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JK4人の異世界暮らし!  作者: 綿あめ真
西の白銀竜王とロリコン勇者
10/100

慌ただしい一日②

「女神様クエストかぁ」

「大丈夫。まともだった」

「えーとどれどれ?【中央広場にいる獣人の少年を助ける 結晶石5個】か。こういうクエストもあるんだね」

「受けましょう!」

「そうね。ちょうどここ中央広場だし、いいと思うわ」

「ではイエスと」


 ボタンを押す…が何も起こらない。

 しばらく待っていると、お願いします!助けてください!と道行く人に懇願している犬耳の男の子が。獣人だからかわからないけどみんな迷惑そうにしてまともに取り合っていない。


「きっとあの子ね」

「よし、行こう!」


 男の子に向かって走っていき、子供受けがいいことに定評のある芽衣が話しかける。


「どうしたのかな?」

「妹が急に倒れて!声かけても返事しない!どうしよう!?」

「落ち着いて。妹さんのところに案内してくれる?」

「わかった!こっち!」


 芽衣の手を引いて少年が走り出す。私たちはその後をついていく。

 しばらく走っていくと住宅街に入っていき、その中の一軒家に飛び込む。

 居間に女の子が倒れこんでいる。呼吸が荒く苦しそうだ。


「ねぇ、治る?」

「ちょっと待ってね。[サーチ]…貧血が原因みたいだね。これなら…[リカバー]」


 芽衣が魔法を唱えると女の子は光に包まれ、光が収まると女の子は寝息を立てて眠っていた。


「これでもう大丈夫だよ」

「本当に?ありがとうお姉ちゃん!!」

「貧血はまた起こる可能性のある病気だからね。今度同じことが起きたら、まずはあまり動かさないこと。できるだけ安静にして。寝てもらうのがいいかな。そして体が冷えないようにタオルケットか毛布で温めてあげて。最後に、具合が良くなったら何か温かい飲み物を飲ませてあげて。わかった?」

「寝かせて、温めて、温かい飲み物…わかった!」

「えらいえらい。でもお医者さんや大人が近くにいるならまず助けを呼ぶことが一番大事だからね」

「お医者さん?お姉ちゃんみたいなヒーラーのこと?わかった!」


 芽衣が男の子の頭を撫でる。サーチの魔法で先ず病名を調べたのは、また同じことが起こったときに最悪男の子だけでも対処できるようにするためか。街の人冷たかったからなぁ。


「そういえば君、お名前は?」

「フェルだよ。妹はリル」

「そう。いいお名前だね。ご両親は?」

「母さんと父さんはこの街で冒険者やってるんだ!Aランクなんだぜ!今日も依頼を受けに行ってて、夕方には帰ってくるから、二人で留守番してたんだけどリルがいきなり倒れてビックリした」


 Aランク冒険者かぁ。この街には5組いるんだっけ?と言う事はこの町のベスト5に入る実力を持つ両親の子供と。強い人の子供もやっぱり強いのかな?とちょっとした興味本位でフェルくんのステータスを除いて驚愕する。




 フェル 狼族 LV18 

 HP4200

 MP1000


 攻撃力1200

 防御力1185

 魔法攻撃力520

 魔法防御力360

 敏捷780

 運42


 称号 フェンリルの子孫


 スキル 

 なし

 スキルポイント

 9000P


 な、なんじゃこのステータスは!?まだ小学生くらいだよね?いや小学校はないだろうけど!今まで見てきたステータスの中でもダントツで強い。

 そして一番驚いたのはスキルポイントだ。これ500Pずつ上がってるよね?この子ガチの才能持ちだ。


 いやーちょっと自分この世界の中でも強いんじゃね?って考えが木っ端微塵に消えたよ…

 芽衣とフェルはまだ仲良く話している。その横でリルちゃんも目を覚ましたようだ。ちなみにリルちゃんも同じようなステだった。


「う…あれ?リル居間で寝てた?」

「リル!お前急に倒れたんだよ!具合悪くないか?」

「え?全然覚えてない…具合は悪くないよ?」

「それはな、この芽衣姉ちゃんが回復魔法で助けてくれたからなんだ!」

「初めまして。リルちゃん。私は芽衣って言うの。フェルくんが一生懸命リルちゃんを助けようとしていたからね、ちょっとお手伝いをしたんだ」

「は、初めまして。リルはリルって言います。助けてくれてどうもありがとうございます!」

「気にしないで。リルちゃんが元気になってくれてよかったよ」

「うん!リルも良かった」


 あの空間ほんわかしてていいなー。


「それで、あっちの人たちは?」


 おっと、リルちゃんがやっとこっちに気づいてくれた。


「私は朝日だよ。芽衣と私たち三人は一緒に遊んだり冒険したり…まぁ友達かな。よろしくね、リルちゃん、フェルくん」

「私は夕陽よ。よろしくね」

「葵。よろしく」

「朝日姉ちゃんに、夕陽姉ちゃんに、葵だな!よろしく」

「朝日おねえちゃん、夕陽おねえちゃん、葵ちゃん、助けてくれてありがとうございます」


 ナチュラルに葵が同い年かちょっと年上くらいに思われている件。葵にその態度はマズイよ!ほら、どんどん機嫌悪くなってるよ!


