」
「「!?」」
「なんとぉ!両者同じ場所を指定!お互い地面を見ていたため気づかなかったが、どうやら最後はお隣どうしで釣り合いになる模様!これは熱い!」
「実況もしやすくなるしちょうどいいの」
「最終決戦の地が決まったところで再開していただきましょう!ただいま6対6のイーブンです!」
「負けんぞ」
「頑張ります!」
「一匹でいい…一匹だけで…」
「葵…」
再び氷に穴を開けて釣り再開。
お互い向かい合う形で座っている(合コンみたいに)。
「葵が釣れていないという話じゃったが…」
「…」
「葵ちゃんはやればできる子なんです!」
「そうよ!きっと今日は運勢が最悪なだけだわ!」
「…」
「葵って子かわいそうねぇ。スノー」
「そうねエレーア。ちょっとどうにかならないかしら」
葵への精神攻撃がひどい。
葵が無の顔になっている。
来る途中。初の釣りだからか、無表情ながらもどこかウキウキしいていたあの葵はどこに行ってしまったのか。
「ネットで見たことあるけど多いときは300匹以上釣れることもあるらしい」と珍しく長台詞を言っていた葵。
今やいつも以上に無言。
だが天は彼女を見放さなかった。葵の釣り竿が動く!
「!!」
「葵ちゃん!来たよ!」
「やったわ!引き上げるのよ!」
「(コクコク)!」
ざばっ!勢いよく釣竿を湖から引き上げる。
エサだけ無くなっていた。
「「「「「「……」」」」」」
これには一同無言。
こんなのってないよ。
「アオイ!元気出すの!まだ時間はあるの!」
「そうそう!反応あったってことはまだチャンスあるよ!」
敵味方関係ないみんなからの熱い応援。
それに対する葵の反応は…
「こういうのが一番つらい」
ですよねー。でも言わずにはいられない。
「あ、釣れた」
「あたしもじゃ」
「私も釣れたわ」
「「私たちも」」
もうやめて!葵のライフはゼロよ!
だが流石芽衣とスイナさんが選んだ釣り場。
続々とみんなが釣りあげる中、ついに葵にもチャンスが!
「!!」
「葵ちゃん!」
バッ!
そこには小さなワカサギが3匹!
「葵ちゃん!」
「葵!」
「芽衣!夕陽!」
抱きっ!
あの葵が軽く涙目になっている。よかったよ~。
氷の上をぴちぴち跳ねているワカサギを私とミユちゃんで回収する。
「葵の感動的なフィッシュで30体26の大幅リード!これは勝負あったか!?」
「残り時間はあと5分なの」
もう葵の優勝でもいい気がするけど、勝負は勝負。
「スノー。あれをやるわぁ」
「え…ちょっとドン引きされると思うわ。エレーア」
「勝つほうが大事よぉ!私たち料理なんてできないんだからぁ」
え…?お姉さんたち料理できないの?どうやって生活してたの!?
エレーアさんが釣り竿を置く。あ、使わないんだ。
それから信じられない行動に出る。
エレーアさんが氷の穴に顔を突っ込む!
「な、何をしておるのじゃ!」
「うわあ…冷たそう…」
「冷たいより痛そう」
「あんなことしてどうなるのかしら?」
「やっぱりちょっと引かれてるわ!」
あそこからどうするのか?と考えているとバケツにいつの間にか大量のワカサギが!
どんどん増えていく。
「な、何が起こっているのでしょうかっ!エレーア選手が氷に顔を突っ込んだと思ったその時!白チームのバケツに突如大量のワカサギが出現したぞー!ミユちゃんに解説していただきましょう!」
「エレーアお姉ちゃんは転移の魔眼を使うことが出来るの。能力は視た相手を転移させる。視えてさえいれば離れていても相手を転移させることが出来るの。私も温泉旅館に行きたいときはエレーアお姉ちゃんに魔眼で送ってもらっていたの」
「成程!エレーア選手は直接ワカサギを視るため、湖に顔を突っ込んだわけですね!」
葵も転移の魔法を使えるけれど、それぞれ長所と短所があるかな。
葵の転移
・近くに居る相手を転移できる
・自分も転移できる
・遠くにいる相手には使用できない
エレーアさんの転移
・視た相手を転移できる(距離は関係ない?)
・自分は転移できない
こんなところ?
この条件からもわかる通り、葵は同じ方法を使用できない。
つまり、勝負あったかな。
「試合終了~!結果は赤チーム36匹。白チームたくさん!で白チームの勝ちー!」
「わーい!なの!」
「水が透明で助かったわぁ」
「「「ブーブー!!」」」
「勝ちは勝ちじゃ!」
「ちょっと納得いってないみたいね」
そりゃ釣りしてたのに最後あんなことをされたら怒るよ!
「でも、みんな釣れてよかったよかった!」
「そうよ。勝負には負けたけど内容的には勝っていたわ」
「葵ちゃんが釣った時感動したよ~」
「よかった…!」
うんうん。それからペンギンズと手を振ってお別れし、帰り道で夕食の相談をしながら宮殿に戻った。
結局ワカサギの天ぷらにしようという話に。やっぱり自分で釣った魚は美味しいんだろうね!
私は釣ってないけどね!




