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JK4人の異世界暮らし!  作者: 綿あめ真
西の白銀竜王とロリコン勇者
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勇者サイド③ライド視点

 俺の名はライド。今は親友であり勇者でもあるレイン、聖女マリィ、魔法使い幼女サシャと一緒に魔王討伐の旅に出ている。

 今は4人旅を始めて最初の夜。草原で野営することになった俺たちだが、見張りをどうするかについて話し合っていた。


「無難に2人ずつで見張るか?」

「私の従魔に見張りをさせればいいです。いつも任せてるです」

「うーん、不安なんだよなぁ」

「少しは信用しろです!私のファングはとっても優秀ですよ!?」

「私は2人体制に賛成です。まだ私たちはお互いのことをよく知りません。この機会に見張りをする間にお互いのことを話し合い、理解しあうべきだと考えます。だからサシャちゃんの従魔を信用していないわけではないのでそんなに睨まないでください」

「レインはどうだ?」

「…俺はサシャの従魔に任せることも一つの手だと思う。まだ俺たちはこのメンバーで旅を始めたばかりだ。疲れも知らないうちに溜まっていると思う。従魔に任せれば4人全員休めるわけだから、その分日中動きやすくなるだろう」

「その通りです!」


 うーん、意見が分かれちゃったな。

 こういう時4人だと多数決が出来ないな。


「じゃあ間を取って、2人ずつで見張りをする日と、サシャの従魔に任せる日を交互にするのはどうだ」

「いいと思います」

「…そうだな。いいんじゃないか」

「しょうがねーです」

「うし、決まりだ。今日は見張りを2人でする日にしようぜ。それで組み合わせだが…マリィ以外野営は何度も経験してるから、どのペアになっても問題ないだろ。親睦を深めるって目的もあるなら適当にローテーションでいいか?」

「そうですね」

「それでいいです」

「…………………」

「レイン?大丈夫か?」

「あ、ああ…それでいい…ぞ」

「?よし、じゃあ最初はだれが見張りする?」

「私は先に寝たいです!(すごく眠いです!交代になってもファングを出して私は寝てやるです!)」

「私は…先に見張りをしたいです(レインとライドが二人で見張りをしていると考えてしまうと妄想が捗りすぎて絶対眠れません。初日から寝不足はまずいですので…)」

「レインは?」

「先に見張りをしよう(サシャと二人きりで夜を明かすとか…マズイマズイ)」

「じゃあ俺は後半にサシャと見張りだな。今20時だから、2時に交代しよう。そんで6時になったら二人を起こすな」

「わかった」「わかりました」


 レインがマリィにうまく見張りの仕方とかは説明してくれるだろう。


「よし、俺たちはテント入るぞサシャ…ってもう寝てがるし。じゃあ、任せたぜ。レイン、サシャ」

「おう」

「はい。おやすみなさい」


 サシャはもう寝てるから適当に置いて、俺も早く寝よう。

 少しでも寝ておかないと明日の旅に響くからな。

 すぐに眠りに落ち、あっという間に交代の時間になった。


「サシャ、行くぞ」

「…ファングを出すですからぁ。ファングに任せるですぅ」


 外に狼が出てきた。このちんちくりん…だが従魔を使えるものが見張りに従魔を使うという行為は間違っていないな。心理的には寝ているこいつがむかつくが…


「しょうがないな」


 どうやって短期間で強くなったのかとか、サシャに聞きたいことはたくさんあったが起きそうもかったのでそのまま寝かせておく。


 ファングには東側を警戒してもらい自分は西側を警戒する。


 旅に出て丸一日経ったわけだが思ったよりも進まなかった。原因はサシャのトイレ休憩の多さだ。やはりこの問題は何とかして解決策を見つけなければ。今日はまだ街に近いこともあり戦闘はなかったが、魔王城に近づくにつれて戦闘をする機会も増えてくることだろう。

 そんな時にトイレだのなんだのと集中を切らすことは論外だし、森や山に入った後は死角も多くなる。サシャがおしっこ中に襲われることもあり得る。おしっこ中に襲われて死ぬとかかわいそう過ぎる…


 後は4人での戦闘もまだ行っていないから上手く連携を取れるか不安だな。俺とレインが前衛、マリィが後衛なのは確定なんだが、サシャがどこのポジションが得意なのか、そもそもちゃんと連携があいつに取れるのか…ずっとソロでやってきたみたいだし激しく不安だ……