「私は芽衣と同い年。なめるな」

「ご、ごめん!」

「ごめんなさい!」

「分かればいい」


 葵は年下に見られがちだけど本人はかなり気にしているようだ。前に子供料金で安く済ませれそうだから羨ましいって言ったら、その後しばらく靴を踏まれる嫌がらせを受けたことがある。人が気にしていることには触れないほうがいいのだ。


「リルちゃんも元気になったことだし、私たちはそろそろ帰ろうかな」

「え!もうちょっとお話しようよ!そうだ!リル、お姉ちゃん達にお茶とか出そうぜ!」

「そうだよ!まだリル何もお返ししてないしもっといて!」

「みんな、もうちょっとここにいない?リルちゃんも病み上がりだし」

「まぁ、今日はもう予定もないしね。そういうことなら」


 ということでもうちょっとお邪魔することに。せっかくだからさっきの獣人に対する街の人たちの態度について聞いてみる。


「えーと、ちょっと聞きづらいんだけど、街の人たちはいつもあんなに冷たいのかな?」

「んー冷たいってより、無関心?俺たちだけじゃなくて、獣人みんなに対してあんまり関わりたくないって感じ…かなぁ」

「でもでも、全員そうってわけじゃないんです。お姉ちゃん達みたいに人間でも私たちに優しい人はいるよ」

「だな」


 無関心とか難しい言葉知ってるな!

 でもそうか。そこまでお互い隔意を持っているわけではないようだ。


「母さんと父さんはみんなに人気あるぜ!」

「リル達のママとパパはとっても強いからね!」

「へえー。Aランク冒険者なんだっけ?」

「そうそう!魔物がいっぱい街を襲いに来たことがあったんだけど、父さんと母さんが先頭に立って戦ったんだって!そのおかげでたくさんの人が助かったって言ってた!」

「リル達もおっきくなったら強くなってみんなを助ける!」

「そうだ!俺たちが大きくなったら姉ちゃん達のパーティーに入れてくれよ!一生懸命頑張るからさ!」

「リルも頑張る!!助けて貰った分頑張る!!」


 この二人が仲間になってくれるなら戦力アップ間違いなしだけど、私たちそれほど武闘派じゃないんだよねー。今のところ冒険者ランクも上げる気ないしなー

「ふふ、大きくなったら、その時はよろしくね?」

「任せてくれ!芽衣姉ちゃん!」

「頑張ります!」


 あーあ、芽衣2人が本気になっても知らないよ私は。 

 その後もしばらくおしゃべりしていたら結構時間が経ってしまったのでお別れすることになった。


「またいつでも来てね!」

「今度銀波亭に遊びに行くから!」

「「ばいばーい」」


 見えなくなるまでずっと手を振ってくれる。元気になってよかったよかった。


「今回のクエストはいいクエストだったわね」

「受けてよかったー。これからも積極的に受けようね!」

「結晶石も5個ゲット」

「10連ガチャまで貯める?」

「私は貯めるわ!1回ずつやってもいいものが出る気がしないから!」

「私も貯めようかな~」

「貯めたほうが効率いい」

「えぇ、みんなすぐ使いたくならないんだ。私は貯めようとは思うけどいっつも残りの数字を見ちゃったらついガチャ回しちゃうんだよね」


 あれ、回せるじゃん!使っちゃえ~ってね。帰ったらガチャしちゃうんだろうなー未来の私。

 銀波亭に戻って夕食を食べてお風呂に入る。そしていよいよ本日のメインイベントだ。そう、昨日下準備したかき氷をついに作るのだ!


