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JK4人の異世界暮らし!  作者: 綿あめ真
北の魔眼の王と温泉勇者
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黙っていてごめんなさいなの

 魔王城への旅二日目。

 氷の湖から再スタート。

 私は昨日と同じ車に変身しておく。


「この湖を車で突っ切るのかしら」

『そうだよ。乗って乗って』

「次はあたしの運転の番じゃったな」

「スイナさんは常識ありますよね?安心してもいいですよね?」

「はっはっは!大丈夫じゃ!」

「結構魔物も歩いてる」

「氷の熊とかトドみたいのもいるわね」

「避けながら通るから大丈夫じゃよ」

『食用に何頭か倒したいね』

「そうね。せっかく遠出したのだから、そこにしかないものを食べたいわ」

『何その旅行者が言いそうなセリフ』


 みんな私に乗り込んだので出発する。


「出発進行!なの!」

「氷でスリップしないように気を付けてくださいね」

「うむ。最初は慎重に行こう!」


 意外にも慎重なスイナさん。

 ゆっくり走っているので熊が近くまで寄ってくるが、こちらにお辞儀をして去っていく。

 たぶんミユちゃん(魔王様)が乗っているからだろうね。


「なんじゃ?あの熊挨拶してきよったぞ」

「いいクマさんなの」

「よく見ると可愛い~」

「食べるために倒そうとしたけど、かわいそうになってくるわね」

『そんなこと言ったら何も食べられなくなっちゃうよ』

「攻撃的なら倒しても罪悪感が無いんだけどね」

「弱肉強食」


 芽衣と夕陽があんまり乗り気じゃないみたいだし、狩るのはミユちゃんが居ない時にしようか。

 そしてスイナさんが運転に慣れてきたころ、芽衣が何かを見つけた。


「あ!あれ!」

「ん?」

「あれは…ペンギンね」


 前方左側に数匹のペンギンがぺちぺち歩いていた。


『かわいいね』

「スイナさん!もっと近づいてください!」

「わかったぞ。ちょっと近寄ってみるかの」


 スイナさんがゆっくりと近づいていくが、途中でこちらに気付いてしまう。

 一瞬逃げるそぶりを見せたペンギンズだが、何かに気づいたようでこちらに近づいてくる。


「うわ!うわ!こっち来た!」

「5匹いるわね」

「写真!写真撮ろうよ!」

「車降りよう」


 車を止めて変身を解除する。よちよち5匹が寄って来て、ミユちゃんの周りに集まり、ミユちゃんがペンギンたちの頭を撫でる。


「可愛いの」

「いいな~ミユちゃん」

「ミユちゃん!こっち向いて!写真撮るから!」

「はいなの」

「いいねー!かわいいよ~」


 パシャパシャ。

 あ、スマホで撮ってます。


「ペンギンはミユちゃんのことが気に入ったのかの?」

「どことなくペンギンに似ている」

「ミユちゃん!ペンギンの真似して~」

「ぺんぺん」


 ミユちゃんが両手首を直角に曲げてよちよち歩いている。

 か、かわいい!

 パシャパシャ。


 数十分後、ようやく満足したのでドライブに戻る。


「満喫した~」

『可愛かったね!』

「連れて帰りたい」

「温泉でも生きていけるのかの?じゃったら帰りにつれて帰りたいが」

「温帯ペンギンもいるけど、さっきのペンギンはダメだと思う」

「ふむ。そうか。残念じゃの」


 そもそも魔物ですよスイナさん!ミユちゃんが近くにいたから甘えん坊になっていただけで!


 ペンギンとシロクマを何度か目撃した後、氷の湖を通過。

 それから雪が降る雪原に入るが、特に何もないので歌唱コンテストを開催しつつ走り続けること数時間。ついに城が見えてきた。

 正確にはあれは城じゃなくて宮殿かな?

