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JK4人の異世界暮らし!  作者: 綿あめ真
西の白銀竜王とロリコン勇者
29/100

VS勇者①

 葵に探知魔法で勇者の位置を調べてもらう。


「あとどれくらいで着きそうかな?」

「このペースだと30分」

「いよいよね」

「緊張する~」

「変身魔法使うよー何耳がいい?」

「どういうこと?」

「人だってバレないようにね。魔王城から人間出てきたらびっくりするでしょ」

「あぁ。成程。犬耳がいいわ」

「私はウサギ耳で!」

「フェネック」

「え。どんなの?」

「こう」


 絵に描いてもらう。ピンと立ってて、かなり大きめの耳ね。かわいい!


「オッケー。私はにゃんこ!じゃあ順番に頭触るね」


 一人ずつケモ耳を付ける。


「皆可愛い!!」

「葵の耳かわいい~」

「芽衣のたれ耳も超かわいい」

「私もたれ耳ね」

「夕陽はたれ耳が似合いそうだなって。ちなみにミニチュアダックスフンドだよ」

「朝日の耳は何かしら?」

「セルカークレックスだよ!」

「知らないわね」

「私知ってるよ~ふわふわでかわいい猫だよね」

「そうなんだよ。めっちゃ可愛いの!今度スマホの写真見せるね」

「私のわんこフォルダも見せるわ」


 さて、サングラスも装着して、準備万端だ。

 客観的に自分の格好を確認してみる。

 

 体操服(夕陽の防具作成で強化してある)に、星形のサングラスをかけて、猫耳。左手にモーニングスター装備……

 うん。秋葉原にもいないレベルだね!


「日本だったら補導されるわね」

「逆にここまで突き抜けていたら撮影だと思われそうだけど」

「とりあえず写真は撮られるね~」

「SNSで拡散される」


 まぁ。いっか!


「皆準備はオーケー?」

「ちょっと待って。出番よ。宗近。つなじい」


 夕陽が腰に差している二振りの刀の柄を小突く。


「…む。もう行くのか」

「初陣だね」

「やるわよ。力を貸して」

「「もちろん(じゃ)」」

「私も頑張ります!」

「ん」

「よっしゃ!出陣じゃー!」



 ―――



「そろそろ魔王城が見えてくるはずだぞ」

「いよいよか」

「緊張しますね」

「やるです!」


 長かった旅もようやく終点を迎える…

 いや。ここからが本番か。

 

 山を下り平原をしばらく歩くと、城の全容が見えてきた。

 あまり言いたくはないが、美しい城だ。キールの街で見たどの建築物よりも…これを魔物が造ったのか?だとしたら人間を遥かに超える知能を持っているということになるかもしれない…


「悔しいですが美しいですね」

「本当にここに魔王が住んでいるのか?大貴族の別荘とかいう落ちじゃないよな」

「いや、見ろ。敵さんのお出ましだ…ぜ…」


 その4人は城の門から堂々と出てきた。

 全員女性のようなんだが…その奇抜な格好に言葉を失う。

 

 およそ戦場に似つかわしくない服装…鎧でも軍服でもない布?布なのか?あんなんで大丈夫なのか?こっちが逆に心配になるぞ。

 