「氷ちゃんと出来てるかな?」

「もし出来てなかったら氷魔法を覚える」

「氷魔法なんてあったかしら。そもそも葵は大してスキルポイント余ってないじゃない」

「……」

「んー葵言い返せないのかしら~?」

「夕陽ウザイ」

「なんですって!?」



 なんでこれから楽しいイベントがあるのに喧嘩しているのかこの2人は…まぁいいや。部屋を出てサーシャさんと一緒に厨房に行く。

 冷凍庫から製氷カップを出すとしっかり凍っていた。ふぅ。よかったー。


「おぉ、ちゃんと出来てる!糖度が高いと凍りづらいって聞いたことあったんだけど良かった!葵かき氷機出して出して!あ、サーシャさんここで食べてもいいですか?」

「ちょっと朝日落ち着きなさい」

「構いませんよ(朝日様今日は一際テンションが高くて可愛いわぁ)」

「サーシャさん、器をお借りしてもいいですか?こう底が浅くて、できれば丸い感じで…」

「それでしたら……こちらはどうですか?」

「いいです。ありがとうございます!」


 残念ながら透明な器ではなく、木製のものだったがこれはこれでいいんじゃなかろうか。


「じゃあ、作るね」

「楽しみ~」

「わくわく」

「そういえば、誰のものから作るのかしら?」


 ピシッ……と空気が固まる。


「いや、そりゃ私からでしょ。だって私が当てたんだもん!」

「まぁ、朝日はしょうがないわね…2番目は私でいいかしら?」

「夕陽ちゃん…ここは譲れないんだよ…」

「私は最後でいい」

「私もみなさんが召し上がったあとで結構ですので…」


 ふぅ、どうやら私は一番に食べられるようだ。

 何をしょうもないことで争っているんだ?と思われるかもしれないが、私たちはこの世界に来てからまだ一度も甘味を口に入れていないのだ。女にとってここは譲れないところなのだ。

 しかし葵が鶴の一声をかける。


「みんなで食べあいっこしよう」

「「それです(だわ)!」」


 平和が一番。葵ナイス。


「じゃあ作るね。チョコ、マンゴー、抹茶、ブルーハワイ、いちごの順でいくよ」

「「「異議なし」」」


 製氷カップから氷を取り出してかき氷機に入れる。器をセットしてMPをかき氷機に流し込んで(MPと書いているところを触れると吸収された)スタートボタンを押す。


 ガーっと氷を削る音がしてすぐにチョコ色のかき氷が出てくる。氷が細かくなっただけのガリガリの氷ではなく、ふわふわの雪のような見た目だ。眺めているだけでワクワクしてくる。


「美味しそう…」

「よおし、いただきまーす」


 スプーンですくって食べる。…んん!冷たくてふわふわで甘くってウマっっ!!


「おいしーーーー!!!」

「ひとくち!ひとくちでいいのでください!」

「わ、私も欲しいわ!」


 しょうがないなー。芽衣と夕陽に食べさせてあげる。


「すっごく美味しい!幸せ~」

「ちょっと美味しすぎないかしらこれ!?私の知ってるかき氷と全然違うわよ!?」


 二人も大絶賛だ。葵とサーシャさんも思わずゴクリと唾を飲んでいる。


「どんどん作るよー。次はマンゴー味ね。葵とサーシャさんも今度は食べてみて!」

「3人の反応を見たら食べたくなってたとこ」

「そうですね。そんなに美味しいものなら…」


 マンゴー味を作って二人に食べてもらう。


「!!美味しい。でりしゃす」

「こ、これは!?こんな美味しい食べ物がこの世にあったなんて…うぅ」

「サーシャさん!?泣いてる!?」

「す、すいません…感動すると涙が出るんですね…」


 そんなに喜んでもらえるとは…確かに結構街の屋台とか食堂とか食べてみたけど、甘いお菓子系の食べ物は一つもなかったし、この世界じゃ甘味はかなり貴重なものなのかも。

 私もマンゴー味が気になったのでひと口貰う。


「マンゴーも美味しいね」

「うんうん、かき氷に合うわね」

「これも美味しい~」


 全員で食べているからあっという間に無くなってしまう。


「朝日ちゃん、次の早く早く!」

「えーと次は抹茶だっけ」


 抹茶はお店とかで食べる時の定番だよね。


「やっぱり抹茶が一番好き~」

「私はあまり好きじゃないのよね。お茶は好きなのだけれど」

「私は…正直今までの中で一番美味しいです」

「苦いから苦手」


 抹茶はどうやら賛否両論のようだ。私は好きだけどな。まぁ無理強いはよくない。さーしゃさんが幸せそうに食べていて何より。

 その後ブルーハワイは葵と芽衣が二人で食べて、最後のいちごはみんなで食べて満足した。残りは冷凍庫に入れて置いてもらう。


「皆様、このような大変貴重な甘味を私ごときに食べさせていただき、ありがとうございました。この味はしばらく忘れられないと思います」

「そんな畏まらなくてもいいですよ。また一緒に食べましょう!」

「ありがとうございます。その時は是非。冷凍庫はいつでも使っていただいて構いませんので。シェフにも話は通しておきます」


 サーシャさんにお礼を言って別れてから部屋に向かう。


「美味しかったねー」

「また食べよう」

「でもシロップは有限だからね。まだ数十回は使えるくらい残ってるけど」

「そうね。いいことがあった日に食べるのはどうかしら」

「「「賛成」」」


 はぁ~幸せなひとときだったー。女神様ありがとうございます!

 女神様に感謝するとちょうどスマホが鳴った…心読んでるわけではないよね?


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ポンコツお姫様姉妹と巡る異世界譚
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