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JK4人の異世界暮らし!  作者: 綿あめ真
西の白銀竜王とロリコン勇者
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ようこそキールの街へ!

 いきなり大金を得てしまったことにより未だ呆然としていた私たちだが、いち早く回復した葵が先ほどのおじさまに質問をする。


「いい宿を教えてほしい」

「ふむ、この道ををまっすぐ歩くと噴水のある広間に出るのですが、その広間の左手に銀波亭という宿があります。食事がとてもおいしく満足していただけると思いますよ」

「ん、ありがとう」


 葵とおじさまの話を聞きながら何とか回復した残りのメンバーはそれぞれお礼を言いながらゆっくりと歩きだす。


「いやーびっくりしたね」

「日本でもこんなに大金見たことないよ…」

「あの剣はしばらく作っちゃダメ」

「う、わかったわ」

「まあ、過ぎたことはしょうがないとして、お金どうする?夕陽が稼いだものだし夕陽持っとく?」

「……いえ、今は状況が状況だし、みんなで山分けしてそれぞれ持っておきましょう」

「いいの?」

「ええ、葵?バッグに財布が入っているから出してもらえる?あと日本円は要らないからアイテムボックスに入れておいてほしいのだけど」

「わかった」

「しかし、思ったよりいい町なんじゃない?出店も多いし、なんだか活気があるね」

「そうですね、あ、ちょっと出店で何か食べませんか?緊張したらお腹が空いちゃって」

「そういえば、こっちに来てからまだ何も食べてないし、賛成!」


 歩く道の左右に一定の間隔で屋台があり、声かけをしている。その中でもおいしそうな香りがする屋台に声を掛けてみる。声を掛けるのは、我らが腹ペコ芽衣だ。


「いらっしゃい。みんなかわいいね。おまけするよ!」

「ありがとうございます。4本ください」

「よし来た。銅貨12枚だけど、10枚にまけてやろう!」

「わぁ、ありがとうございます!」

「見ない顔だね。それに変わった服だ。どこから来たんだい?」

「ええと、かなり遠いところから?」

「まぁ深くは聞かねぇよ、はい、お待ち」

「ありがとうございます。金貨でもいいですか?」

「おお、もしかして貴族様かい?はい、お釣りの銀貨9枚だ」

「ちなみに、これは何のお肉なんでしょうか」

「これはオークの肉だよ。先日勇者パーティーがオークの集落を潰してきてね。今はいろんなところで出回っているよ」

「へぇ~勇者様がいらっしゃるのですか?」

「おう、この町の自慢の一つだな。冒険者ランクもAランクでこの町では人気、実力ナンバー1だな」

「そうなのですね。たくさんお話ありがとうございます」

「おう、また来てくれ!」


 4人でこの世界初の食べ物を食べながら歩く。

「勇者なんているんだね。まぁ魔王もいるんだしそりゃいるかー」

「これ以上目立ちたくないし、極力関わり合いになりたくないわね」

「うん」

「そうだね。それにしてもこのお肉、美味しいかも」

「そうね。牛っぽいわね。葵、オークってどんなのか知ってる?」

「女の子を犯すことしか考えていない魔物。略してレイプ魔」

「「ぶふぉっ」」


 …まぁ、私は知ってたけど肉は肉って割り切って食べれた。でもやっぱりあの二人は知らなかったかぁ。


「なんでほとんど食べてしまってからそんな大事なことを言うのよ!最悪!」

「私は全部食べちゃったよぉ…」

「ごめん、聞かれなかったから」

「というか、なんで朝日は平気なのよ」

「だってもう死んでるし?生きていたとき何していても関係ないかな?」

「…流石朝日ね」

「朝日ちゃんのそういうドライなところ引きます」


 なんでや!まぁ、そんなちょっとしたハプニングもあったが、無事広間に到着した。

「ここの左にあるんだっけ」

「あれね、銀色のお店。銀波亭って書いて…る…わ」


 なぜ夕陽が口ごもったのか。その理由は、明らかに私たちが見たこともない文字にも関わらず、私たちにはその文字の意味するところが『銀波亭』(・・・)である(・・・)と理解できてしまったためだ。


「思い返してみれば、普通に会話できていることもおかしいよね。私たちは日本語で話していたのに」

「多分女神様の力?」

「この分だと、この世界の文字も問題なく書けるわね」

「なんか怖いね」


 私たちは女神様にナニカサレタヨウダ。


「ま、悪いことじゃないのだし、むしろありがたいわ、ポジティブに行きましょう」

「そうだね」

「じゃあ、気を取り直して宿屋さんに今日泊まれるか聞いてみよー!」


 おおー!と意気揚々と宿屋の入り口に入る。


「いらっしゃいませ。銀波亭へようこそ。4名様ですね。ご宿泊ですか?」

「はい、お部屋は空いていますか?」

「ただいま4人部屋が満員でして、2名様のお部屋が二部屋ならすぐにご用意できるのですが、いかがいたしますか?」

「うーん、いいよね?」


 皆うなずいてくれる。


「それでお願いします」

「ありがとうございます。1泊朝食付きでお1人様銀貨5枚でございます」

「わかりました。とりあえず1泊分で。気に入ったら追加分払って泊まります」

「畏まりました。誠心誠意サービスさせていただきます。こちらが鍵でございます。22番と23番ですので、あちらの階段上がっていただいて左側にお部屋がございます。ご夕食は別料金になりますがご用意できますので、その際は予めご連絡下さい。お帰りの際に受付にお渡しください。では、ごゆっくり」

