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JK4人の異世界暮らし!  作者: 綿あめ真
北の魔眼の王と温泉勇者
39/100

私の知ってるダンジョンの進み方じゃないんですけど!

 ルコアさんから結婚指輪を作るためにブリリアントストーンをダンジョンで入手してきて欲しいと言われ、私と葵は現在ドラゴン山の麓にいる。


 どうやらドラゴン山の中腹に洞窟型のダンジョンがあるようだからだ。

 そのダンジョン中層辺りに出現するストーンゴーレムの希少種を倒すと、お腹部分からブリリアントストーンが取れるらしい。


 かなりレアなモンスターだけど、私の運の高さなら見つけられるのではないかとのことだ。

 通常のストーンゴーレムと違い、光り輝いているので見ればわかるみたい。


 葵の探知で洞窟の入り口まで転移し、洞窟を眺める。


「これ」

「うっし。初ダンジョン行ってみよー」

「おー」


 いざ冒険の旅へ!

 ワクワクしながら洞窟に一歩足を踏み入れると即葵に転移させられた。

 へ?目の前には下に続く階段がある。

 後ろにいる葵にワクワクの顔そのままで振り向き尋ねる。


「葵さん?これはどういうことなのかな?」

「地下に行く階段」

「…1階は?」

「探知でマッピング済み。目的のモンスターはいないから先に進む」

「…」


 …オーケー。思い出した。

 葵の探知はエリアに一歩でも入ると、そのエリアの全容がマッピングされて、正確な地図として認識できるんだったね。


 つまり、ドキドキしながらダンジョンの中を進んだり、モンスターだらけのトラップ部屋に入って超ピンチ!とか、宝箱を偶然見つけちゃう!

…みたいな展開はこの先一切ないんですね分かります。


「もうちょっと冒険しない?」

「時間が勿体ない」


 ですよねー。

 それから中層と思われる地下10階まで到達するのに掛かった時間は僅か1分。

 カップ麺もまだ固いくらい早いよ葵。


「ここにいる?」

「いる。ついて来て」


 それから迷うことなくスタスタ歩く葵についていく私。

 途中襲ってくる機械兵っぽい敵とか、飛行型の蝙蝠っぽいモンスターは葵に召喚された白虎に吹き飛ばされ、白虎の猛攻を掻い潜って襲ってくる猛者は私の重力魔法で圧殺していくので正直止まって戦うほどの脅威ではない。


 ストーンゴーレムのいる位置まで転移で移動しないのは、私の意見を葵が若干考慮してくれたおかげなのだろうけど。

 うーん。私の知ってるダンジョン攻略じゃない…

 それから何回目かの曲道の先にストーンゴーレムがいた。

 高さはざっと私の3倍くらいある。合計3体いて、石の剣や棍棒など、一体一体持っている武器が違う。

 …お目当てのレアモンスターではないね。


「いたけど、ハズレだね」

「この先にもいるし、もしかしたら下の階層にもいるかも」

「そうだね。サクッと次行こうか」

「ん」


 葵がゴーレムの足元に空間魔法の穴を開ける。その穴にストンと3体とも入り、穴が閉じていく。


「どこに行ったの?」

「さあ?」


 こわ!!

 それからもう少し進んだところにもストーンゴーレムがいたけど、レアモンスターではなかった。

 葵の謎空間に収納してから下の階も探索してみる。


 それからエンカウントすること3回。ついに光り輝くストーンゴーレムを発見した!


「キタ」

「お腹から取れるらしいから、なるべくお腹は傷つけたくないね」

「私がやる」

「任せた!」


 私の重力魔法だと傷つけそうだしね。


 葵が結界魔法の結界をゴーレムに(・・・・)使う。ただし、首から上だけを守る結界だ。


 するとどうなるか…結界に触れた首は切断。

 首から下はドシーンと前のめりに倒れて、結界の中にある首から上はそのまま空中に浮いていた。


 …これゴーレムだからまだいいけど、血とか出るモンスターだったり、表情豊かなモンスターだったら恐ろしいことになるよね!?


「上手くいった」

「葵ってえげつないよねー」

「そう?」

「そうそう」


 さて、うつ伏せに倒れているストーンゴーレムを蹴っ飛ばし仰向けにしてから、お腹の中を開いてみる。ぱかっと開く構造になっていて、中には光り輝く宝石が。

 凄い綺麗!


「いいねいいね」

「いいものが作れそう」


 結構な量が収納されていたので、指輪2個どころか100個以上は作れそうだ。


「さて。目的のアイテムは手に入ったし、もう帰る?」

「…この先に人の反応が」

「え?人?」


 ドラゴン山に人が来ることは滅多に無いらしい。入ってもすぐにドラゴンの餌食になるからだ。


 さらに、ここはドラゴン山の中腹。こんなところまで来ることが出来る人間はかなり少ないだろう。

 さらにさらに。ここはダンジョン中層だ。私たちは探知と転移の合わせ技でサクサク進んだけれど、普通そんなレアスキルは持っていない。


 にもかかわらずここに人がいる?一体どんな人間なんだろう。

 とっても気になる…!