 それにサングラスを着ているんだが、もれなく全員おかしなサングラスを付けている。星形のやつもいるんだが…街のチャラい奴でもあれはつけないだろう。


「愉快な人たちが出てきましたが…」

「人じゃないだろ。獣の耳がついている。獣人か、あるいは魔人と呼ばれる者たちか…」

「魔人とは何ですか?」

「知性を持ち、一定以上の境地に達した魔物は人の姿を取るようになると言われている。人の姿に近いものほど実力が高いらしい」

「もし魔人なら彼女たちは…」

「文句なくAランク以上だ」

「魔王の城から出てきやがったのです。どんな奴等でもぶっ飛ばすだけです!」


 お互い声が聞こえる距離まで近づいていく。まだ戦闘の意思はないようだ。

 星形のサングラスをかけた女が気軽に、まるで偶然友達にでもあった風に話しかけてきた。


「こんにちは!勇者御一行様だね?」

「そうだ」

「ルコアさんを倒すのは諦めてくれないかなぁ」

「…ルコアとは誰だ?」

「魔王のことだよ。とっても優しいんだ。人なんて襲わない。むしろ守っているんだよ?」

「耳を貸すなよレイン」

「わかっている」

「さっさとやるです」

「ちょっとは話し聞いてよー!」

「朝日の話し方は胡散臭いのですわ」

「(ちょおおお!名前言わないでよ!!)」

「(ご、ごめんなさい!!!)」

「ん。んん!!えーーーーと。モーニンの話し方は胡散臭いのですわ」

「モーニンってセンス!!まぁいいけど」

「モーニンよ。そこを通してくれねえか。俺たちが用があるのは魔王だけなんだが」

「そうもいかないんだよ。月並みなセリフだけど…ここを通りたかったら私たちを倒してから行くんだね!!」

「…やるしかないか」

「初めからそう言えです」

「行くぞレイン」

「ああ」


 どうやら戦わざるを得ないようだ。魔王にたどり着くまで出来るだけ体力は温存しておきたいが…仕方がない。


 レイドと俺で一気に距離を詰める。同時に星形と月形のサングラスの2人と、いつの間にか出てきた虎が突っ込んできた。


「俺があの二人の相手をする。ライドは虎を!」

「任せろ!」


 女性二人と切り結ぶ。星形の方は見たこともない武器を使っている。棒の先端に鉄球がついている。しかも鉄球に凸凹がついていて見るからに凶悪だ。悪魔の武器か?


 もう1人の月形は蒼の美しい剣を使う剣士か。吸い込まれそうな輝きを放っている。使い手も超一流だ。流れるような剣筋。


「うわ!思っていたより速い!!」

「やるわね!」

「そりゃどうも!」


 この人たちも十分速い!!自分についていける人がこんなところにいるなんて!

 

 だが、確かにこの2人は速いんだが、それだけじゃないぞ……いつもより体が重い?コンデションが悪いとかではない。まるで重りを付けて戦っているみたいな感覚だ。


「何をした?」

「さあね!」


 くそ!!サングラスのせいで光剣のフラッシュが意味を為してないし、あっちの魔法は意味不明だし。情報戦で完全に負けてる!

 制御できないからあまり使いたくはないが、火剣も使っていくしかないか。


「ハァ!!」

「「くっ」」


 二人が一旦引いていく。強い。

 一対一なら何とかなるだろうけど、この二人連携が上手い。決まると思ったタイミングで片方が攻撃してくるから片方に集中できない。


 だが、俺は一人じゃない。そろそろ師匠の魔法が完成するはず!


「師匠!まだか!」

「サシャ!さっさと魔法打ちやがれ!」

「今特大のお見舞いしてやがるから黙ってろです!」

「させない」

「え!?ちょ!どこから来たです!?離せです!」

「じゃ」


 いつの間にか師匠の後ろ(・・・・・)にいたロリッ子(葵)がロリ(師匠)を抱えてどこかに消えた…ってはぁ!?


「師匠!!どこだ!!」

「おいおいおい!こんな時にどこに消えたんだ!」


 師匠の気配が近くにない!?何が起こってるんだ?

 ライドが虎と距離を取ってこちらに向かってくる。


「やばいぞレイン。思った以上にこいつらやりやがる」

「だな。全部あいつらの作戦通りに進んでる雰囲気だ。このまま続行しても多分負ける」

「幼女二人がいなくなって三対三だが、あっちは虎の他に鳥と亀と竜が増えてやがる。しかも攻撃しても片っ端からあの後ろにいるハートのサングラスの奴が回復させちまうし。厄介すぎるぜ」


 マリィもこちらに駆け寄ってくる。


「申し訳ありません。全く役に立てずに…」

「いや。このレベルの戦闘になるとな。こればっかりは経験しないとどうしようもない」


 マリィはずっと街で生活していたのだ。冒険者のように日々命がけで戦ってはいない。そんなマリィがこの戦闘で役に立つならそれはもう天才どころの話ではない。


「回復役のハートの人に矢を放ってはみたのですが、どんなに飛ばそうとしてもすぐ地面に落下してしまうんです。まるで急に重力が重くなったみたいに…」


 ん?重力が重くなったみたいに?


「なるほど。あいつらの能力の一つは重力操作か」

「ああ!だから体がやけに重く感じたのか」

「重力操作ですか?」

「そうだ。矢が地面に落ちたのもここが普通の重力じゃないからだ。恐らく二倍…いや三倍くらいある。あっちが能力を使っている限り矢は意味無いだろうな」

「そうですか…では回復に専念します」

「ああ。そうしてくれ」


「そろそろ第二ラウンド行くよー!!」


 星形が鉄球付きの棒をグルんグルん回して叫んでいる。


「レイン。二対一だが大丈夫か?」

「ああ。月形は正直剣技のレベルが高いが、星形はついていくのがやっとって感じだ。星形から切り崩して決着をつけてやる」

「任せたぜ」

「ああ」


 第二ラウンドで決めてやる。


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ポンコツお姫様姉妹と巡る異世界譚
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