「ご丁寧にありがとうございます。みんな、ここでご飯食べる?あ、すいません、夕食ここで食べます!」

「そうですか。ありがとうございます。17時から22時まで1階のレストランが空いていますので、ご都合の良い時間にいらしてください。先払いでお1人様銀貨1枚いただきます」


 お金を払って部屋に向かう。みんなさっきの店員さんは好印象だったようだ。あれだけ丁寧な人は素直に尊敬できるよね。このお店を紹介してくれたオジサマに感謝だね。

 結構いい値段したねーとか話しながら部屋の前についたんだけど。


「そういえば、部屋割りどうする?」

「私は芽衣と一緒」

「ええと、つまり私と夕陽、葵と芽衣でオッケー?」

「いいですよ」

「ま、まあ、葵がこう言っていることだし?しょうがないわね!?」

「じゃ、けってー。でも、今後の話もしたいし一旦集まろう」


 とりあえず私と夕陽の部屋(意味深)に4人で入る。中は結構広く、ベッドが2つあるがそれ以外にも机と椅子があり、4人でも余裕で寝られそうだ。窓も木で出来たなんかおしゃれなデザインで、両手でバッと開けてみたい。そして、壁に時計が飾ってある。地球と同じで、12時間表記のやつだ。現在の時刻は6時。10時でレストランが閉まってしまうようなので少し話し合ったらご飯を食べに行こう。


「この世界にも時計あるんだね」

「さっきのお姉さんが17時とか22時って言ってたよね。こっちの世界も1日24時間なのかも」

「ま、時間の考察はひとまず置いておいて、今後の予定をざっと決めちゃおう」

「私は、冒険者ギルドに行くべきだと思う」

「葵、冒険者ギルドって何かしら?」

「魔物を狩ったり、困っている人を助けたりして、その代わり報酬をもらう職業。おそらくこの町にあるはず」

「魔物はともかく、困っている人の依頼を受けてお金を稼ぐのはありかもしれないね」

「困っている人を助ける仕事……私はいいと思う」

「じゃあ、明日にでも行ってみましょうか?あとは、この町についてもっと知りたいわね。さっき歩いた感じだと結構いいようには感じたけれど、もっと詳しく知りたいわ。もしかしたら恐ろしいところかもしれないわけだし」

「そうだね。まだ知らないことが多すぎるし、冒険者ギルドを見に行ったあとは、どんなお店があるのか、街を歩き回ってみましょうか。自由行動にする?」

「それは止めたほうがいい」

「やっぱり4人一緒じゃなきゃ不安なのかしら葵?」

「今私たちを監視している存在が少なくとも4人いる」


 私含め3人が緊張する。

「葵、どういうこと?」

「スキルの【探知】に反応がある。この宿の近くに4人敵マークがついてる」

「わ、私たち何かしましたっけ?」


 芽衣がおろおろしている。確かに、まだ街に来たばっかりで悪さするも何も…いや、一つだけ心当たりがある。あの売った剣だ。買取金額から考えて、あの剣は普通に手に入るレベルを超えていたんだろう。そんな剣を子供の私たちが持っていて尚且つ平気で売る。客観的にみて警戒に十分値する行動をとってしまっていたわけだ。となると、私たちを監視しているのはあの買い取ったおじさんの部下か何かだろう。そのことに夕陽も思い当たったようで、青い顔をして訪ねている。