「ちょっと見に行こうか」

「いいよ」


 まだ来てから1時間も経ってないからね。多少はね。

 しばらく歩いていくと、大きな門があった。

 如何にもこの先にはボスがいますよ!という重厚な門だ。


 そしてその前でストーンゴーレム(希少種)を仰向けに寝させ、その上で狼を枕にして寝ているちっちゃな魔法使いがいた。

 あれは…勇者と一緒にいたレベル100越えのヤバい幼女だ!



「どうする?声掛ける?」

「…帰ろう」


 まあ、そうだよね。

 しかし、私たちが転移で魔王城まで戻ろうとする直前に、突然ストーンゴーレム(希)がしゃべりだした。


「マスター。起きてくだサイ。マスターと同種族の個体が2体出現しまシタ」


 あれ、ゴーレムって喋れたんだ。

 それに、私たちが結構探したゴーレム(希)を使役している辺りやっぱりヤバい子だ。

 それまで「くかーくかー」と寝ていた幼女がぱちりと目を覚ます。


「……こんなところに人間が来たですか?おもしれーですね」

「ウオン!!」


 完全に見つかってしまい転移するタイミングを逃してしまった。


「おや?よく見れば、私を魔王のところまで転移してくれた子じゃねーですか!もう1人も見覚えがありやがります!」

「人違いですよー」

「です」

「いーや、間違いねーです!確かにあの時のかっこいいサングラスはしていないですが!ちっこいほうは直接触ったからわかるです!」

「お前よりはちっこくない」

「おんなじくらいでーす!!」

「…コロス」

「やるです??」

「まあまあ。サシャちゃんはこんなところまで来てどうしたの?しかも一人で」

「初対面のはずなのに私の名前を知っているのはおかしいです!やっぱりあの時の人たちです!」

「まあまあ。それで?」

「その前におしっこしてきてもいいですか?寝起きなので」

「どうぞどうぞ」


 寝起きはね。仕方ないね。

 仰向けになっているゴーレム(希)のお腹部分にいたサシャちゃんはそのまま顔に移動し、口を跨るように仁王立ちすると、そのままおしっこをし始めた。


 うん。この子ヤバすぎるよ!!クレイジーだよ!!

 そして何事もなかったように話し始めるサシャちゃん。


「ふぅ。それで、ここにいる理由ですね。そんなことは決まっています!あの魔王にリベンジするための武者修行です!」

「え、まだ戦うの」

「当然です!勝つまでやるです!」


 あのルコアさんにボコボコにされたのにもう一回戦おうとするなんて!

 メンタル(強)。


「お前たちはどうしてここまで来たのです?」

「欲しいアイテムがあってね。でも、さっきゲットしたから帰るところだよ」

「そうなのですか。せっかくです!一緒にこの先にいる中ボスと戦いましょう!その後で私とお前たちで戦うです!!」


 この子私の話聞いてなかったのかな!?


「いや、私たち他にもやることがあるから…」

「早速行くです!」

「ホント話を聞いて!?」


 ゴーレムから飛び降りたサシャちゃんはそのまま扉を開けて中に入ってしまう。

 あーもう!!


「どうする?」

「…行こう」

「いいの?葵」

「あの幼女には大人の厳しさを教えないといけない」


 ちっこい言われたの根に持ってるのね。

 サシャと狼、ゴーレム(希)、私と葵の順で扉をくぐる。


 中はかなり広い空間で、中央にストーンゴーレムの5倍はでかいモンスターがいた。

 鑑定で調べるとロックゴーレムというらしい。

 ステータスを見た感じストーンゴーレムの上位互換かな。


「的がでっかくなっただけです」

「サシャちゃんはあのモンスターに勝てるの?」

「あったりまえです!!」

「実力を見せてもらう」

「目の穴かっぽじって、よーく見ているです!」


 上手く乗せることが出来たようだ。ここはサシャちゃんに任せよう。

 

 私たちとロックゴーレムの間にはかなりの距離がある。

 ロックゴーレムがこちらに反応し、ゆっくりと立ち上がる。

 動作がゆったりしてるので戦闘態勢に入るまで猶予はある。


 しかし、既にサシャちゃんは詠唱を終えていた。


「…我が敵を滅せよ!【邪王滅殺獄炎破】!!」


 色々大丈夫かその技名!?


 漆黒の大炎玉は物凄いスピードでロックゴーレムにぶつかり、そのまま炎はロックゴーレムを飲み込んで私たちがいる位置の反対側の壁にぶつかった。


 しばらくして炎が消えると…ロックゴーレムの影絵が壁に張り付いているのみでその存在はもはやこの世界にはない。

 私と芽衣はその威力にドン引きだ。


「どーです?私の凄さがわかりましたか?」

「「すごーい」」

「そうでしょうそうでしょう!さあ!次はお前たちの番です!強いことは知っています!ああなりたくなければ本気を出すことです!」


 ロックゴーレムだった焦げ跡を指さしながら私たちをまっすぐに見つめている。

 



 どうしてこうなったorz


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ポンコツお姫様姉妹と巡る異世界譚
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