 例の如く、日本に居た頃テレビで見たことがある宮殿だった。これもユリレーズ様が作ったのだろう。


 白と青の鮮やかなコントラスト。ロココ様式で有名なロシアのエカテリーナ宮殿だ。


「ついに来たのじゃな…魔王城に…」

「あれなんて名前の宮殿だっけ?」

「エカテリーナ宮殿」

「そう!それ!」

「聞いたことないわね」

「え?夕陽ちゃん知らないの?ロシアの世界遺産だよ~!」

「そうなの?とてもきれいな宮殿ね」

『魔王城ならぬ魔王宮殿だね!』

「お主ら暢気すぎないか?これから魔王に会いに行くのじゃぞ…」

「アサヒたちはこのお城を知っているの?」

「うん。私たちの世界のお城を、転生させてくれた女神様が魔王城として作ったみたいなんだよね」

「そうだったの。お母さんそんなこと一言も言ってなかったの」

「待て待て。お主らを転生させた女神様が魔王城を作ったじゃと!?一体どういうことじゃ!?」

『それはですね…あ、宮殿から誰か出てきたよ!』


 スイナさんの質問に答える前に2人の女性が宮殿から飛び出してきた。

 髪はミユちゃんと同じで超ロング。

 おっぱいがバインバインで2人とも大人のお姉さんな雰囲気で色気が凄い。


「ちょっとちょっとナニコレ?鉄の塊が走ってきたわよエレーア」

「ミユがまた街に行ったと思ったら、久しぶりに刺激的な何かが来たわねスノー」


 興味津々で私の体を凝視してくる2人のお姉さん。若干照れる。


 ズバッ!とスイナさんが飛び出しお姉さんたちをビシッと指さす!


「お主たちが魔王か!あたしは勇者スイナ!お前たちを倒して街の平和を守るために来たのじゃ!」

「「勇者!?」」


「(ちょっとどうするのよエレーア。私たちは魔王じゃないんだけど)」

「(魔王のミユはいないし…でもあの子戦う気満々よスノー。私たちだけで何とかなるのかしらぁ)」


 三人が向かい合う中、さらに車からミユちゃんが飛び出し、私も変身を解除し4人で後ろに待機する。


「「ミユ!?」」

「お主ら!ミユを知っておるのか?」

「え、ええ。だってミユは私たちの…」

「お姉ちゃんたちが魔王なの!私たちが倒しに来たの!」

「「ええ!?」」

「(ちょっとちょっとどういうこと?ミユが私たちのこと魔王とか言い出したわよエレーア)」

「(あの勇者はミユが魔王だと知らないみたいよスノー。ここは乗ったほうがいいのかしらぁ)」

「(というか、あっち6人とかちょっと多くない?ズルくない?)」

「(正義面して平気で数の暴力を行うのが人間よぉ。私たち魔物は勇気と根性で何とかするしかないの)」

「(やるしかないのね)」

「(えぇ)」

 