 俺たちでフォローすることは当然だが、魔王城に着く前には完璧に連携をとれるようにしていかなくてはならない。

 まずは、お互いのスキルの確認を全員が起きたら行おう。レインのことなら何でもわかるが、マリィとサシャについてはほとんど知らないからな。


 考えることは多く、あっという間に日が出てきた。そろそろあいつらを起こすか。

 テントを開けて声を掛ける。


「6時だぞ。みんな、起き…おい、サシャ!お前おねしょしてるぞ!」

「っは!!【クリーン】!……ふぅ。です」

「ふぅ…じゃねえから!何やってんだ…」

「私は20分でさえ耐えられない女ですよ?何時間も寝てたらそりゃ無理ってもんです」

「なんで偉そうなんだ…」


 こいつの隣では絶対寝ないようにしよう。


「ふああ。朝か。おはようレイド」

「おう、おはようレイン」

「いつものやつやるか」

「そうだな。やろう」

「何をやるんです?何をやるんですぅ?!はっ、おはようございます皆さん」

「おはようマリィ。テンション高いな…毎朝二人で戦闘訓練しているんだ。な、レイン」

「ああ、俺たちはもっと強くなんなきゃいけないからな。それに朝二人で訓練することでその日の相手の体調も確認できるし」

「お互いの体調管理!!いい!!私も見に行きます」

「そうか。じゃあマリィも来い。お互いどれくらい戦えるか確認するぞ」

「いいです。相手してやるです」


 テントをしまいながらサシャに確認する。


「サシャはポジションどこがいいんだ?魔法使いだから後衛か?」

「そうですね。後衛がいいです。二人が盾になればより大きい魔法をぶっ放せるです!ふはははは!」

「なんだその笑い方は…じゃあ軽く打ち合うか。そうだな…せっかくだから全員でやるか?俺とサシャで組んで、レインと戦うってのはどうだ?マリィはお互いの回復兼レインのサポートだ」

「俺はいいぞ」

「やってやるです!」

「わかりました」


 お互い向かい合う形に移動する。起きたばっかりだしそこまで本気でやるわけではないが、サシャがやらかさないか不安だ…


「サシャ、あくまで朝の準備運動みたいなもんだからな。そこんとこ分かってるよな?」

「……」

「何か言えや!」


 あ、コイツ呪文詠唱してやがる!しかも結構長い詠唱じゃねえか!どんな魔法打つ気だ!サシャの前まで走って頭を殴る。


「何しやがるですか!詠唱が中断してしまったです!」

「馬鹿なの?ガチのやつ打とうとしただろお前?」

「最初が肝心なのです。舐められないためには最初に圧倒的な実力を見せつけておかなければならないのです」

「阿保なの?俺とお前まだ組んで戦ったことないよな?うまく俺の動きに合わせられんのか?それとも俺を巻き込まないような魔法使う気だったのか?」

「……」

「何か言えや!」


 ダメだ…こいつ。

 あかんわ…


「よし、いいか。使うのはLV1までの魔法にしろとりあえず。わかったか?」

「仕方ねえです」

「(イラッ)ま、まあいい。よし、二人とも待たせてすまん!始めよう!」


 俺とレインが打ち合いを始める。レインが剣で攻めて、俺が盾で受けるのがいつもの流れだ。


「領主から貰った剣は使わないのか?」

「炎の属性剣か?あれは勝手にMPを吸い取って火を出すからな。もうちょい制御できるようになってからだ」


 レインが使っているのは昔から使っている光剣クラウだ。この剣は任意でフラッシュを発動し、相手の視界を塞ぐなどかなり使い勝手のいい剣だ。

 

 俺たちは毎日訓練している仲だ。戦闘の癖までお互い知り尽くしているし会話をしながら訓練もできる。


「昨日はマリィとうまく話せたか?」

「ああ、見張り中に気をつけなきゃいけないところとか、普段レイドと遠征しているときはどうしているかとか。真剣に聞いてくれたよ」

「マリィは素直で良さそうだな。それに比べてサシャときたら…百歩譲って使い魔に見張りをさせるのはいいが幸せそうに自分だけ寝てるのがなんかムカついたぜ。おねしょしてるし…ってイテェな!!」


 あいつ俺の背中にファイヤ打ちやがった!!