「やっぱり、あの剣のせいよね……」

「たぶんそうだけどさ、あの場で大金用意しなきゃいけなかったし、夕陽は悪くないよ。それに、私たちが無害だと分かればいなくなるでしょ」

「朝日……」

「4人いるということは、自由行動してしまうとそれぞれ尾行されるってことだよね?それは怖いね……」

「監視が解けるまでは常に4人で行動したほうがいい」

「葵の言う通りね」

「まとめると、冒険者ギルドで仕事を探すのと、街の調査!あと4人仲良く行動!だね。よし、ご飯食べに行こ」

「監視されているって聞いてびっくりして、お腹空いちゃったよぉ」

「いや、芽衣さっき串焼き食べたばっかじゃん…」




 ―銀波亭レストランー


「おぉ、繁盛してるね」

「匂いはいいけども、オーク出されたら宿変えるわよ」

「一応聞いてみよう」


 そうこう話しているとウェイトレスさんが来た。


「こちら、メニューになります。本日のおすすめはサノイノシシのグリル焼きとなっております」

「私それー」

「私も」

「いいわね」

「それ4つお願いします」

「畏まりました。少々お待ちくださいませ」


 ウェイトレスさんが一礼して去っていく。


「なんていうか、接客態度は日本に引けを取らないわね」

「おもてなしの心を感じるね!」

「好印象」

「これでお料理がおいしかったら言うことないね」


 雑談しながら待つことにする。


「ねぇねぇ、大変重要なことに気づいてしまったんだけど」

「なによ」

「この世界にお風呂ってあるのかな?」

「「「ああ」」」

「いや、あるとは思うんだけどさ、もしなかったらまずくない?乙女のピンチだよ!」

「うーん、どうでしょうか?あ、いざとなれば浄化魔法ってスキルがあったから、取ってみる?」

「お風呂…入りたい」

「葵の言う通り、今まで入っていた生活が当たり前だったから、もし無いって言われたら相当ショックだわ…」

「しかもね……」

「まだ何かあるの朝日!?」

「よしんばお風呂があったとしても、日本並みのシャンプーとかリンスとかボディーソープがあるとは思えない」

「「「ああ」」」


 ちょっと皆をブルーにしたところで料理が来た。

「お、お待たせしました。こちら料理になります。お熱いのでお気を付けください」

 ウェイトレスさんが私たちの様子を見て若干動揺しながらも料理を並べてくれる。

「では、何かございましたらいつでもお申し付けください。ごゆっくり」


「…お風呂については後で受け付けのお姉さんに聞くとしてまずは食べましょう」

「そうね、ここで悩んでもしょうがないわ」

「「「「いただきます」」」」


 料理はイノシシ料理らしい。イノシシは食べたことがなかったけど、癖もなくてお肉は柔らかく、おいしかった。唯一の不満は米じゃなくてパンだったことか。米はこの世界のないのかな?

 3人も満足いく料理だったようで、食べ終わるころには調子も戻ってきていた。よし、じゃあお姉さんにお風呂について聞くとしますか!


「お風呂ですか?それでしたら5階にございます。タオルや寝間着、歯ブラシなども着替え場にご用意されていますのでお下着だけご用意していただければ」


 お風呂あるんすか!わーい!


「お風呂がある宿はこの町でうちだけなのですよ。喜んでいただけて良かったです」


 あまりの嬉しさに1週間分宿代を払ってしまったわ。後悔はしてない。

 というわけで、下着の代えとかないしそのままちょっこーう(え?)


「下着は明日すぐ買いに行きましょう」

「そうね」

「ふぅ、いい湯だね。芽衣おっぱい大きいね」

「恨めしい」

「そ、そんなこともないと思うけど…太ってるだけだよ…」

「朝日もスタイルいいじゃない…それに比べて私はまた体重が…ぶつぶつ」


 大きいお風呂が一つだけだったけど、十分満足できた。


「シャンプーと石鹸があったのはいいけど、このビンの蓋をいちいち開けてシャンプーを取り出してまた蓋閉めるって作業ちょっと面倒くさいわね」

「プッシュ式の容器作ったらきっと大ヒット間違いなしだね!」

「作り方調べておけばよかったね」

「惜しい」


 そんなこんな話ながら部屋についた。葵と芽衣にお休みを言って部屋に入る。

「はぁ、やっと一息つける。今日は疲れたねー」

「こんなに濃厚な1日は生れてはじめてよ」

「あはは、確かにー」

「「……」」

「二人っきり…だね///」

「そ、そうね…って何よこの空気は!」

「いや、冗談冗談。明日も早いし寝よ寝よ」


 冗談なの…となんか夕陽がへこんでいるけど今日はほんとに疲れたからね。とりあえずベッドにダイブする。夕陽もいそいそとベッドに入ってくる。


「朝日、寝る前にちょっといい?」

「いいよ。何?」

「私まだ自分がその、死んだっていうのが現実味がないというか…まだ納得できていないっていうか…これが夢なんじゃないかって思って。いや、本当のことなんだって言うのはわかってはいるんだけどやっぱり日本の家族のこととか考えだすと気持ちが落ち着かなくなる。朝日は大丈夫?」

「そうだねぇ。確かにありえないような話だよね。でも私は…思ったより混乱してないかな。そりゃ、私が死んだ後の両親の気持ちとか考えると胸が痛いし、本当にごめんなさいって思うけど」

「そう。やっぱり朝日は強いわね。そんな朝日がそばにいてくれたから、こんなわけわからない状況でもなんとか自分を保ってられるんだと思う。その…ありがとう」

「ふふふ、夕陽は二人っきりになるとデレデレモードになるんだから。かわいいのう」

「そんなんじゃないけど!?もう、いいわ!寝るわよ」

「うん、お休み。明日も頑張ろう」

「そうね…お休み」


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ポンコツお姫様姉妹と巡る異世界譚
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