 お姉さんたちは困惑しているようだけど、どうやら私たちにとっていい方向に解釈してくれたようだ。


「そう!私の名前はエレーア!北のエリアを管轄している魔王よぉ!」

「同じく魔王のスノーよ!そこにいるミユは…そう!私たちのちょっとしたライバル的存在よ!」

「そうじゃったのか!」

「何度も戦いを挑んだの!でも今日は負けないの!」


 ミユちゃんはスイナさんの100倍演技上手いね。


「それで?後ろにいる4人は誰なのかしらぁ?ちょっと自己紹介してくれる?」

「生足でちょっと寒そうね」

「お気遣いありがとうございます。寒いけど慣れました!朝日です!」

「寒いけど、手とか首のほうが寒いわね。夕陽です」

「ぶっちゃけ寒い。タイツ欲しい。葵」

「寒くないです!芽衣です!」

「生足の感想を全員に聞いたわけじゃないんだけどぉ!あなたたちは何者?って聞いてるのよぉ」

「えーと…スイナさんとミユさんの助っ人です!」

「助っ人ね。ちょっとよくわからないけど…」

「それで、一応聞いておくが、最近魔物が増えておる原因はお主らで間違いないな?」

「「え?」」

「魔物が日に日に増えて、しかも凶暴になっておるのじゃ。お主らの仕業じゃろう?」

「ちょっとわからないわね」

「たぶんあの子がここをずっと離れているせいよぉ。お母さまが存命の時はそんな事一切なかったもの」

「あの子じゃと?」

「えーと、私たちは3姉妹なのだけど、そのうちの一人が最近ちょっと家を空け気味で…多分そのせいね」

「ではその子を呼んできてくれ」

「いやー…今はちょっと…ねえ?」

「そうねえ。呼べないというかなんというかぁ」


 スイナさんの横でダラダラ汗を流している女の子がそうですからね。


「今はいないということじゃな。しかしその子と話をせんと解決しない…困ったのう」


 ミユちゃんの予定ではスイナさんとお姉さんが戦っている間に大量の魔物を押し寄せさせる作戦だったけど、どうやら帰ってこないミユちゃんを待つ方向に話が進んでしまっているみたいだ。もういっそミユちゃんのことをばらさないと話が進みそうもない。


「(ミユちゃん!もう白状しないと)」

「(うう…)」

「ん?どうしたのじゃミユ」

「…スイナはあのお姉ちゃんたちを見てどう思ったの?」

「ん?思ったより人間に近いのう。もっと凶悪な姿を想像しておったわ」

「怖くない?」

「そうじゃのう。特には」

「温泉に入って来ても怒らない?」

「いや、それは困るが」

「やっぱりなの!!」


 ミユちゃんがガーン!とショックを受けている。

 いやいや聞き方の問題だと思うけど。ここはフォローしなければ!


「スイナさん?魔王だからそう思うだけで、何も知らなかったらお客様として招待しますよね?」

「…そうじゃな。全く気付かんじゃろうな」

「若干違う話になりますけど、仮に私たち4人が実は魔王でした!って告白したら、宿から追い出しますか?」

「ムウ…それは…しない。お主たちのことはよく知っておるつもりじゃ。たとえ魔王でも、問答無用で追い出したりはせん」

「それを聞いて安心しました。ミユちゃん。今のスイナさんの言葉、聞いたよね」

「うん。なの」

「なんじゃミユ。今の話で何かあるのか?」

「…………私が本当の魔王なの」

「え?」

「家を開けっぱなしにしている魔王って私のことなの!!」

「な、なんじゃってーーーーーー!!!」


 スイナさんが両手を上げて驚いている。ぶっちゃけ昭和くさい。


「それは本当の話なのか?」

「そうなの!」

「本当よぉ。お母さまの【魔眼】を受け継いだのは私たち姉妹の中でミユだけよぉ」

「ミユが一番お母さんに似ていたからな!お姉ちゃんとしてはちょっと悔しいけど、ミユが立派な魔王後継者だ!」

「どうして今まで黙っておったのじゃ」

「だって言ったら温泉に入れなくなると思ったの」

「…温泉に入れないと思ったのじゃったら確かに言えないの」

「そうなの」

「安心せい。出禁にはせんからの」

「本当?」

「ああ、じゃが、魔物が増えておる理由を説明しておくれ」




 ~ミユちゃん説明中~




「なるほどの。この宮殿に居らんと魔物の制御は出来ない。じゃが、ミユは何もないこの宮殿にいるのは退屈じゃからあたしの宿まで来ておると」

「何もないわけじゃないのよぉ?絵画の間とか、金ぴかの間とかたくさんのお部屋があるのよぉ?それにほら、噴水だってあるし」

「飽きたの。温泉のほうがいいの」

「隣の芝生は青く見えるってやつだね」

「…なるほどのう。話は分かったぞ!それならあたしにいい考えがある!」

「なんですか?スイナさん?」

「この近くで温泉を掘り起こすのじじゃ!」


「「「「「な、なんだってーーー!!!」」」」」


 次回、温泉勇者の本領発揮!


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