「おい!サシャ!俺は味方だって聞いてなかったのか!?バカ!」

「悪口が聞こえたです!バカはお前です!」

「ぐっ…確かにそれはすまん」

「ふんっ。私は寛大だから許してやるです」

「(イラッ)お、おう…ありがとうな…」

「…お前ら仲いいな」

「どこを見て言ってんだレイン…」


 その後、訓練を続けたが…結果的に言ってサシャはチームプレーが上手かった。

 俺に魔法を当てないのはもちろんだが、俺がつらいと思ったときに援護してくれるし、常に俺とサシャが同一射線上にならないように動き続けていた。


「サシャ…やればできるじゃんか…」

「当然です!私はできる子です」

「でも初めてパーティーを組んだんですよね?」

「いつもは従魔と一緒に戦ってるです。従魔に魔法が当たらないよういっぱい特訓したですから」

「なるほどな。昨日は一日中サシャを仲間にしたことを後悔していたが、これなら何とかなりそうだな」

「そんなことを考えていたのですかお前は!信じられんです!おしっこしてきます」

「おう、行ってこい」

「では、朝食の準備をしましょう」


 朝食は干し肉とパンとスープだ。


「待たせたです」

「よし、食べよう」


 領主様から貰ったアイテムポーチにかなりの食料は入れてきたのだが、思ったよりも長旅になりそうな上、3人旅の予定だったのが1人増えたからな。贅沢は言っていられないのだが…


「しょぼいです」

「誰のせいだ誰の」

「誰か料理できる人いるです?」

「一応俺が出来るが…」

「次からファングに狩りをしてもらうのはどうです?それをライドが調理するです」

「ライドさん、もしくはライドお兄さんと呼べちんちくりん。だがそれは…ありだな」

「私のファングは優秀です。期待してろです」

「任せましたよサシャちゃん」

「お兄さんと呼ばせようとするとは…やるなライド…」

「ん?何か言ったかレイン?」

「何も言ってないぞ」

「そうか。まぁなんにせよ今日の昼ごはんは、ファングが何か狩ってきたら俺が調理しよう」

「ライドの料理は旨いからな。楽しみだ。よし、そろそろ行こう」


 ファングは今から狩りに出てもらうことにした。多く狩ってきたとしてもアイテムポーチがあるから腐る心配はない。


 しばらく旅は順調だった。おしっこ休憩は何度もあったが。

 おしっこする場所を俺たちの進む先で済ませてしまうことで昨日よりタイムロスをかなり減らすことが出来た。

 迂回しろです!と、かなりうるさかったが、このタイムロスの問題はレインもかなり気になっていたようだ。気にしないでずんずん進んでいた。サシャは涙目だったが…ここは我慢してもらおう。


 あと俺たちパーティーの初めての戦闘もあったのだが、ゴブリン数匹だったので苦戦するはずもなく一蹴した。


「手応えねえです」

「これから森に入るからな。どんどん戦闘は増えてくるからそれまで我慢しろ」

「仕方ねえですね。あ、ファングが帰ってきました」

「お、あれは…イノシシだな。ちょうどいいし昼にするか」

「なべ!イノシシなべがいいです!」

「わかってんなサシャ!よっしゃ任せとけ」


 アイテムポーチから包丁やら鍋やら必要なものを出してもらい調理を始める。レインと二人で旅するときは主に俺が調理を担当している。レインもできないわけじゃないんだが…なぜか俺のほうが美味しくできたから次第に料理は俺の担当になっていた。

 鍋に水を入れて沸騰させ味噌、砂糖を少し入れ、沸騰させている間に捌いて薄切りにしたイノシシ肉を入れ、ニンジン、ネギ、ハクサイを入れる。しっかり灰汁を取って味見…よし。


「できたぞー」

「美味しそうです!」

「いい匂いですね」

「ライドの料理は旨いからびっくりするぞ」


 より分けて食べる。


「うまいです!やるですねライド!」

「ああ、相変わらずうまいな」

「私が依然食べたイノシシより臭みがなくて美味しいです」

「塩使って念入りに血抜きしたからな。気に入ってくれてうれしいぜ」


 全員完食してくれて内心かなり嬉しい。

 そしてモチベーションが上がったのか、午後の移動はかなり捗った。


「ファング!次は熊です!熊狩ってこいです!」

「どうやって持ってくんだよ…ファング、何でもいいからな?」

「くまなべーーーー!!」

「うるせえ!!」


 レイン以外と旅するのは初めてで正直疲れるが…

 それほど悪くもないな、と思った。


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ポンコツお姫様姉妹と巡る異世界譚
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